旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
椅子に座ってパソコンでなにやら作業していたヒル魔が不意に身動いだ。
ガタン、という音の後。
「・・・ッ」
僅かにくぐもった声。
「ヒル魔さん?」
どうかしましたか、と部室で残って用具の手入れをしていたセナに尋ねられ、ヒル魔は平然と応じる。
「何でもねぇ」
「そっスか?」
噛み殺したのは悲鳴のようだったけれど、と一緒にいたモン太も心配そうに伺うが、ヒル魔の様子におかしなところはない。
そんな中、一緒に備品整理のため残っていたまもりが僅かに顔を上げ、立ち上がる。
「ヒル魔くん、ちょっといい?」
「ア?」
「棚の上に割れ物があるのに気づいてね、私一人じゃ取れないの」
今残っているのはヒル魔とセナとモン太、それからまもり。
身長のことで言えばヒル魔が一番高い。
「じゃあ踏み台持って来るっスよ!」
「そうだよまもり姉ちゃん、僕らが・・・」
けれどヒル魔はまもりの言葉に立ち上がった。
「どこだ」
「こっち」
連れ立って歩いていくのを見て、セナはモン太と顔を見合わせる。
「ああ、それそれ」
響いたのは硬質な音。ティーカップとかそういった類の音だ。
「ヒル魔くんそれ洗っておいて」
「アァ?!」
「いいでしょ。私今のうちに備品の台帳作っちゃうから」
じゃあよろしくね、と軽い口調で言いはなったまもりが戻ってくると、セナとモン太が信じられないモノをみた、という顔で固まっている。
「ああ、もう少しで終わりそうね」
にこにこと笑顔で戻ってくるまもりはやりかけていた作業を再開する。
「どうしたの? お腹空いた?」
なぜだか威圧感のある笑みに、セナは視線を泳がせる。
「え? あ・・・いや・・・」
「なんなら後は私がやるわよ?」
「いやいや! 俺らが始めたんですから、最後まできっちりやるっス!」
気を取り直して作業を開始する二人の背後から水音。
ヒル魔が、まもりに言われたとおりに食器洗い・・・。
笑顔で作業するまもりの顔がなんとなく直視できなくて、セナもモン太も必死に作業し。
ほどなく作業は終わった。
「お疲れ様。私はもう少し掛かるから先に帰って良いわよ」
「ハ、ハイ!」
「お疲れ様でしたー!」
そうして、挨拶もそこそこに部室を飛び出したのだった。
二人が部室から消えたのを確認して、まもりはカウンターの裏にあるシンクへと顔を出した。
「大丈夫?」
ヒル魔は椅子に座り、憮然とした顔で流水に手を翳していた。
「もういいだろ」
「そうね、そろそろいいわ」
まもりは持ってきた救急箱から湿布を取り出す。途端にヒル魔の眉が寄った。
「まだパソコン使うんでしょ? それなら多少不格好でもこれ巻いておいた方がいいわ」
そうじゃなければ氷嚢でも上に載っけておくんだけど、という言葉にヒル魔は嘆息した。
実は、先ほどヒル魔は、なみなみと注がれた熱々のコーヒーをうっかり自らの指に掛けてしまったのだ。
そのまま何喰わぬ顔で作業を続けようとする彼の様子にすぐ気づいたまもりは、食器洗いを申しつけるふりをして流水に手を晒すように指示したのだ。
二人に気づかれないように、手話でこっそりと。
甲斐甲斐しく手当をするまもりにヒル魔は口を開く。
「明日の校内新聞の号外見出しは『姉崎まもり女王疑惑』だな」
ケケケ、と笑う彼にまもりは殊更にっこりと笑みを浮かべる。
「あら、『蛭魔妖一下僕疑惑』でしょ」
指に巻かれた湿布にヒル魔は眉を寄せる。それでも熱く腫れていた箇所が冷やされると大分楽だ。
「ヒル魔くんにもうっかりってことがあるのね」
くすくすと笑いながら救急箱をしまうまもりに舌打ち一つ零し、ヒル魔は作業途中のパソコンへと戻ったのだった。
***
うっかりコーヒーを零したのは私です(実話)。
とにかくうっかり者なので怪我が多く、自宅には病気より怪我に対する備えの方が断然多いのです。
ガタン、という音の後。
「・・・ッ」
僅かにくぐもった声。
「ヒル魔さん?」
どうかしましたか、と部室で残って用具の手入れをしていたセナに尋ねられ、ヒル魔は平然と応じる。
「何でもねぇ」
「そっスか?」
噛み殺したのは悲鳴のようだったけれど、と一緒にいたモン太も心配そうに伺うが、ヒル魔の様子におかしなところはない。
そんな中、一緒に備品整理のため残っていたまもりが僅かに顔を上げ、立ち上がる。
「ヒル魔くん、ちょっといい?」
「ア?」
「棚の上に割れ物があるのに気づいてね、私一人じゃ取れないの」
今残っているのはヒル魔とセナとモン太、それからまもり。
身長のことで言えばヒル魔が一番高い。
「じゃあ踏み台持って来るっスよ!」
「そうだよまもり姉ちゃん、僕らが・・・」
けれどヒル魔はまもりの言葉に立ち上がった。
「どこだ」
「こっち」
連れ立って歩いていくのを見て、セナはモン太と顔を見合わせる。
「ああ、それそれ」
響いたのは硬質な音。ティーカップとかそういった類の音だ。
「ヒル魔くんそれ洗っておいて」
「アァ?!」
「いいでしょ。私今のうちに備品の台帳作っちゃうから」
じゃあよろしくね、と軽い口調で言いはなったまもりが戻ってくると、セナとモン太が信じられないモノをみた、という顔で固まっている。
「ああ、もう少しで終わりそうね」
にこにこと笑顔で戻ってくるまもりはやりかけていた作業を再開する。
「どうしたの? お腹空いた?」
なぜだか威圧感のある笑みに、セナは視線を泳がせる。
「え? あ・・・いや・・・」
「なんなら後は私がやるわよ?」
「いやいや! 俺らが始めたんですから、最後まできっちりやるっス!」
気を取り直して作業を開始する二人の背後から水音。
ヒル魔が、まもりに言われたとおりに食器洗い・・・。
笑顔で作業するまもりの顔がなんとなく直視できなくて、セナもモン太も必死に作業し。
ほどなく作業は終わった。
「お疲れ様。私はもう少し掛かるから先に帰って良いわよ」
「ハ、ハイ!」
「お疲れ様でしたー!」
そうして、挨拶もそこそこに部室を飛び出したのだった。
二人が部室から消えたのを確認して、まもりはカウンターの裏にあるシンクへと顔を出した。
「大丈夫?」
ヒル魔は椅子に座り、憮然とした顔で流水に手を翳していた。
「もういいだろ」
「そうね、そろそろいいわ」
まもりは持ってきた救急箱から湿布を取り出す。途端にヒル魔の眉が寄った。
「まだパソコン使うんでしょ? それなら多少不格好でもこれ巻いておいた方がいいわ」
そうじゃなければ氷嚢でも上に載っけておくんだけど、という言葉にヒル魔は嘆息した。
実は、先ほどヒル魔は、なみなみと注がれた熱々のコーヒーをうっかり自らの指に掛けてしまったのだ。
そのまま何喰わぬ顔で作業を続けようとする彼の様子にすぐ気づいたまもりは、食器洗いを申しつけるふりをして流水に手を晒すように指示したのだ。
二人に気づかれないように、手話でこっそりと。
甲斐甲斐しく手当をするまもりにヒル魔は口を開く。
「明日の校内新聞の号外見出しは『姉崎まもり女王疑惑』だな」
ケケケ、と笑う彼にまもりは殊更にっこりと笑みを浮かべる。
「あら、『蛭魔妖一下僕疑惑』でしょ」
指に巻かれた湿布にヒル魔は眉を寄せる。それでも熱く腫れていた箇所が冷やされると大分楽だ。
「ヒル魔くんにもうっかりってことがあるのね」
くすくすと笑いながら救急箱をしまうまもりに舌打ち一つ零し、ヒル魔は作業途中のパソコンへと戻ったのだった。
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うっかりコーヒーを零したのは私です(実話)。
とにかくうっかり者なので怪我が多く、自宅には病気より怪我に対する備えの方が断然多いのです。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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