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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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密室黙契(上)

(ヒルまも)


+ + + + + + + + + +
泥門高校の部活は二年生の夏まで。
正確には三年生の夏まで部活としては参加可能なのだけれど、アメフトのシーズンは秋から冬、丁度受験期と重なるためか三年生の参加を認めていない。
ヒル魔ならそれくらい覆しそうだったけれど、ストイックなほどに彼はそれを拒んだ。
「意外だったわ」
「ナニガ」
まもりの呟きにヒル魔が応じる。
ペンを止め、まもりは正面の彼の顔を見る。
「ヒル魔くんが三年生の部活参加を後押ししなかったことが」
彼らは夏休み中に一、二年の練習を手伝ったが、最終日には引退式を行ってその後は練習に口出しすることはなかった。
勝ち進む大会の応援には行くものの、ヒル魔の所業を考えれば大人しすぎると言っても良かった。
それでもヒル魔がどこからともなく仕入れてくるデータは現在の主務やマネージャーだけでは捌き切れない。
なので、頭脳的な面でまもりとヒル魔は完全に引退しているわけではなかった。
今も、外で部員たちが練習する傍ら、データを取りまとめている。
「ルールは守ってこそ、だ」
にやりと笑ってキーボードを叩く彼に、まもりは肩をすくめたが反論はしなかった。
彼はアメフトの試合についてはそれはそれは厳格で。
過去に審判員に食って掛かる部員たちを怒鳴りつけ、審判員は公正であり、彼らの職務を邪魔することは許さないと態度で示した。
すべてがイレギュラーなようでいて、そういったルールは守る彼が当初は不思議でしょうがなかった。
けれど少し時を共に過ごせば、すぐに知れた。
ルールを厳格に守ってこそ、フィールドで戦う者たちにあるのは実力差だけになるのだ。
どちらかの身内贔屓や権力に曇った判断を下すような環境では真の優劣はつけられない、と。
「どうせなら校則も守って欲しいものね」
「それこそ意味のねぇことだ」
フン、と鼻を鳴らす彼は馬耳東風。もう言い飽きた感じはあるが、結局のところ一番身近にいる風紀委員としては注意しなければならないだろう。
「あと半年でンな校則なんざ意味も成さなくなる」
大学生になれば校則は格段にゆるくなる。
「半年、かあ・・・」
それは長いようでいて、短い期間。
恐ろしいほどの密度で過ぎた二年生の頃を思えば、ぬるま湯のような三年生の生活。
受験さえもさほど難しいものだと考えられない。
そこまで考えて、まもりはぱちりと瞬いた。
「ねえ、ヒル魔くんは大学どこに行くの?」
「ア?」
「アメリカに行くのかと思ってたけど、国内にするんでしょう?」
ムサシが今度こそ家業を継ぐため、大学進学することができないというのを聞いた。
そうして栗田は大学に行くつもりだと言っていたけれど、彼の学力で行けるのは炎馬大学程度と聞いている。
ムサシが道を分かつというのなら、栗田と共の大学を目指すのだろうか。
社会人チームと大学チームが最強の座を求めて戦う『ライスボウル』を目標にするのなら国内には間違いない。
二対一で戦うのだろうか。
それとも三つ巴の様相を呈するのだろうか。
ヒル魔はぴら、と一枚の紙を持ち上げた。
「何?」
それは進路希望の用紙。三年生ともなれば、最後の選択を迫られるところ。
その第一希望どころか第三希望まで枠を無視して、彼の書いたところによれば。
「最京大かあ・・・」
意外でもなんでもなかった。
関西随一の学力を誇り、かつアメフトの最強大学と言われる最京大だが、彼の学力ならあっさりと潜り抜けるだろう。

<続>
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これからも応援してます!
あよ 2009/06/18(Thu)20:38 編集
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