旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ねえねえヒル魔くん、あそこのチョコレートパフェが美味しいんだって!
あ、こないだの古典の小テスト、すごくマニアックなところ出たよね。
富士山に登る理由、還暦って人が結構多いんだって。還暦でも富士山って登れるのかぁ・・・。
桜は咲く直前が一番、ピンク色が濃いよね。
部活の帰り、どうあっても片づけやデータ分析などをしていると、どうしても帰宅は遅くなる。
そうなると必ずヒル魔はまもりを自宅近くまで送った。
一応女ということで、帰宅途中に万が一のことがあってはアメフト部の活動に支障が出る、というヒル魔の大して優しくもない心づもりから始まったこの行為は、その理由はどうあれまもりのお気に召したようだった。
彼女はヒル魔が呆れる程毎日毎日色々なことを話題にした。
「よくもまあ、毎日そんなにベラベラ喋ることがあるもんだ」
「あら、口から生まれたヒル魔くんに言われたくないわ」
「女の口には勝てねぇよ。なんたって口の数が違うからナァ」
ケケケ、と笑うヒル魔の真意を測りかねて、まもりは首を傾げる。
少し気を反らした間に、ヒル魔とまもりの距離は開きつつあった。
それに小走りで駆け寄って、まもりは隣に立つヒル魔の顔を見上げる。
「ヒル魔くんって虫歯ある?」
「俺の歯が菌ごときにやられると思うか糞マネ」
「一本もないなんて人としておかしいわよ」
「単なる体質だ」
唐突な話題転換にはもう慣れた、と言わんばかりにヒル魔の切り返しもタメがない。
まもりが隣にいる姿もすっかり馴染んだ。
まもりのむき出しの膝に冷気が当たるような頃になると、ヒル魔は怪我の治療のため一見ふざけたボックスに入って動くようになったりもした。
その時もまもりは隣にいて。
回復して自分の脚で歩くようになり、そこから出ても隣にはまもりの姿があって。
熱戦を終えてもヒル魔の隣には、まもりがいた。
祝勝会にて大いにはしゃぎ、騒ぎ、泣き、笑う面々の輪から少し外れて、その様子を眺めながらまもりは呟く。
「終わったね」
「今年はな」
「あら意外。ヒル魔くん、自分が出られない来年の心配するの?」
「先輩がいなくなったから弱くなりました、なんて言い訳が許せるか」
ケ、と言い捨てるヒル魔の優しさを隣で見て、まもりは楽しそうに笑った。
「じゃあ、私の送迎はまだ続くのかしら。だったらまた面白い話を探さなきゃね」
「クダンネー話ばっかりしやがるくせに何抜かす」
だらりと下がっていたヒル魔の左手に、まもりの右手が触れた。
「だってどんなにくだらなくてもヒル魔くんは聞いてくれるでしょ」
「自意識過剰なことで」
「それが楽しかったんだって言ってくれてもいいのに」
「楽しかったのはお前だけだ糞マネ」
そう言って意地悪く笑うくせに、ヒル魔の手はまもりを振り払わなかった。
「素直じゃない王様ね」
すっかり心得たまもりはすべてに悠然と笑う。
「もっと話題を捻るんだな、糞シェヘラザード」
「だったらもっとはっきり言うべきよ、シャーリアール王」
「さあどうしようかなァ」
「もう言い訳もないでしょう?」
私をシェヘラザードと呼ぶのなら、そしてあなたがシャーリアール王なら。
にやにやと笑うヒル魔の手をぎゅっと握って捕まえて。
まもりは極上の笑みを浮かべた。
「じゃあ、もっと現実的な話をしましょう」
まずは、お互いの気持ちなんてどうかしら。
―――――千一夜には、まだ遠いのだから。
***
気まぐれな王様の気を引くのは大変ですよ~という言葉遊びでした。
あ、こないだの古典の小テスト、すごくマニアックなところ出たよね。
富士山に登る理由、還暦って人が結構多いんだって。還暦でも富士山って登れるのかぁ・・・。
桜は咲く直前が一番、ピンク色が濃いよね。
部活の帰り、どうあっても片づけやデータ分析などをしていると、どうしても帰宅は遅くなる。
そうなると必ずヒル魔はまもりを自宅近くまで送った。
一応女ということで、帰宅途中に万が一のことがあってはアメフト部の活動に支障が出る、というヒル魔の大して優しくもない心づもりから始まったこの行為は、その理由はどうあれまもりのお気に召したようだった。
彼女はヒル魔が呆れる程毎日毎日色々なことを話題にした。
「よくもまあ、毎日そんなにベラベラ喋ることがあるもんだ」
「あら、口から生まれたヒル魔くんに言われたくないわ」
「女の口には勝てねぇよ。なんたって口の数が違うからナァ」
ケケケ、と笑うヒル魔の真意を測りかねて、まもりは首を傾げる。
少し気を反らした間に、ヒル魔とまもりの距離は開きつつあった。
それに小走りで駆け寄って、まもりは隣に立つヒル魔の顔を見上げる。
「ヒル魔くんって虫歯ある?」
「俺の歯が菌ごときにやられると思うか糞マネ」
「一本もないなんて人としておかしいわよ」
「単なる体質だ」
唐突な話題転換にはもう慣れた、と言わんばかりにヒル魔の切り返しもタメがない。
まもりが隣にいる姿もすっかり馴染んだ。
まもりのむき出しの膝に冷気が当たるような頃になると、ヒル魔は怪我の治療のため一見ふざけたボックスに入って動くようになったりもした。
その時もまもりは隣にいて。
回復して自分の脚で歩くようになり、そこから出ても隣にはまもりの姿があって。
熱戦を終えてもヒル魔の隣には、まもりがいた。
祝勝会にて大いにはしゃぎ、騒ぎ、泣き、笑う面々の輪から少し外れて、その様子を眺めながらまもりは呟く。
「終わったね」
「今年はな」
「あら意外。ヒル魔くん、自分が出られない来年の心配するの?」
「先輩がいなくなったから弱くなりました、なんて言い訳が許せるか」
ケ、と言い捨てるヒル魔の優しさを隣で見て、まもりは楽しそうに笑った。
「じゃあ、私の送迎はまだ続くのかしら。だったらまた面白い話を探さなきゃね」
「クダンネー話ばっかりしやがるくせに何抜かす」
だらりと下がっていたヒル魔の左手に、まもりの右手が触れた。
「だってどんなにくだらなくてもヒル魔くんは聞いてくれるでしょ」
「自意識過剰なことで」
「それが楽しかったんだって言ってくれてもいいのに」
「楽しかったのはお前だけだ糞マネ」
そう言って意地悪く笑うくせに、ヒル魔の手はまもりを振り払わなかった。
「素直じゃない王様ね」
すっかり心得たまもりはすべてに悠然と笑う。
「もっと話題を捻るんだな、糞シェヘラザード」
「だったらもっとはっきり言うべきよ、シャーリアール王」
「さあどうしようかなァ」
「もう言い訳もないでしょう?」
私をシェヘラザードと呼ぶのなら、そしてあなたがシャーリアール王なら。
にやにやと笑うヒル魔の手をぎゅっと握って捕まえて。
まもりは極上の笑みを浮かべた。
「じゃあ、もっと現実的な話をしましょう」
まずは、お互いの気持ちなんてどうかしら。
―――――千一夜には、まだ遠いのだから。
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気まぐれな王様の気を引くのは大変ですよ~という言葉遊びでした。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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