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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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爪紅(5)/完結



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爪が乾くまで時間が掛かり、帰宅が結構遅くなった。
それでも不自然なくらい上機嫌なのを母に訝られつつも食事を終え、自室に戻る。
「あら?」
携帯電話にメール着信の表示。開いてみればそれはヒル魔で。
一体何か、と開いたそこに表示されたのはたった一行。
「『絶対に落とすなよ』って」
それはまるで、落書きか上手に書けたから絶対に消さないで、と駄々をこねる子供の言い分のようで。
思わず苦笑してからまもりは明日の準備をするべく時間割を開いて、そうして。
「・・・あーっ!!!」
声を上げ、固まった。

さて翌日。
屋上に、はしゃぐ女生徒の声が響いている。
けれどそこに混じれず、プールサイドで膝を抱えるまもりの姿があった。
がっくりと力なく落とされた頭に、仲の良い友人は顔を見合わせひそりと囁く。
「大丈夫かな? まも」
「せっかくのプールなのに、お腹痛いなんて可哀想よね」
「アレの日?」
「違うみたい」
友人たちの会話する姿を眺めながら、まもりは力なく嘆息する。
今日からプール開きなのを、すっかり忘れていた。
日増しに暑くなる夏に眉をひそめ、涼しい水辺で騒ぐことをあれほど期待していたのに。
(爪がこれじゃあ、泳げないわ)
勿論たかがマニキュアなのだし、落とせばいいだけだ。
優等生で通っている自分としては、仮病を使ってまで残すべきではないと分かっている。
まもりは持っていなかったが母は除光液を持っていたし、お願いするまでもなく使うのは難しくなかった。
それでも。
二人きりの部室で、彼にはそぐわないあの色彩を丹念に足指に乗せられて。
鮮やかに染められた足の爪。
(出来るわけ、ないじゃない)
あの記憶ごと、あっさりと払拭することは出来なかったのだ。
先ほど、一人制服姿で屋上に向かうまもりをヒル魔は口角をつり上げた笑みで見送っていた。
きっと彼は黒い手帳にこの顛末を書き付けることだろうと思う。
それでも自分をからかう以外に流出させないだろうと、妙な確信があるのだ。
まもりは視線でだけ、つま先を撫でる。
そうして再び小さく嘆息した。

やはりあのマニキュアは毒だったに違いない。
だからもう、こんなにも彼のことしか考えられない。
それでも落とそうと思わないのだから、そうとう毒されているのだとしか思えなかった。


***
なんだか妙に書きたくなったペディキュア塗るヒル魔さん。
あんな悪魔みたいな男に傅かれたらと思うとぞっとしますね(笑)
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宿題に手が付きませーん(´ι _`  )(笑)
MR 2010/04/28(Wed)16:34 編集
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