旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
早朝、部活が始まる前のひととき。
この時間は貴重だ。誰に邪魔されるでもなく、一日の予定を立てるのに向いている。
作業をほぼ終える頃、糞マネが来る。
コーヒーを一杯所望し、それを手に俺は練習のスケジュールを打ち出して糞マネと打ち合わせする。
その書類を打ち出す、ほんの僅かな時間に他愛もない話をすることもある。
この日もそれだった。
「ヒル魔くんって、好き嫌いないの?」
そう尋ねる糞マネに、俺は表情も変えず答えた。
「糞甘臭ェモンは食いモンじゃねぇ」
いつもならこの答えで大体こいつはきゃんきゃん吠えるかぷうっと膨らむかで途端に人外になる。
糞赤犬か糞タコか。
このときもどちらかだろう、そう踏んでいたのだが。
「うーん」
糞マネは首を捻って唸った。
「そういうんじゃなくて」
「どういうんだよ」
「例えば、蕎麦が苦手とか辛いモノがダメとか、そういうこと。料理の部分の」
それに俺は怪訝な顔をして糞マネに視線を向けた。
「俺にアレルギーはねぇぞ」
「アレルギーでもなくって! これが苦手、とか」
「ねぇな」
「ホントに? どうしてもこれだけはダメ、とかないの?」
いつになくしつこく食い下がる糞マネに俺は眉を寄せる。
「あのね、お弁当作って来たの」
俺は打ち出したスケジュールを危うく取り落とすところだった。
弁当?
「ナンデ」
「え? だって、ヒル魔くんってあんまり食べることに熱心じゃないから」
それがなんで俺に弁当を作ってくる理由になるんだ。
俺の疑問を敏感にかぎ取って、糞マネは続けた。
「ヒル魔くん、人は食べたもので出来てるのよ?」
「知ってる」
「それは知識として、でしょ。いいからこれ食べて」
ぐい、と押しつけられたのはまだぬくもりが仄かに残る弁当箱。
俺用なのだろう、黒いハンカチで包まれたそれは結構な大きさがあった。
「毒でも盛ってるんじゃねぇだろうな」
「あら、そんな風にされる自覚がある?」
糞マネは俺がよくやるように片眉を上げて見せた。
「極力毒は抑えたわよ」
「ア?」
抑えた?
「塩と油よ」
奴はあっさりと言って、俺の持つ弁当箱を見る。
「塩をひとさじ、油も多めに、徐々に徐々に増やしていったらどうなると思う?」
俺はわざとらしく丁寧に答えた。
「健康に大変悪いです」
「よろしい」
満足そうに頷いて、糞マネは弁当をつついた。
「これからお昼のお弁当は作って来てあげる。クリスマスボウルまでに体調崩されたら大変だから」
「ケッ、俺がそんな簡単に寝込むと思ってんのか?」
「思ってないわ。むしろ怪我でも病気でも動ける限りは動きそうだもの」
「正解」
休むのも練習のうちよ、そう言う糞マネの声をBGMに俺は弁当箱を鞄の中に突っ込む。
乱暴にしないでよ、そう言うのを聞いてにやりと口角を上げる。
「汁漏れして銃がダメになったら弁償だからな」
「ちゃんとビニールで保護してあります!」
そう言いつつも、そっかその手があったか、と呟く糞マネの額にデコピンをかまし、俺はパソコンに向き直る。
「んもう!」
むくれた声を上げてるが、ちらりと見た糞マネの頬は緩んでいる。
そして始終顔が赤らんでいることに自覚はないだろう。
俺の口角も間違いなく上がってるな、と自覚しながらも抑えはしない。
そーかそーか、そんなに俺が好きか糞マネ。
毎朝律儀にコーヒー淹れるだけじゃ飽き足らなかったか。
「そのうちな」
「? 何が?」
小首を傾げる糞マネを見ながらコーヒーを飲み干す。
そのうち三食全部作らせてやるよ、とは。
俺の胸の内だけで呟くことにした。
***
なんかカワイイ話が書きたくなったんですが・・・カワイイ?
カワイイ・・・んだろうか、コレ。
この時間は貴重だ。誰に邪魔されるでもなく、一日の予定を立てるのに向いている。
作業をほぼ終える頃、糞マネが来る。
コーヒーを一杯所望し、それを手に俺は練習のスケジュールを打ち出して糞マネと打ち合わせする。
その書類を打ち出す、ほんの僅かな時間に他愛もない話をすることもある。
この日もそれだった。
「ヒル魔くんって、好き嫌いないの?」
そう尋ねる糞マネに、俺は表情も変えず答えた。
「糞甘臭ェモンは食いモンじゃねぇ」
いつもならこの答えで大体こいつはきゃんきゃん吠えるかぷうっと膨らむかで途端に人外になる。
糞赤犬か糞タコか。
このときもどちらかだろう、そう踏んでいたのだが。
「うーん」
糞マネは首を捻って唸った。
「そういうんじゃなくて」
「どういうんだよ」
「例えば、蕎麦が苦手とか辛いモノがダメとか、そういうこと。料理の部分の」
それに俺は怪訝な顔をして糞マネに視線を向けた。
「俺にアレルギーはねぇぞ」
「アレルギーでもなくって! これが苦手、とか」
「ねぇな」
「ホントに? どうしてもこれだけはダメ、とかないの?」
いつになくしつこく食い下がる糞マネに俺は眉を寄せる。
「あのね、お弁当作って来たの」
俺は打ち出したスケジュールを危うく取り落とすところだった。
弁当?
「ナンデ」
「え? だって、ヒル魔くんってあんまり食べることに熱心じゃないから」
それがなんで俺に弁当を作ってくる理由になるんだ。
俺の疑問を敏感にかぎ取って、糞マネは続けた。
「ヒル魔くん、人は食べたもので出来てるのよ?」
「知ってる」
「それは知識として、でしょ。いいからこれ食べて」
ぐい、と押しつけられたのはまだぬくもりが仄かに残る弁当箱。
俺用なのだろう、黒いハンカチで包まれたそれは結構な大きさがあった。
「毒でも盛ってるんじゃねぇだろうな」
「あら、そんな風にされる自覚がある?」
糞マネは俺がよくやるように片眉を上げて見せた。
「極力毒は抑えたわよ」
「ア?」
抑えた?
「塩と油よ」
奴はあっさりと言って、俺の持つ弁当箱を見る。
「塩をひとさじ、油も多めに、徐々に徐々に増やしていったらどうなると思う?」
俺はわざとらしく丁寧に答えた。
「健康に大変悪いです」
「よろしい」
満足そうに頷いて、糞マネは弁当をつついた。
「これからお昼のお弁当は作って来てあげる。クリスマスボウルまでに体調崩されたら大変だから」
「ケッ、俺がそんな簡単に寝込むと思ってんのか?」
「思ってないわ。むしろ怪我でも病気でも動ける限りは動きそうだもの」
「正解」
休むのも練習のうちよ、そう言う糞マネの声をBGMに俺は弁当箱を鞄の中に突っ込む。
乱暴にしないでよ、そう言うのを聞いてにやりと口角を上げる。
「汁漏れして銃がダメになったら弁償だからな」
「ちゃんとビニールで保護してあります!」
そう言いつつも、そっかその手があったか、と呟く糞マネの額にデコピンをかまし、俺はパソコンに向き直る。
「んもう!」
むくれた声を上げてるが、ちらりと見た糞マネの頬は緩んでいる。
そして始終顔が赤らんでいることに自覚はないだろう。
俺の口角も間違いなく上がってるな、と自覚しながらも抑えはしない。
そーかそーか、そんなに俺が好きか糞マネ。
毎朝律儀にコーヒー淹れるだけじゃ飽き足らなかったか。
「そのうちな」
「? 何が?」
小首を傾げる糞マネを見ながらコーヒーを飲み干す。
そのうち三食全部作らせてやるよ、とは。
俺の胸の内だけで呟くことにした。
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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