旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
一つ思い出せば、そういえばスポンジがないな、とか石けんも買おうか、とか色々浮かぶ。
後で部費から支出できるだろうか、それでも金額的にはきついだろうか、やはり部費は徴収しなければ、とつらつら考えながら売り場を歩いていると、鮮やかな色彩がふと視界に入った。
「あ」
それはピンクのマニキュア。
可愛らしい色はエナメル特有の艶を放つ。
見本として並べられた模造の爪に塗られたそれと自らの爪を重ね合わせ、そのかわいさに気を取られていると。
「オヤオヤ糞風紀委員様がマニキュアデスカ」
「きゃ!」
まもりはびくりと肩を震わせる。
そんなに夢中になっていただろうか、と背後に音もなく現れたヒル魔に瞬くが、彼の手にはまだ薬箱はない。
姿を消したまもりを探していたのだろうか。
「買うのか?」
「まさか。買っても学校には塗って行けないし、塗ったところで持たないわよ」
「ホー?」
「大体、水仕事するんじゃすぐ落ちちゃうしね」
まもりは指先に触れる。まめにクリームを塗るようにはしているが、やはり水仕事をしていると汗ばむ季節ではあるが、荒れるのだ。
部員がさほど多くないとはいえ、そこは運動部。洗濯物は溜まる一方で、洗っても洗ってもまたすぐ汚れる。
これでは仮に爪を美しく塗ってもすぐ剥げて寂しい結果になるだろう。
子供でも分かることだ。
「休みの日に塗ったりすんだろ」
「オシャレな子はやるかもしれないけど、私はしないわ」
ひとときのオシャレのために割く時間が惜しい、と言えばヒル魔は噛んでいたガムをぷう、とふくらませた。
「そういうもんか」
「そうよ」
まもりが目を奪われていたマニキュアをまじまじと見ていたヒル魔は、か細く呼ぶ声にぐるりと首を巡らせた。
「おーおー、やっと用意できたか糞店員」
「ははははぃいいいい」
脂汗を流す店員ににたりと笑うヒル魔を見て、まもりは当初決心したとおり彼に近寄ろうとしたが。
「おらテメェはこれだ」
「きゃあ!」
どさ、と腕に乗せられたのは消耗品が詰まった袋。
先ほどまもりが必要だと思っていたものが入っている。
「これ・・・」
「必要なんだろ」
言いながらヒル魔は財布を取り出し、店員にちゃんと代金を支払った。
脅すわけではないのだ、と思いつつも結構な額の札を取り出すのを見て声を掛ける。
「あ、お金足りる? 私も持って来てるけど」
「必要ねぇ」
店員は引きつりながらも代金を受け取り、レシートを持って来た。
それを受け取りヒル魔は薬箱を手に店外へと足を向ける。
その後を追ってまもりは声を上げる。
「ねえ! 結局ちゃんとお金払うんなら、私一人でもよかったんじゃないの?」
「糞素人がいちいち薬探して歩き回るより糞店員使った方が早ェんだよ」
ヒル魔は手帳を振ってふん、と鼻を鳴らした。効率よく作業させるためには確かにその手帳の威力は強いだろう。
料金まで踏み倒すつもりではなかったのか、と内心驚きつつも、これは言わねば。
「私だって店員さんにお願いすることくらい出来るわよ」
「ドウデスカネー。融通の利かない糞マネだからなァ」
「そんなことないわよ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながら去っていく二人を、店員はどことなく微笑ましく見送った。
それもまあ、冷や汗を拭いながらではあったが。
<続>
後で部費から支出できるだろうか、それでも金額的にはきついだろうか、やはり部費は徴収しなければ、とつらつら考えながら売り場を歩いていると、鮮やかな色彩がふと視界に入った。
「あ」
それはピンクのマニキュア。
可愛らしい色はエナメル特有の艶を放つ。
見本として並べられた模造の爪に塗られたそれと自らの爪を重ね合わせ、そのかわいさに気を取られていると。
「オヤオヤ糞風紀委員様がマニキュアデスカ」
「きゃ!」
まもりはびくりと肩を震わせる。
そんなに夢中になっていただろうか、と背後に音もなく現れたヒル魔に瞬くが、彼の手にはまだ薬箱はない。
姿を消したまもりを探していたのだろうか。
「買うのか?」
「まさか。買っても学校には塗って行けないし、塗ったところで持たないわよ」
「ホー?」
「大体、水仕事するんじゃすぐ落ちちゃうしね」
まもりは指先に触れる。まめにクリームを塗るようにはしているが、やはり水仕事をしていると汗ばむ季節ではあるが、荒れるのだ。
部員がさほど多くないとはいえ、そこは運動部。洗濯物は溜まる一方で、洗っても洗ってもまたすぐ汚れる。
これでは仮に爪を美しく塗ってもすぐ剥げて寂しい結果になるだろう。
子供でも分かることだ。
「休みの日に塗ったりすんだろ」
「オシャレな子はやるかもしれないけど、私はしないわ」
ひとときのオシャレのために割く時間が惜しい、と言えばヒル魔は噛んでいたガムをぷう、とふくらませた。
「そういうもんか」
「そうよ」
まもりが目を奪われていたマニキュアをまじまじと見ていたヒル魔は、か細く呼ぶ声にぐるりと首を巡らせた。
「おーおー、やっと用意できたか糞店員」
「ははははぃいいいい」
脂汗を流す店員ににたりと笑うヒル魔を見て、まもりは当初決心したとおり彼に近寄ろうとしたが。
「おらテメェはこれだ」
「きゃあ!」
どさ、と腕に乗せられたのは消耗品が詰まった袋。
先ほどまもりが必要だと思っていたものが入っている。
「これ・・・」
「必要なんだろ」
言いながらヒル魔は財布を取り出し、店員にちゃんと代金を支払った。
脅すわけではないのだ、と思いつつも結構な額の札を取り出すのを見て声を掛ける。
「あ、お金足りる? 私も持って来てるけど」
「必要ねぇ」
店員は引きつりながらも代金を受け取り、レシートを持って来た。
それを受け取りヒル魔は薬箱を手に店外へと足を向ける。
その後を追ってまもりは声を上げる。
「ねえ! 結局ちゃんとお金払うんなら、私一人でもよかったんじゃないの?」
「糞素人がいちいち薬探して歩き回るより糞店員使った方が早ェんだよ」
ヒル魔は手帳を振ってふん、と鼻を鳴らした。効率よく作業させるためには確かにその手帳の威力は強いだろう。
料金まで踏み倒すつもりではなかったのか、と内心驚きつつも、これは言わねば。
「私だって店員さんにお願いすることくらい出来るわよ」
「ドウデスカネー。融通の利かない糞マネだからなァ」
「そんなことないわよ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながら去っていく二人を、店員はどことなく微笑ましく見送った。
それもまあ、冷や汗を拭いながらではあったが。
<続>
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア