旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔がクッションを片手に床に座ったら。
それは耳掻きをするぞ、という合図。
こういった作業は本来まもりの方が得意だが、スキンシップの一環としてヒル魔がやるのが暗黙の了解だ。
「おとうさん、おねがいしまーす」
「おー」
胡坐をかいた上にクッションをすえて、その上にアヤがころんと転がる。
風呂上がりのため、濡れたままの黒髪がそこに広がる。
「あら、アヤ。それじゃお父さんの膝濡れちゃうでしょ。タオルひくからちょっと起きて」
「はーい」
手早くまもりが一度体を起こしたアヤの傍らでバスタオルをクッションの上に広げる。
「はいどうぞ」
「ありがとう、おかあさん」
「どういたしまして」
にこ、とアヤとまもりは顔を見合わせて笑う。
ありがとう、という言葉は皆が嬉しくなるのよ、と幼いわが子に熱心に教えるまもりの方針にヒル魔は異論を唱えることはない。
まっとうな育てられ方をされた覚えのないヒル魔は、子育てに関しては手伝いこそするが自らが主導して動くことはほとんどなかった。
鍛える、という点では存分に指導するけれども。
まもりは護が動き回って耳掻きの邪魔をしないように抱き上げた。
昼間の疲れが出たのか、護はまもりの膝の上でうつらうつらし始めている。
もう一度転がったアヤの耳をヒル魔の指がつまんだ。
ヒル魔譲りの耳は大きいが、穴が大きいわけでもない。覗き込みながら細心の注意を払って耳掻き棒を突っ込む。
丁寧な所作にアヤは時々声を上げたり身をすくませたりしながらもおとなしくしている。
と、風呂から出た妖介も顔を出した。
「おとーさん、次僕ね!」
「おー。ちゃんと頭拭けよ」
「拭いたもん!」
「床。垂れてるぞ」
まだきちんと拭いきれていないのだろう、毛先から水滴が滴り落ちている。
「あらら」
まもりがタオルを手に立とうとするが。
「だいじょうぶだよ、おかあさん」
アヤの明瞭な声がまもりの背に掛けられる。
まもりが視線を向けた先で妖介は自らの頭にタオルを載せて動かしてた。
「うーん・・・」
わしゃわしゃ、と一生懸命頭を拭い、ぷはっと妖介が息をつく。
「わ!」
まもりの楽しそうな声に、ヒル魔とアヤの視線が向く。
その声の理由はすぐ知れた。彼の髪が逆立って、まるでヒル魔の髪型のようになっているのだ。
「妖介、髪型がお父さんそっくりになったわよ」
「ホント!?」
ぱ、と顔を輝かせて見上げるその姿に、まもりは表情をほころばせる。
こうして見ると、ヒル魔くんが小さいときはこういう顔だったんだろうなあって想像つくわ。
そう内心で独り言ちて、まもりは妖介を抱き寄せる。
やっぱり自分ではやりづらいらしい後頭部をタオルで拭ってやると、心地よさそうに笑う。
「ねえねえ、ぼくも大きくなったらおとーさんみたいにかみの毛金色になるの?」
そうしたらもっとそっくりだよね、と瞳を輝かせる妖介にまもりは少々考えた。
肯定するにしても否定するにしても説明が難しい。
「髪の毛の色は生まれつきだからそのままなのよ。大きくなってから染めたりもするわ」
「じゃあおとーさんは生まれつきその色なの?」
「いいえ、お父さんは染めてるのよ」
笑いながらまもりは妖介の髪をすっかり拭いきって、床に散った水滴も拭う。
背後では耳掻きを終えたアヤが伸びをしている。
「ありがとう、おとうさん」
「交代な。妖介連れて来い」
「はーい」
<続>
それは耳掻きをするぞ、という合図。
こういった作業は本来まもりの方が得意だが、スキンシップの一環としてヒル魔がやるのが暗黙の了解だ。
「おとうさん、おねがいしまーす」
「おー」
胡坐をかいた上にクッションをすえて、その上にアヤがころんと転がる。
風呂上がりのため、濡れたままの黒髪がそこに広がる。
「あら、アヤ。それじゃお父さんの膝濡れちゃうでしょ。タオルひくからちょっと起きて」
「はーい」
手早くまもりが一度体を起こしたアヤの傍らでバスタオルをクッションの上に広げる。
「はいどうぞ」
「ありがとう、おかあさん」
「どういたしまして」
にこ、とアヤとまもりは顔を見合わせて笑う。
ありがとう、という言葉は皆が嬉しくなるのよ、と幼いわが子に熱心に教えるまもりの方針にヒル魔は異論を唱えることはない。
まっとうな育てられ方をされた覚えのないヒル魔は、子育てに関しては手伝いこそするが自らが主導して動くことはほとんどなかった。
鍛える、という点では存分に指導するけれども。
まもりは護が動き回って耳掻きの邪魔をしないように抱き上げた。
昼間の疲れが出たのか、護はまもりの膝の上でうつらうつらし始めている。
もう一度転がったアヤの耳をヒル魔の指がつまんだ。
ヒル魔譲りの耳は大きいが、穴が大きいわけでもない。覗き込みながら細心の注意を払って耳掻き棒を突っ込む。
丁寧な所作にアヤは時々声を上げたり身をすくませたりしながらもおとなしくしている。
と、風呂から出た妖介も顔を出した。
「おとーさん、次僕ね!」
「おー。ちゃんと頭拭けよ」
「拭いたもん!」
「床。垂れてるぞ」
まだきちんと拭いきれていないのだろう、毛先から水滴が滴り落ちている。
「あらら」
まもりがタオルを手に立とうとするが。
「だいじょうぶだよ、おかあさん」
アヤの明瞭な声がまもりの背に掛けられる。
まもりが視線を向けた先で妖介は自らの頭にタオルを載せて動かしてた。
「うーん・・・」
わしゃわしゃ、と一生懸命頭を拭い、ぷはっと妖介が息をつく。
「わ!」
まもりの楽しそうな声に、ヒル魔とアヤの視線が向く。
その声の理由はすぐ知れた。彼の髪が逆立って、まるでヒル魔の髪型のようになっているのだ。
「妖介、髪型がお父さんそっくりになったわよ」
「ホント!?」
ぱ、と顔を輝かせて見上げるその姿に、まもりは表情をほころばせる。
こうして見ると、ヒル魔くんが小さいときはこういう顔だったんだろうなあって想像つくわ。
そう内心で独り言ちて、まもりは妖介を抱き寄せる。
やっぱり自分ではやりづらいらしい後頭部をタオルで拭ってやると、心地よさそうに笑う。
「ねえねえ、ぼくも大きくなったらおとーさんみたいにかみの毛金色になるの?」
そうしたらもっとそっくりだよね、と瞳を輝かせる妖介にまもりは少々考えた。
肯定するにしても否定するにしても説明が難しい。
「髪の毛の色は生まれつきだからそのままなのよ。大きくなってから染めたりもするわ」
「じゃあおとーさんは生まれつきその色なの?」
「いいえ、お父さんは染めてるのよ」
笑いながらまもりは妖介の髪をすっかり拭いきって、床に散った水滴も拭う。
背後では耳掻きを終えたアヤが伸びをしている。
「ありがとう、おとうさん」
「交代な。妖介連れて来い」
「はーい」
<続>
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プロフィール
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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