旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
クリスマスボウルが終わってから、不気味なほどに沈黙した蛭魔妖一の次の一手が何になるか、私にはすぐわからなかった。
彼の全てを注ぎ込んだと言っても過言ではないくらいの密度の日々は終わった。
次の目標をどこに持っていくのか、知りたかったけれど、冬休みに突入した私は彼と接する機会はなくて。
けれど彼はアメリカに行くと言い残して姿を消した。
間を空けずやってきた世界戦への誘いに彼の目的はすぐ知れた。
一足先に最強アメリカの偵察を終えて戻ってきたヒル魔くんから資料を渡され、彼の手助けを当たり前のようにこなしたけれど。
不可思議なことがある。
それは、私が日本代表のマネージャーとして随行する必要がないのでは、ということ。
各高校にはそれぞれマネージャーは存在するし、大会自体が異国で成されるのなら、トレーナーにしろマネージャーにしろ主務にしろ年齢制限なく大人が随行するのが筋だと思うのだ。
事実、実質監督に位置するのは関東アメフト協会の理事長だったし、トレーナーはどぶろく先生だった。
マネージャーだけがこんな、高校生の私でいいんだろうか。
チアの面々は各高校選抜でやってきているから、巨深・西部・泥門とそれぞれが参加することになっていて楽しそうだ。
私のサポートは鈴音ちゃんがしてくれるというけれど、結局事務方は私一人では支えきれなくなるのは明白で。
「ねえ、ヒル魔くん。マネージャーって他の高校の子は参加しないの?」
「ア?」
参加者のリストをチェックした私は、やはり私以外にマネージャーがいないのに少なからず落胆した。
相手が限られているからデータが無尽蔵に増えるわけではないけれど、洗濯などの雑事に割ける人員が少ない。
「私一人じゃ賄えないわよ?」
「洗濯はホテルのサービス利用、三食の飯も朝晩はホテル、昼は各自。タオル等の用具については現地で借りて持ち込みはドリンク等の消耗品のみ。運搬は力の有り余ってるライン連中にやらせりゃいい。その他の仕事はHP管理とデータ整理。テメェ一人で十分だろうが」
立て板に水のごとく、まくし立てられて私は黙る。
確かにそうだけれど、一人では心もとないのは事実。
ヒル魔くんは更に続ける。
「データ整理はいままでどおり、二人でやりゃいいだろ」
「え? ヒル魔くん、手伝ってくれるの?」
「他校の連中に一からテメェのやり方教えたところですぐ使い物になるわけがねぇ。それなら俺ら二人でやった方が効率いいだろうが」
言いながら、彼はぽんとエンターキーを押した。途端にプリンターが書類を打ち出す。
「期間が長いなら他に考えようもあるが、たかだか二週間かそこらの話だぞ」
打ち出された大会行程を見せてもらったら、確かに短い期間だった。
「・・・でも、ヒル魔くんにとっては願ってもないチャンスでしょ? そこに余計な仕事抱えたら大変じゃないの?」
純粋に疑問で、私は尋ねた。
だって、大会のMVPには日本円にして三億円、そしてNFL選手としての契約が褒賞として用意されているのだ。
彼はお金はあればあるだけいいだろうし、アメリカでプロ入りなんてもっともっと欲しいだろう。
仕事なんて抱えなくたって、他の子にやらせてしまえばいいものを。
「MVP、つったってチームが優勝しねぇと選ばれねぇだろうが」
「うん、そうよね」
「アメリカ相手に情報なしに突っ込んで勝てる訳がねぇだろ。情報は何より重要だ」
それは彼が単身アメリカに渡って情報を得てきたことからもその重要性は明らかだ。
その前に倒す相手がいるとはいえ、そこは拮抗している。
けれどアメリカはそれと比較して強大で。
その牙城を突き崩すにはやはり情報が必要なのだ。
重要性は理解できたけれど、その管理をヒル魔くんと二人だけでするというのはどうかしら、とまだ引っかかる私に。
「言っただろう、糞マネ」
ケケケ、と彼は口角を上げて笑うのだ。
「テメェは労働力として従順に働いてればいいんだよ」
結局は使いやすいのが一番だ、と言わんばかりの口調に、私は諦め肩をすくめるに留めた。
<続>
彼の全てを注ぎ込んだと言っても過言ではないくらいの密度の日々は終わった。
次の目標をどこに持っていくのか、知りたかったけれど、冬休みに突入した私は彼と接する機会はなくて。
けれど彼はアメリカに行くと言い残して姿を消した。
間を空けずやってきた世界戦への誘いに彼の目的はすぐ知れた。
一足先に最強アメリカの偵察を終えて戻ってきたヒル魔くんから資料を渡され、彼の手助けを当たり前のようにこなしたけれど。
不可思議なことがある。
それは、私が日本代表のマネージャーとして随行する必要がないのでは、ということ。
各高校にはそれぞれマネージャーは存在するし、大会自体が異国で成されるのなら、トレーナーにしろマネージャーにしろ主務にしろ年齢制限なく大人が随行するのが筋だと思うのだ。
事実、実質監督に位置するのは関東アメフト協会の理事長だったし、トレーナーはどぶろく先生だった。
マネージャーだけがこんな、高校生の私でいいんだろうか。
チアの面々は各高校選抜でやってきているから、巨深・西部・泥門とそれぞれが参加することになっていて楽しそうだ。
私のサポートは鈴音ちゃんがしてくれるというけれど、結局事務方は私一人では支えきれなくなるのは明白で。
「ねえ、ヒル魔くん。マネージャーって他の高校の子は参加しないの?」
「ア?」
参加者のリストをチェックした私は、やはり私以外にマネージャーがいないのに少なからず落胆した。
相手が限られているからデータが無尽蔵に増えるわけではないけれど、洗濯などの雑事に割ける人員が少ない。
「私一人じゃ賄えないわよ?」
「洗濯はホテルのサービス利用、三食の飯も朝晩はホテル、昼は各自。タオル等の用具については現地で借りて持ち込みはドリンク等の消耗品のみ。運搬は力の有り余ってるライン連中にやらせりゃいい。その他の仕事はHP管理とデータ整理。テメェ一人で十分だろうが」
立て板に水のごとく、まくし立てられて私は黙る。
確かにそうだけれど、一人では心もとないのは事実。
ヒル魔くんは更に続ける。
「データ整理はいままでどおり、二人でやりゃいいだろ」
「え? ヒル魔くん、手伝ってくれるの?」
「他校の連中に一からテメェのやり方教えたところですぐ使い物になるわけがねぇ。それなら俺ら二人でやった方が効率いいだろうが」
言いながら、彼はぽんとエンターキーを押した。途端にプリンターが書類を打ち出す。
「期間が長いなら他に考えようもあるが、たかだか二週間かそこらの話だぞ」
打ち出された大会行程を見せてもらったら、確かに短い期間だった。
「・・・でも、ヒル魔くんにとっては願ってもないチャンスでしょ? そこに余計な仕事抱えたら大変じゃないの?」
純粋に疑問で、私は尋ねた。
だって、大会のMVPには日本円にして三億円、そしてNFL選手としての契約が褒賞として用意されているのだ。
彼はお金はあればあるだけいいだろうし、アメリカでプロ入りなんてもっともっと欲しいだろう。
仕事なんて抱えなくたって、他の子にやらせてしまえばいいものを。
「MVP、つったってチームが優勝しねぇと選ばれねぇだろうが」
「うん、そうよね」
「アメリカ相手に情報なしに突っ込んで勝てる訳がねぇだろ。情報は何より重要だ」
それは彼が単身アメリカに渡って情報を得てきたことからもその重要性は明らかだ。
その前に倒す相手がいるとはいえ、そこは拮抗している。
けれどアメリカはそれと比較して強大で。
その牙城を突き崩すにはやはり情報が必要なのだ。
重要性は理解できたけれど、その管理をヒル魔くんと二人だけでするというのはどうかしら、とまだ引っかかる私に。
「言っただろう、糞マネ」
ケケケ、と彼は口角を上げて笑うのだ。
「テメェは労働力として従順に働いてればいいんだよ」
結局は使いやすいのが一番だ、と言わんばかりの口調に、私は諦め肩をすくめるに留めた。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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