旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりは彼の毛先から滴る汗に眉を寄せた。
そして天を仰ぐ。
確かに今日は暑い。そうして、じっとりと湿度を含んで重い空気では汗もかくだろう。
けれど。
「ヒル魔くーん! ちょっと、こっちに来てー!」
「アァ!? 何ほざく糞マネ!!」
がなるヒル魔にひらひらと書類を振る。
それは彼が申し付けた敵チームの分析データ結果だ。
遠目にも彼は察したのだろう。
効果覿面、彼はすたすたとまもりに近づいた。
無言のままそれを奪い取ろうとしたが。
「・・・テメェ」
まもりはひょい、とそれを翻して逃がした。
それにからかわれたと思ったヒル魔の視線が厳しくなる。
「見たい?」
ふふふ、と笑みを含んだ声で笑って、まもりは踵を返す。
「オイ!」
「見たければこっちに来て」
じゃなきゃダメよ、という声に僅かに滲んだのは、心配。
人一倍聡い彼のこと、すぐに察して不承不承まもりの後を追った。
部室に入ると、日光がさえぎられるせいかひんやりとした空気に包まれる。
まもりはエアコンのスイッチを入れると、床に己のひざ掛けを敷いた。
「寝てて」
「ア?」
「今ドリンク持って来る。ヒル魔くん、さっき一本足りなかったから自分の分取らなかったんでしょ?」
なんだ知っていたのか、と彼は片眉を上げる。
「気づいてて抜いたか」
「違います! 今日はバスケ部の助っ人君たちだけじゃなくてもう一人追加だったの後で思い出したのよ」
今日は珍しいことに山岡・佐竹に加えて重佐武が参加していた。
おそらくは何かの拍子で顔を出したら断りきれなくなったのだろう。
「んもう、言ってくれたらよかったのに」
「テメェバタバタ走り回ってだろうが」
「あら、気を使ってくれたの?」
小首をかしげて問えば、ヒル魔は小さく舌打ちした。
そもそも彼は全体を見渡して色々作業できる能力の持ち主で、休憩時間にただ休息するなんて暇はない。
他の部員がだらけて気を抜いていても、彼の頭はフル回転して常に次の練習の算段を立てている。
ドリンクが足りないから自分の分を作りに行く、という余裕がなかったのだ。
寝ていて、と再度促されてもヒル魔は憮然として立ったまま。
「結果として自分が倒れたら示しもつかないし、練習の意味がなくなっちゃうでしょう」
ドリンクを手にして戻ってきたまもりが嘆息する。
「はい、飲んでちょうだい」
手渡されたそれを一気に飲み干し、ヒル魔はそのまま出て行こうとする。
「待ちなさい!」
それを止めるのは鋭い声。そうして、引き寄せる腕。
「一気に飲んだところですぐ水分が吸収されるわけじゃないんだから、少し休んで!」
床に強引に引き寄せるまもりに、ヒル魔は踏ん張ろうとしたが、よろける。
普段の彼ではあり得ない。
まもりごときの力では決して揺るがないはずなのに。
「・・・ほら、熱中症直前なのよ。せめて十分間でいいから横になって」
声はほとんど懇願に近かった。心底心配されて、居心地が悪いことこの上ない。
ヒル魔は舌打ちし、それからまもりの体を引き寄せる。
「え」
どさ、とまもりの膝に落ちるのはヒル魔の頭。
「膝枕してくれるんだったらおとなしくしててやろう」
にやあ、と悪魔の笑みで見上げる彼に、まもりはにっこりと笑顔で頷く。
「いいわよ。存分に休んでくださいませ」
しれっと応じて膝に彼の頭を乗せたまま沈黙する。
ヒル魔も少し肩を揺らしただけで、その後は黙り込んだ。
ひんやりとしたコンクリートの床がヒル魔の熱を吸い取っていく。
「・・・ヒル魔くん、顔赤いわよ」
「そりゃテメェの方だろ」
思いがけず密やかに熱い。
十分間。
***
なんだか妙に膝枕をするまもりちゃんとされるヒル魔さんが書きたくてしょうがなくなったんで。
そして天を仰ぐ。
確かに今日は暑い。そうして、じっとりと湿度を含んで重い空気では汗もかくだろう。
けれど。
「ヒル魔くーん! ちょっと、こっちに来てー!」
「アァ!? 何ほざく糞マネ!!」
がなるヒル魔にひらひらと書類を振る。
それは彼が申し付けた敵チームの分析データ結果だ。
遠目にも彼は察したのだろう。
効果覿面、彼はすたすたとまもりに近づいた。
無言のままそれを奪い取ろうとしたが。
「・・・テメェ」
まもりはひょい、とそれを翻して逃がした。
それにからかわれたと思ったヒル魔の視線が厳しくなる。
「見たい?」
ふふふ、と笑みを含んだ声で笑って、まもりは踵を返す。
「オイ!」
「見たければこっちに来て」
じゃなきゃダメよ、という声に僅かに滲んだのは、心配。
人一倍聡い彼のこと、すぐに察して不承不承まもりの後を追った。
部室に入ると、日光がさえぎられるせいかひんやりとした空気に包まれる。
まもりはエアコンのスイッチを入れると、床に己のひざ掛けを敷いた。
「寝てて」
「ア?」
「今ドリンク持って来る。ヒル魔くん、さっき一本足りなかったから自分の分取らなかったんでしょ?」
なんだ知っていたのか、と彼は片眉を上げる。
「気づいてて抜いたか」
「違います! 今日はバスケ部の助っ人君たちだけじゃなくてもう一人追加だったの後で思い出したのよ」
今日は珍しいことに山岡・佐竹に加えて重佐武が参加していた。
おそらくは何かの拍子で顔を出したら断りきれなくなったのだろう。
「んもう、言ってくれたらよかったのに」
「テメェバタバタ走り回ってだろうが」
「あら、気を使ってくれたの?」
小首をかしげて問えば、ヒル魔は小さく舌打ちした。
そもそも彼は全体を見渡して色々作業できる能力の持ち主で、休憩時間にただ休息するなんて暇はない。
他の部員がだらけて気を抜いていても、彼の頭はフル回転して常に次の練習の算段を立てている。
ドリンクが足りないから自分の分を作りに行く、という余裕がなかったのだ。
寝ていて、と再度促されてもヒル魔は憮然として立ったまま。
「結果として自分が倒れたら示しもつかないし、練習の意味がなくなっちゃうでしょう」
ドリンクを手にして戻ってきたまもりが嘆息する。
「はい、飲んでちょうだい」
手渡されたそれを一気に飲み干し、ヒル魔はそのまま出て行こうとする。
「待ちなさい!」
それを止めるのは鋭い声。そうして、引き寄せる腕。
「一気に飲んだところですぐ水分が吸収されるわけじゃないんだから、少し休んで!」
床に強引に引き寄せるまもりに、ヒル魔は踏ん張ろうとしたが、よろける。
普段の彼ではあり得ない。
まもりごときの力では決して揺るがないはずなのに。
「・・・ほら、熱中症直前なのよ。せめて十分間でいいから横になって」
声はほとんど懇願に近かった。心底心配されて、居心地が悪いことこの上ない。
ヒル魔は舌打ちし、それからまもりの体を引き寄せる。
「え」
どさ、とまもりの膝に落ちるのはヒル魔の頭。
「膝枕してくれるんだったらおとなしくしててやろう」
にやあ、と悪魔の笑みで見上げる彼に、まもりはにっこりと笑顔で頷く。
「いいわよ。存分に休んでくださいませ」
しれっと応じて膝に彼の頭を乗せたまま沈黙する。
ヒル魔も少し肩を揺らしただけで、その後は黙り込んだ。
ひんやりとしたコンクリートの床がヒル魔の熱を吸い取っていく。
「・・・ヒル魔くん、顔赤いわよ」
「そりゃテメェの方だろ」
思いがけず密やかに熱い。
十分間。
***
なんだか妙に膝枕をするまもりちゃんとされるヒル魔さんが書きたくてしょうがなくなったんで。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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