旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「あ」
「どうしたの、まもり姉ちゃん」
「ううん、なんでもないわ」
そう? と小首を傾げるセナに笑って誤魔化し、まもりは空になったチューブをゴミ箱に捨てた。
忘れていた、とまもりは自分の迂闊さに嘆息する。
昨日あれほど買っておこうと思ったのに、うっかりハンドクリームを切らしてしまったのだ。
水仕事が多いマネージャー業。
だからハンドクリームは必需品なのだ。
まあ、一日の事だし・・・と油断したのがまずかった。
あっという間に手が荒れる。
痛いなあ、とまもりは自分の手を見てはため息をつく。
同級生達の綺麗な手とは比べものにもならないくらい荒れている。
ひび割れまではいかなくても、ささくれは多く指先はガサガサしている。
早く終わらせてハンドクリームを買いに行こう、と思っていたが、今日に限ってなかなか仕事が終わらない。
もう、と口の中だけで呟いてこの仕事を割り振ったヒル魔を見た。
彼は飄々とガムを噛みつつパソコンを叩いている。
そういえば彼もQBというポジション柄、手が荒れそうなものなのに。
ちらりと見た指先は全く荒れていない。
・・・悪魔は指先まで丈夫なのかしら。
水気を失った指先は紙も捲りづらい。
手間取るまもりに、ヒル魔は気づいたかのようだった。
「テメェ随分手ェ荒れてんナァ」
「・・・ちょっとハンドクリーム切らしちゃって」
今予備がないの、と言えば迂闊だな、とあっさり返される。
判ってるなら言わないで、と言いたいが。
ヒル魔はにやにやと笑ってまもりの様子を見るばかり。
「仕方ねぇナァ」
「何が・・・」
ヒル魔は鞄から何かを取り出す。
それはハンドクリームだった。ただし、まもりが見た事がないメーカーのもの。
「ヒル魔くんがハンドクリーム?!」
「テメェ俺のポジション判ってるだろ」
「うん、まあ・・・そうだけど」
QBはグローブが嵌められないから手のケアは大事なのだ。
だが、悪魔とハンドクリームなんて、なんてミスマッチな。
「来い」
「え?」
ちょいちょい、と招かれる。まもりは不審も露わに彼を見つめるが、彼はにやにやと笑うばかり。
「塗ってやろう」
「結構です!!」
「ホー? じゃあテメェはその荒れた手のまんまで当面続く作業を四苦八苦しながらするんだな?」
「と、当面って何時よ」
「少なくとも薬局が閉まる時間だ」
「ええー?!」
そんな、と焦るまもりにさあどうする? とヒル魔はにやにやと楽しげだ。
まもりはしばし逡巡した挙げ句、ずいっとヒル魔に手を出した。
「ハンドクリーム貸して。自分で塗るから」
「返してくださるんデスカ?」
「~~~ハンドクリーム分けて下さいっ!」
「ケケケ、いいだろう」
小学生ばりのくだらない会話に顔を赤くするまもりに、ヒル魔はチューブを向けた。
「えっ」
まもりの手を掴み、そこにハンドクリームをべったりと落とす。
そうして、彼女の手にクリームを塗ったくった。
「いっ・・・・・・・・」
まもりが硬直し、暴れようとするが彼の手に捕まっていては逃れられない。
「イッタ~~~~~~~~~イ!!!」
「ホー、そーかそーか」
ぐりぐりぐりぐり。
まもりが悲鳴を上げても頓着せず、むしろ嬉々としてヒル魔はクリームを塗る。
「何、これ?! ホントにハンドクリームなの!? トウガラシとか辛子とか入ってるんじゃないの!?」
「サアネ」
じんじんと痛む手にまもりは涙を浮かべてヒル魔を睨むが、彼は平然と残ったクリームを自分の手に塗って再びパソコンに向き直った。
「ヒル魔くんのバカ・・・!」
「ハイハイ」
全く取り合われずまもりは自分の迂闊さを心底呪いながら残りの作業をこなしたのだった。
そして仕事を終え帰宅し、手を洗っていて。
ふとまもりは気づいた。
「あれ?」
あれほど水を使うたびに沁みたのに、今は全く沁みない。
「あのクリーム、良く効くんだ・・・」
良薬口に苦し、というのと同じような感覚なのだろうか。
どこで彼がその効用を知ったのかは判らないけれど、確実に効くのは間違いないようだ。
「ふうん・・・」
後日。
まもりのハンドクリームは、ヒル魔と同じメーカーへと変わっていた。
「糞猿マネか?」
「違うもん!」
***
友人がくれるくれると言っていて書いてくれなかったのでネタだけもらって書きました♪
本当はもっと殺伐とした話だったはずが、私が書くとそこはかとなく甘い気が・・・。
「どうしたの、まもり姉ちゃん」
「ううん、なんでもないわ」
そう? と小首を傾げるセナに笑って誤魔化し、まもりは空になったチューブをゴミ箱に捨てた。
忘れていた、とまもりは自分の迂闊さに嘆息する。
昨日あれほど買っておこうと思ったのに、うっかりハンドクリームを切らしてしまったのだ。
水仕事が多いマネージャー業。
だからハンドクリームは必需品なのだ。
まあ、一日の事だし・・・と油断したのがまずかった。
あっという間に手が荒れる。
痛いなあ、とまもりは自分の手を見てはため息をつく。
同級生達の綺麗な手とは比べものにもならないくらい荒れている。
ひび割れまではいかなくても、ささくれは多く指先はガサガサしている。
早く終わらせてハンドクリームを買いに行こう、と思っていたが、今日に限ってなかなか仕事が終わらない。
もう、と口の中だけで呟いてこの仕事を割り振ったヒル魔を見た。
彼は飄々とガムを噛みつつパソコンを叩いている。
そういえば彼もQBというポジション柄、手が荒れそうなものなのに。
ちらりと見た指先は全く荒れていない。
・・・悪魔は指先まで丈夫なのかしら。
水気を失った指先は紙も捲りづらい。
手間取るまもりに、ヒル魔は気づいたかのようだった。
「テメェ随分手ェ荒れてんナァ」
「・・・ちょっとハンドクリーム切らしちゃって」
今予備がないの、と言えば迂闊だな、とあっさり返される。
判ってるなら言わないで、と言いたいが。
ヒル魔はにやにやと笑ってまもりの様子を見るばかり。
「仕方ねぇナァ」
「何が・・・」
ヒル魔は鞄から何かを取り出す。
それはハンドクリームだった。ただし、まもりが見た事がないメーカーのもの。
「ヒル魔くんがハンドクリーム?!」
「テメェ俺のポジション判ってるだろ」
「うん、まあ・・・そうだけど」
QBはグローブが嵌められないから手のケアは大事なのだ。
だが、悪魔とハンドクリームなんて、なんてミスマッチな。
「来い」
「え?」
ちょいちょい、と招かれる。まもりは不審も露わに彼を見つめるが、彼はにやにやと笑うばかり。
「塗ってやろう」
「結構です!!」
「ホー? じゃあテメェはその荒れた手のまんまで当面続く作業を四苦八苦しながらするんだな?」
「と、当面って何時よ」
「少なくとも薬局が閉まる時間だ」
「ええー?!」
そんな、と焦るまもりにさあどうする? とヒル魔はにやにやと楽しげだ。
まもりはしばし逡巡した挙げ句、ずいっとヒル魔に手を出した。
「ハンドクリーム貸して。自分で塗るから」
「返してくださるんデスカ?」
「~~~ハンドクリーム分けて下さいっ!」
「ケケケ、いいだろう」
小学生ばりのくだらない会話に顔を赤くするまもりに、ヒル魔はチューブを向けた。
「えっ」
まもりの手を掴み、そこにハンドクリームをべったりと落とす。
そうして、彼女の手にクリームを塗ったくった。
「いっ・・・・・・・・」
まもりが硬直し、暴れようとするが彼の手に捕まっていては逃れられない。
「イッタ~~~~~~~~~イ!!!」
「ホー、そーかそーか」
ぐりぐりぐりぐり。
まもりが悲鳴を上げても頓着せず、むしろ嬉々としてヒル魔はクリームを塗る。
「何、これ?! ホントにハンドクリームなの!? トウガラシとか辛子とか入ってるんじゃないの!?」
「サアネ」
じんじんと痛む手にまもりは涙を浮かべてヒル魔を睨むが、彼は平然と残ったクリームを自分の手に塗って再びパソコンに向き直った。
「ヒル魔くんのバカ・・・!」
「ハイハイ」
全く取り合われずまもりは自分の迂闊さを心底呪いながら残りの作業をこなしたのだった。
そして仕事を終え帰宅し、手を洗っていて。
ふとまもりは気づいた。
「あれ?」
あれほど水を使うたびに沁みたのに、今は全く沁みない。
「あのクリーム、良く効くんだ・・・」
良薬口に苦し、というのと同じような感覚なのだろうか。
どこで彼がその効用を知ったのかは判らないけれど、確実に効くのは間違いないようだ。
「ふうん・・・」
後日。
まもりのハンドクリームは、ヒル魔と同じメーカーへと変わっていた。
「糞猿マネか?」
「違うもん!」
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友人がくれるくれると言っていて書いてくれなかったのでネタだけもらって書きました♪
本当はもっと殺伐とした話だったはずが、私が書くとそこはかとなく甘い気が・・・。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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