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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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眠る前に

※「おくり火」のまもり視点です
※薄暗い話です。嫌いな方は閲覧をご遠慮ください

+ + + + + + + + + +
彼は好きなように生きてる人だから、泣く事なんて無いんじゃないか、ってずっと思ってた。
だから私が今見てるこれは夢なんじゃないか、って少しだけ考える。
ああ、でも。
もう感覚の遠くなり始めてる指先に触れるのは、確かに暖かい顔。
そして私の頬に滴るのは、彼の涙。
落ちて弾けるたびに冷たくなるそれはすぐに私のそれと混じった。
泣きたくなんてない。
ただでさえ暗くなっていく視界を悪くして、彼の顔を見られなくなるなんて、嫌。
「・・・泣かないで」
私よりもよほど苦しいような顔で彼は泣いている。
彼を宥めたくて、涙を止めて欲しくて、私は精一杯笑みを浮かべた。
「行くな」
引き留める声が震えている。
低く掠れ、小さい声。
私の耳はもう、他の音も拾えないのに、それだけははっきりと聞こえた。
「ごめんね・・・」
「っ」
ぐ、と歯を食いしばり、私の手を握る彼の手も震えている。
それでも、視線は二人して絶対にそらさなかった。
そんな勿体ない事、できないから。
「・・・ねえ」
息が苦しい。
「自殺なんて、しちゃだめよ」
もっとはっきり言ったつもりだったのに、声はほとんど吐息に滲んだ。
でもきっと、届いている。
「絶対よ。約束よ」
涙のせいばかりではなく、目の前が暗くなって、・・・もう何も見えない。
でも、これだけは伝えなければ。

ねえ。
私、すごく幸せだったの。
もしあなたと出会わなければ、きっと平凡で優しい、淡い色で滲むようななだらかな人生を歩んだと思うわ。
でも、出会えたから。
それまでは想像も出来なかった、極彩色に彩られたような派手な人生を歩めたわ。
傍らにはいつも金色のあなた。
おかげさまで天国も地獄も生きているうちに見たから、死ぬのは怖くないの。
本当よ。
あなたより先に逝くのは残念だけど、あなたに置いて逝かれるよりずっといいと思えるの。
だから。
だから―――

「・・・ありがとう」

これは偽らざる真実の言葉。
ありったけの感謝と、謝罪と、愛を、あなたに。





急速に全てが閉じていくような感覚。


そして、闇。




***
ちょっとした出来心で、ヒル魔さんを泣かせてみようと思ったらなんか大変な事になってしまった気がします。
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