旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
妖介はまもりの足にまとわりつきながら不意に口を開いた。
「ねー、おかーさん」
「なあに?」
「ぼくね、大きくなったらかみの毛染めてきんいろにするね」
きょろ、とヒル魔と同じ色の眸がまもりを見つめる。
「そうしたらおかーさんとけっこんできる?」
にこっと笑った顔には父親のような害はない。純粋な期待が満ちている。
が。
「おら妖介、テメェの番だ、来い」
「わあっ!」
ぐわしっとヒル魔の大きな手が妖介の頭を鷲掴んだ。
ほとんど引きずるような体勢にまもりは声をあげ、アヤも目を見開く。
「ちょ、ちょっとヒル魔くん!? どうしたのいきなり!」
「い、いたいよう! おとーさん!」
「おとうさん!? 妖介!?」
「姉崎、さっさと護風呂に入れて来い」
焦るまもりとアヤにかまわず、じたばたと暴れる妖介の頭をクッションの上に固定しながらヒル魔はそっけなく告げる。
そっけないが、自分のことを姉崎と呼んだからには何か含みがありそうな気がする。
まもりは逡巡したが、確かに時間的にはそろそろ護を風呂に入れて寝かしつけたい。
耳かきを始めれば妖介の声も動きもぴたりと止まったし。
大丈夫、だろうか。
様子を見ていたアヤがまもりの足をとんと叩く。
「おかあさん、だいじょうぶだよ。アヤ、見てるから」
「・・・うん。じゃあ護と一緒にお風呂入ってくるね?」
「うん」
しっかり者のアヤにいざとなったら呼ぶようにと申し付けて、まもりは心配そうにしつつも寝ぼけ眼の護を抱いて浴室へと消えた。
それを見送って、アヤはヒル魔と妖介がいる場所に近寄る。
「おとーさん、なんで髪の毛染めてるの?」
「似合うから」
その金色をまぶしそうに見上げていて、妖介は不意に声を上げた。
「いたっ!」
「あー、こないだテメェ耳になんか突っ込んで怪我したろ」
何やってんだ、と呆れ口調でそこを避けてヒル魔は耳掻きを続ける。
「まだまだ糞ガキだなァ」
「そんなことないよ!」
「そんなんで母さんと結婚できると思ってるのか?」
にやりと口角こそ上がっているが、その目は笑ってない。
「テメェが大きくなろうが、髪染めようが、母さんは父さんのものだ」
しんとつめたい声音に、妖介はひくりと肩を揺らした。
「諦めろ」
その大人気ないなしように、アヤは肩をすくめてこの後どう弟を宥めようかと思いをめぐらせた。
まもりが風呂から出た後、護の耳掻きも手早く済ませてさっさと寝かしつけ、まもりは軽い足音と共にヒル魔の元に戻ってきた。
彼は耳掻き棒をひょいと所定の位置に投げ戻すところだった。
「あ! ヒル魔くん、自分の耳掻きしちゃった!?」
「当然」
それにまもりはむーっと眉を寄せる。
「どうして!? 私がやってあげる、って言ってるのに!」
まもりの手には耳掻きとはあまり結びつかない機械が載っている。
ヒル魔はそれを嫌そうに一瞥し、取り上げて不燃ごみへと投げ入れる。
「あ・・・! ちょ、もう! せっかく買ったのに!」
取りに戻ろうとするのを、ヒル魔はまもりの腕を掴んで引き戻した。
「テメェがあんなもの使わないでフツーに耳掻きすんならさせてやる」
「あんなものとは何よ! ただのライトじゃない!」
それも普通とは違う、口にくわえて使用するライトだ。
ヒル魔の眉がキリキリとつりあがった。
「膝枕で耳掻きならまだしも、座ったまんまでンなライト加えたテメェに耳の穴かっぽじられるなんざ気色悪ィ!!」
「膝枕でもいいわよ? ライトでよだれ垂れちゃうけど」
「ンなモン使うな、っつってんだ!」
研究熱心なまもりのこと、たまたま出かけた先でライトを見つけて嬉々として買ってきたのだ。
これで奥までよく見えるから、と言ってにじり寄られた時の落胆は大きかった。
苦々しいヒル魔の顔に、まもりは数回瞬きして小首をかしげた。
「・・・ってことは、ヒル魔くんてば膝枕してほしいの?」
まさかね、と笑うまもりの膝裏に腕を回し、そうして。
「きゃ!?」
抱えられ、一瞬の浮遊の後に下ろされたのはソファ。
座らされたのだと気づいた直後、まもりの腿にヒル魔の頭が乗った。
そのまま柔らかい腹へ鼻先を埋めるように姿勢を変えて腰に腕を回して。
ちらりと見上げる視線に、まもりはじわじわと浮かぶ笑みに頬を緩める。
「ヒル魔くんも嫉妬するなんて知らなかったわ」
それも自分の息子に? そう笑うまもりにただ鼻を鳴らし、ぐりぐりと頭を押し付ける。
自らの頭をそっと撫でる手に満足してヒル魔は口角を上げる。
そうして内心呟いた。
嫉妬なんてずっとし通しだこの糞ニブニブ女、と。
***
膝枕で耳掻きの妄想がどうしても書きたいのに形にならず、なんだかもどかしい日々を送っていたところ、某さまがネタの使用許可くださったのでやっと書けましたwちなみにウチは耳掻きは父の仕事です。
「ねー、おかーさん」
「なあに?」
「ぼくね、大きくなったらかみの毛染めてきんいろにするね」
きょろ、とヒル魔と同じ色の眸がまもりを見つめる。
「そうしたらおかーさんとけっこんできる?」
にこっと笑った顔には父親のような害はない。純粋な期待が満ちている。
が。
「おら妖介、テメェの番だ、来い」
「わあっ!」
ぐわしっとヒル魔の大きな手が妖介の頭を鷲掴んだ。
ほとんど引きずるような体勢にまもりは声をあげ、アヤも目を見開く。
「ちょ、ちょっとヒル魔くん!? どうしたのいきなり!」
「い、いたいよう! おとーさん!」
「おとうさん!? 妖介!?」
「姉崎、さっさと護風呂に入れて来い」
焦るまもりとアヤにかまわず、じたばたと暴れる妖介の頭をクッションの上に固定しながらヒル魔はそっけなく告げる。
そっけないが、自分のことを姉崎と呼んだからには何か含みがありそうな気がする。
まもりは逡巡したが、確かに時間的にはそろそろ護を風呂に入れて寝かしつけたい。
耳かきを始めれば妖介の声も動きもぴたりと止まったし。
大丈夫、だろうか。
様子を見ていたアヤがまもりの足をとんと叩く。
「おかあさん、だいじょうぶだよ。アヤ、見てるから」
「・・・うん。じゃあ護と一緒にお風呂入ってくるね?」
「うん」
しっかり者のアヤにいざとなったら呼ぶようにと申し付けて、まもりは心配そうにしつつも寝ぼけ眼の護を抱いて浴室へと消えた。
それを見送って、アヤはヒル魔と妖介がいる場所に近寄る。
「おとーさん、なんで髪の毛染めてるの?」
「似合うから」
その金色をまぶしそうに見上げていて、妖介は不意に声を上げた。
「いたっ!」
「あー、こないだテメェ耳になんか突っ込んで怪我したろ」
何やってんだ、と呆れ口調でそこを避けてヒル魔は耳掻きを続ける。
「まだまだ糞ガキだなァ」
「そんなことないよ!」
「そんなんで母さんと結婚できると思ってるのか?」
にやりと口角こそ上がっているが、その目は笑ってない。
「テメェが大きくなろうが、髪染めようが、母さんは父さんのものだ」
しんとつめたい声音に、妖介はひくりと肩を揺らした。
「諦めろ」
その大人気ないなしように、アヤは肩をすくめてこの後どう弟を宥めようかと思いをめぐらせた。
まもりが風呂から出た後、護の耳掻きも手早く済ませてさっさと寝かしつけ、まもりは軽い足音と共にヒル魔の元に戻ってきた。
彼は耳掻き棒をひょいと所定の位置に投げ戻すところだった。
「あ! ヒル魔くん、自分の耳掻きしちゃった!?」
「当然」
それにまもりはむーっと眉を寄せる。
「どうして!? 私がやってあげる、って言ってるのに!」
まもりの手には耳掻きとはあまり結びつかない機械が載っている。
ヒル魔はそれを嫌そうに一瞥し、取り上げて不燃ごみへと投げ入れる。
「あ・・・! ちょ、もう! せっかく買ったのに!」
取りに戻ろうとするのを、ヒル魔はまもりの腕を掴んで引き戻した。
「テメェがあんなもの使わないでフツーに耳掻きすんならさせてやる」
「あんなものとは何よ! ただのライトじゃない!」
それも普通とは違う、口にくわえて使用するライトだ。
ヒル魔の眉がキリキリとつりあがった。
「膝枕で耳掻きならまだしも、座ったまんまでンなライト加えたテメェに耳の穴かっぽじられるなんざ気色悪ィ!!」
「膝枕でもいいわよ? ライトでよだれ垂れちゃうけど」
「ンなモン使うな、っつってんだ!」
研究熱心なまもりのこと、たまたま出かけた先でライトを見つけて嬉々として買ってきたのだ。
これで奥までよく見えるから、と言ってにじり寄られた時の落胆は大きかった。
苦々しいヒル魔の顔に、まもりは数回瞬きして小首をかしげた。
「・・・ってことは、ヒル魔くんてば膝枕してほしいの?」
まさかね、と笑うまもりの膝裏に腕を回し、そうして。
「きゃ!?」
抱えられ、一瞬の浮遊の後に下ろされたのはソファ。
座らされたのだと気づいた直後、まもりの腿にヒル魔の頭が乗った。
そのまま柔らかい腹へ鼻先を埋めるように姿勢を変えて腰に腕を回して。
ちらりと見上げる視線に、まもりはじわじわと浮かぶ笑みに頬を緩める。
「ヒル魔くんも嫉妬するなんて知らなかったわ」
それも自分の息子に? そう笑うまもりにただ鼻を鳴らし、ぐりぐりと頭を押し付ける。
自らの頭をそっと撫でる手に満足してヒル魔は口角を上げる。
そうして内心呟いた。
嫉妬なんてずっとし通しだこの糞ニブニブ女、と。
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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