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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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夢想寓話(下)

+ + + + + + + + + +
ヒル魔はぼんやりと瞬いた。
視界に入るのが見慣れない景色だと考えて一瞬思考が止まる。
「・・・ア?」
一体、自分は今どこにいて何をしていたのか。
のっそりと起き上がり、ヒル魔はここが自室であることに気づく。
そうして意識を失うまでの事を思い返す。
言い争うのにも疲れて、彼女を部屋に連れてきて、マッサージをするから床に寝ろと言われた―――
そこまで思い出して、ヒル魔はばっと起き上がり、あたりを見回した。
自らの身体に掛かっていたのはこの部屋にあった予備の毛布。
ずるりとそれが床に落ちる。
ということは、まんまと自分は眠ってしまったわけだ。
余り嬉しくない事実に舌打ちしたが。
「・・・ん・・・」
途端に聞こえてきた寝声に、今度こそヒル魔は動きを止めた。
声の方向に顔を向けると、ベッドがこんもりと盛り上がっているではないか。
それは、まさか。
恐る恐る立ち上がり、近寄ると―――そこには平和な顔をしてまもりがすやすやと眠りこけていた。
寝苦しかったからだろう、上着を脱いでリボンを外して、シャツの襟元を乱している。
糞無防備だった。この上なく。
まもりは何故かヒル魔の枕を抱きしめて眠っていた。
「・・・オイ」
言いたいことは山ほどあるが、とりあえず起こしてからだ、と思い直して、ヒル魔は彼女を揺さぶった。
だが、まもりは首を振ってますます枕にぎゅうっとしがみつく。
「オイ、糞マネ。起きろ」
「ん・・・」
ほとんど寝言のような感じで応じるが、起きる気配がない。
これ以上ないくらい幸せそうな顔で眠っているのを見ていると、なんだかこちらまで眠気がぶり返してきた。
一人暮らしの男の寝床で、勝手にすこすこ寝こける糞甘々な女。
けれど彼女でなければここまで油断しなかったし、何をどういわれても連れ帰ることはなかっただろう。
男の部屋に、ましてや一人暮らしのところにやってくるのがどういうことかこれっぽっちも判ってない女。
ふと、おとぎ話を思い出した。
一人暮らしではなかったけれど、小人達だけが住まう小屋に勝手に入り込んでベッドに潜り込んだ糞姫君がいた。
あの糞姫君は小人達の忠告も受け入れず、何度も継母が扮する他人の甘言に惑わされてばかりいた。
ぎしり、とベッドが軋む。
ヒル魔がのっそりとまもりの眠るベッドへと上がる。
姫を狙う魔女のように、うっそりと背中を丸めて。
「俺は忠告したぞ、糞白雪」

その声は密やかすぎて。
彼女を目覚めさせるには、至らない。


***
本人の希望がもろに出てます。・・・マッサージ行きたい-!(笑)
マッサージ云々の話は以前発行されたオフィシャルノベライズの設定です。
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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