旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ひるまくん。
ひるまくん。
糞マネの甘ったるい声が俺の耳に否応なしに入ってくる。
なんだ、と振り返れば大抵は部活のことで、ほんの少し風紀のことを言われる。
同じ部活でキャプテンとマネージャー、目指す目標は同じ、という立場にあっても、姉崎まもりという女は自分の正義を貫きたいらしい。
「今日も全体で土手のマラソンからでいいの?」
「いや、ラインとバックスで分ける」
「そう。じゃあそういう風に言っておくわ」
それは部活に向かうときだけでなく、昼休み、下手をすれば教室移動する際のすれ違う瞬間でさえ、糞マネは俺の名を呼ぶ。
ひるまくん。
ひるまくん。
ああ、糞甘臭ェ。喧しいばかりではない女の声は、無条件に振り払うにはリスクが多い。
部活絡みの話がある以上、どんな些末なことであっても俺は糞マネの声を意識から追い出せない。
ひるまくん。
だから、部活から離れてしまえば、こんな呼ばれ方はしなくなると思っていたのに。
糞甘かったのは俺だった。
「大体ヒル魔くんに注意するって言ったら私くらいしかいないんだから!」
「ありがたくもねぇ」
ケ、と部活を共にしたときとは違い素っ気なく振り払ってもみたが、糞マネ―――否、現在糞風紀委員長は俺の前に立ちはだかる。
ひるまくん。
呼ばれる声に、特別な意味なんて無い。
ただ俺をそう呼ぶのはあの女しかいなかったし、これからもいないはずだった。
ひるまくん。
「ヒル魔くん、言霊って知ってる?」
「サアネ」
「言葉には力があってね、おろそかにしてはいけないのよ」
「宗教の勧誘ならオコトワリデス」
「だからね」
「スルーか」
「名前を呼ぶことは、特別なのよ。だから呼ぶの、何回でも」
ひるまくん。
ひるまくん。
一日に何度も名を呼び唇に馴染ませて、そうして馴染ませた音は心に降り積もる。
とても柔らかく、真綿のように。
幾重にも折り重なって優しく相手を窒息させようと目論んでいる。
そうして、恋に溺れさせようとしている。
「アホだな」
「なによ」
この糞甘ェ女の言葉は甘すぎて柔らかすぎて、こんなものじゃ満足できない。
そんなまどろっこしい言葉の乱舞をただ黙って受け入れる程、俺は寛容ではない。
「姉崎」
「ヒ」
俺の名を呼ぼうとした姉崎の口がヒの形で固まった。
「言葉には力があるんだろ? だったら容易く口にするもんでもねぇな」
「な・・・」
絶句する姉崎の目の前に歩み寄り、かがんで耳元に唇を寄せる。
「言霊を使うなら、相応の覚悟が必要だぞ?」
くっくっ、と低めた声で囁いて笑って。
みるみるうちに赤くなる彼女の顔を横目で見ながら、とどめを刺す。
「愛してるぜ」
俺にとって言葉は殺傷能力の高い武器だ。
だから一撃でお前の息の根を止めてやる。
***
花びらをテーマに書いていたはずが、いつの間にか全然違う話に・・・!!
でも結構ある話です。だから最初と最後の辻褄が思った通りになると凄く嬉しいです。
ひるまくん。
糞マネの甘ったるい声が俺の耳に否応なしに入ってくる。
なんだ、と振り返れば大抵は部活のことで、ほんの少し風紀のことを言われる。
同じ部活でキャプテンとマネージャー、目指す目標は同じ、という立場にあっても、姉崎まもりという女は自分の正義を貫きたいらしい。
「今日も全体で土手のマラソンからでいいの?」
「いや、ラインとバックスで分ける」
「そう。じゃあそういう風に言っておくわ」
それは部活に向かうときだけでなく、昼休み、下手をすれば教室移動する際のすれ違う瞬間でさえ、糞マネは俺の名を呼ぶ。
ひるまくん。
ひるまくん。
ああ、糞甘臭ェ。喧しいばかりではない女の声は、無条件に振り払うにはリスクが多い。
部活絡みの話がある以上、どんな些末なことであっても俺は糞マネの声を意識から追い出せない。
ひるまくん。
だから、部活から離れてしまえば、こんな呼ばれ方はしなくなると思っていたのに。
糞甘かったのは俺だった。
「大体ヒル魔くんに注意するって言ったら私くらいしかいないんだから!」
「ありがたくもねぇ」
ケ、と部活を共にしたときとは違い素っ気なく振り払ってもみたが、糞マネ―――否、現在糞風紀委員長は俺の前に立ちはだかる。
ひるまくん。
呼ばれる声に、特別な意味なんて無い。
ただ俺をそう呼ぶのはあの女しかいなかったし、これからもいないはずだった。
ひるまくん。
「ヒル魔くん、言霊って知ってる?」
「サアネ」
「言葉には力があってね、おろそかにしてはいけないのよ」
「宗教の勧誘ならオコトワリデス」
「だからね」
「スルーか」
「名前を呼ぶことは、特別なのよ。だから呼ぶの、何回でも」
ひるまくん。
ひるまくん。
一日に何度も名を呼び唇に馴染ませて、そうして馴染ませた音は心に降り積もる。
とても柔らかく、真綿のように。
幾重にも折り重なって優しく相手を窒息させようと目論んでいる。
そうして、恋に溺れさせようとしている。
「アホだな」
「なによ」
この糞甘ェ女の言葉は甘すぎて柔らかすぎて、こんなものじゃ満足できない。
そんなまどろっこしい言葉の乱舞をただ黙って受け入れる程、俺は寛容ではない。
「姉崎」
「ヒ」
俺の名を呼ぼうとした姉崎の口がヒの形で固まった。
「言葉には力があるんだろ? だったら容易く口にするもんでもねぇな」
「な・・・」
絶句する姉崎の目の前に歩み寄り、かがんで耳元に唇を寄せる。
「言霊を使うなら、相応の覚悟が必要だぞ?」
くっくっ、と低めた声で囁いて笑って。
みるみるうちに赤くなる彼女の顔を横目で見ながら、とどめを刺す。
「愛してるぜ」
俺にとって言葉は殺傷能力の高い武器だ。
だから一撃でお前の息の根を止めてやる。
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花びらをテーマに書いていたはずが、いつの間にか全然違う話に・・・!!
でも結構ある話です。だから最初と最後の辻褄が思った通りになると凄く嬉しいです。
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HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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