旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
人は食べたもので出来ているというのなら、きっと。
「ヒル魔くんはきっと苦くて不味いと思うの」
唐突なまもりの発言に、部室の空気が凍り付く。
話題の彼はまだ顔を出していないが、その他の部員はほぼ揃っている。
皆着替えたり雑談したりと、部長が来るまでの一時を思い思いに過ごしていた。
その全員がぴたりと動きを止め、まもりを伺った。
彼女も既にジャージに着替え、栗田が寄越したお菓子を摘んで歓談していたはずなのだが。
「ど、どうしたの? 姉崎さん」
「急に何言って・・・」
栗田や雪光が青くなってまもりに尋ねる。
当の本人はけろっとしたものだ。
「え? ほら、人って食べたもので出来てるっていうじゃない? それでいけばヒル魔くんの主成分はコーヒーとかガムとかで、きっと美味しくないんだろうなあ、って」
それに硬直していた一年生達が多少緩んだ。
「どうしたの?」
「いっ、いや、なんでもないよ!」
「そっ、そうっス!」
「?」
「でも本当に、食べたものの味になるんだったら・・・私はきっと甘いんでしょうね」
くすくす、と笑うまもりに、再び部室が凍り付く。
「シュークリーム味だったりして」
ね、と小首を傾げるまもりは可愛らしい。
可愛らしいが、発言がきわめて危険だ。
ごくり、と誰かの喉が鳴った。
と。
「オラテメェら、まだグラウンド出てねぇのか!」
派手な音を立てて扉が開く。
そこにいたのはヒル魔。
彼は部室内の微妙な空気にすぐ気づいた。
「ア?」
「ねえ、ヒル魔くん」
唯一平然としているまもりを見て、彼は瞬き一つの合間にすぐ理解する。
ああ、またコイツがとんでもない発言して部室を凍らせているのだろう、と。
「きっと苦くて不味いと思うの、ヒル魔くんは」
眉を寄せた彼に、まもりはぱっと笑う。
「で、私はきっと甘いと思うのよ」
「・・・ホー」
「だからヒル魔くんには私は食べられないと思うの!」
満面の笑みで告げられた内容が内容だけに、全員の視線がヒル魔に集中する。
興味津々の面々の前で、彼はおもむろに口を開く。
「・・・おい糞デブ、テメェら今何喰ってた」
「え?!」
「酒の匂いすんぞ」
「お酒?!」
栗田は慌てて自らが先ほど食べたチョコレートのパッケージを見た。
そこには、ウィスキーボンボンの文字。
あまりに古典的だ。
全員が脱力する。
「こ・の・糞酔っ払いが!! テメェ顔洗って来い!!」
「誰が?」
「テメェだ糞酔っ払いマネ!!」
ひょい、とジャージの襟首を掴んでヒル魔がカウンターの奥にまもりを連れて行く。
その様子に、なんだ酔っていたのか、あんだけのアルコールで酔えるって随分安上がりだなァ、とか色々発言が飛び交ったものの。
「練習行こうか」
という栗田の声に。
「そうですね!」
全員が二人を残してぞろぞろとグラウンドに出て行った。
そのカウンターの奥。
「・・・ん」
まもりの喉が小さく鳴る。
「苦いか?」
からかい混じりのヒル魔の声に、応じる声は舌っ足らずだ。
「・・・く、ない」
「そーか。テメェはやっぱり甘いがなァ」
ヒル魔はまもりの首筋に一つ、痣を残して楽しそうに笑みを浮かべた。
***
深読みする青い春バンザイ(笑)
「ヒル魔くんはきっと苦くて不味いと思うの」
唐突なまもりの発言に、部室の空気が凍り付く。
話題の彼はまだ顔を出していないが、その他の部員はほぼ揃っている。
皆着替えたり雑談したりと、部長が来るまでの一時を思い思いに過ごしていた。
その全員がぴたりと動きを止め、まもりを伺った。
彼女も既にジャージに着替え、栗田が寄越したお菓子を摘んで歓談していたはずなのだが。
「ど、どうしたの? 姉崎さん」
「急に何言って・・・」
栗田や雪光が青くなってまもりに尋ねる。
当の本人はけろっとしたものだ。
「え? ほら、人って食べたもので出来てるっていうじゃない? それでいけばヒル魔くんの主成分はコーヒーとかガムとかで、きっと美味しくないんだろうなあ、って」
それに硬直していた一年生達が多少緩んだ。
「どうしたの?」
「いっ、いや、なんでもないよ!」
「そっ、そうっス!」
「?」
「でも本当に、食べたものの味になるんだったら・・・私はきっと甘いんでしょうね」
くすくす、と笑うまもりに、再び部室が凍り付く。
「シュークリーム味だったりして」
ね、と小首を傾げるまもりは可愛らしい。
可愛らしいが、発言がきわめて危険だ。
ごくり、と誰かの喉が鳴った。
と。
「オラテメェら、まだグラウンド出てねぇのか!」
派手な音を立てて扉が開く。
そこにいたのはヒル魔。
彼は部室内の微妙な空気にすぐ気づいた。
「ア?」
「ねえ、ヒル魔くん」
唯一平然としているまもりを見て、彼は瞬き一つの合間にすぐ理解する。
ああ、またコイツがとんでもない発言して部室を凍らせているのだろう、と。
「きっと苦くて不味いと思うの、ヒル魔くんは」
眉を寄せた彼に、まもりはぱっと笑う。
「で、私はきっと甘いと思うのよ」
「・・・ホー」
「だからヒル魔くんには私は食べられないと思うの!」
満面の笑みで告げられた内容が内容だけに、全員の視線がヒル魔に集中する。
興味津々の面々の前で、彼はおもむろに口を開く。
「・・・おい糞デブ、テメェら今何喰ってた」
「え?!」
「酒の匂いすんぞ」
「お酒?!」
栗田は慌てて自らが先ほど食べたチョコレートのパッケージを見た。
そこには、ウィスキーボンボンの文字。
あまりに古典的だ。
全員が脱力する。
「こ・の・糞酔っ払いが!! テメェ顔洗って来い!!」
「誰が?」
「テメェだ糞酔っ払いマネ!!」
ひょい、とジャージの襟首を掴んでヒル魔がカウンターの奥にまもりを連れて行く。
その様子に、なんだ酔っていたのか、あんだけのアルコールで酔えるって随分安上がりだなァ、とか色々発言が飛び交ったものの。
「練習行こうか」
という栗田の声に。
「そうですね!」
全員が二人を残してぞろぞろとグラウンドに出て行った。
そのカウンターの奥。
「・・・ん」
まもりの喉が小さく鳴る。
「苦いか?」
からかい混じりのヒル魔の声に、応じる声は舌っ足らずだ。
「・・・く、ない」
「そーか。テメェはやっぱり甘いがなァ」
ヒル魔はまもりの首筋に一つ、痣を残して楽しそうに笑みを浮かべた。
***
深読みする青い春バンザイ(笑)
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鳥(とり)
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女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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