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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ファイアピストン始動

(まもりと大和とヒル魔+α)
※クリスマスボウルスタート直前がヒルまも←大和っぽかったらどうなるだろう、という完全なる妄想です。


+ + + + + + + + + +
雪の東京スタジアム。
グラウンドの整備が優先され、フィールドの端々に積み上げられた雪が山となっている。
その傍らで選手達より一足先に試合の準備を始めていたまもりは、改めてこの試合の盛大さを肌で感じていた。観客席は続々と埋まり始め、見慣れた面子も遠目に何人かは見る事が出来た。
身震いするのは寒さのせいばかりではない。
ドームではないため、天候の影響をもろに受けるフィールド。
この雪が吉と出るか凶と出るか判らないが、どうか泥門デビルバッツにとっては恵みの雪と呼ばれる物であって欲しいと願う。
派手な音楽とスモークと。
勢いよく飛び出してくる選手達を見ながら、まもりは選手達を迎え入れようと二歩程下がり。
積み上がった雪に足を引っかけ、後ろに滑った。
「きゃ・・・」
手にクリップボードを持っていたため、咄嗟に手がつけない。
あまりに一瞬の事で泥門の誰も反応出来なかったのだが。
「おっと、危ない」
それを助けたのは、これから対戦するはずの相手。
帝黒アレキサンダースの大和猛がしっかりとまもりを抱き留めていた。
「は!?」
「はぁ?!」
「はぁああああ!?」
思わず突っ込む三兄弟に構わず、彼はまもりを立たせた。
「怪我はないかい?」
「は、はい。ありがとう、ございます」
まだ入場直後で離れた位置にいたはずの大和の唐突な登場で、泥門ベンチが騒然とする。
「な、なんでこんなところに大和くんが?」
「ふ、不自然さMAX・・・!」
「ははっ。まず挨拶を、と思って来ただけさ」
爽やかな笑みに、一年生たちが引きつった笑みを浮かべる。
彼らの視線が、おもむろにすーっと横に動いた。
そこには、今起こった事など全く感心がないようなヒル魔の背中。
・・・だが、その背から発せられる邪悪な気配に、部員達の背筋が凍り付く。
そんな険悪な雰囲気をものともせず、大和はまもりに話しかける。
「君、名前は?」
「私ですか? 姉崎です」
「下の名前は?」
「え、あの・・・まもり、です」
「まもりさんか」
爽やか笑顔にまもりも若干引き気味だ。
確かに格好イイ部類に入るのだろうが、泥門にはいないタイプの彼にどう対処しようか考えあぐねている。
「俺は大和猛。君みたいな綺麗な人に会えるなんて、俺は運がいい」
「え、いや・・・あの・・・」
戸惑うまもりの背後から、ざくざくと音を立ててヒル魔が現れる。
「おーおー、テメェ随分と余裕だナァ」
その様子に、部員達はざざっと後ろに下がった。
(ヒル魔先輩が、足音立てて近寄った!)
(目! 目が笑ってない!!)
(すんごく怒ってる!!!)
(ヒィイイイイイ!!!)
だらだらと冷や汗をかく部員達を余所に、一向に空気を読まないのか読めないのかイマイチ掴めない大和は余裕の表情だ。
「おーい、大和ォ! こっち戻ってこーい!」
帝黒キャプテンのヘラクレスの声。そしてQBの花梨が走ってこちらに来た。
「や、大和くん・・・あの、みんな待ってるんで戻って・・・」
そして泥門ベンチの奇妙な雰囲気に、引きつった笑みを浮かべて慌てて頭を下げる。
「す、すみません、お邪魔しました! 大和くん、ほな早く・・・」
「わかったよ、花梨。まもりさん、また後で!」
何か爽やかな効果音がしそうな笑みに、まもりは顔を引きつらせつつ手を振るしかない。
「・・・ホ~~~」
「むぐ!」
その様子に含みある声を上げたヒル魔は、くるりと振り返る。
まもりの口をしっかりと左手で塞いで抱えた状態で。
「テメェらには言ってなかったが、実は糞マネには帝黒に引き抜きの話があってナァ」
「ええええええええ!?」
「なんでもクリスマスボウルで負けたら引き抜きに応じるっつったらしいぞ」
「どえええええええええ?!」
「俺も半信半疑だったんだが、今の一件・・・」
ちら、とヒル魔は茶色い頭を見下ろす。
「残念ながら約束しちまったらしいナァ」
「むぐぐ! むぐー!!」
まもりは身動き出来ず、ヒル魔の腕の中で藻掻くだけだ。
「ほ、ホント?! 姉崎さん・・・!」
「そんな・・・まもりサン・・・!」
「テメェらみすみす糞マネが引き抜かれるのを見てるのか?」
「そそそそんな! させませんよ!」
「そ、阻止!」
「ムッキャアアアア!! 絶対倒ぉす!!」
完全に火がついた面々の中でも、ムサシ・雪光・十文字の頭良い組は訝しげな顔をしてヒル魔を伺っている。
それに彼はにやりと笑った。
王者相手に萎縮せず、奮い立った状態で挑めるのなら、切っ掛けはなんでもいい。
その意志を汲み取って、彼らも輪に加わった。
「ぶっ殺すぞ!!!」
ヒル魔の怒号が響く。
「yeah―――――――――!!」
そして部員達の声もそれに続いた。


まもりはようやく離された手に、眉を寄せてヒル魔を見上げた。
自分がダシに使われた事は判ったし、ここで彼に食ってかかっては目論見が崩れてしまうので言わないが、随分不名誉なことだと思う。
じっとりと睨む視線に気づいたのか、フィールドに走っていく中で、ヒル魔がまもりに指で何かを告げる。
「・・・はっ?!」
あまりのことにまもりは唖然とするが、慌ててサインを送っても彼は既にこちらを見ていなくて。
「ひ、ひどい・・・!」
ふるふると打ち震えるまもりの顔が赤かったので、鈴音が心配して近寄ってくる。
「やー。まも姐大丈夫? 寒いの? 平気?」
「だっ、大丈夫! 大丈夫、だから!!」
不自然な程に大丈夫を繰り返すまもりに、鈴音はフィールドのヒル魔とまもりを交互に見つめ、結局犬も食わないなんとやらなんだろうなあ、と見当を付けて肩をすくめたのだった。



***
リクエストという程ではなく、こういうの読んでみたいなあ、という呟きを結構前に頂いたので頑張ってはみたものの、私はどーにも大和がよく掴めていないらしく、こんな感じになってしまいました。すみません・・・。
気に入ったら速攻で衒いもなくくどく大和さんにぞわぞわしどおしでした(笑)


呟いて下さった黒魔尼温☆JIN様、ありがとうございました!
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