旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
そういえば、とまもりは家計簿をつけていて気が付いた。
「ねえ、今更なんだけど」
「ア?」
「子供達にお小遣いって渡してくれてるのよね?」
まもりの家計簿の支出欄に子供達の小遣い欄はない。
小遣いについて子供達に尋ねられた事もないし、渡した事もないが欲しい物は買っているようだし、不足を口にされた事もない。
こないだ主婦の友達と話をしていたときに、子供が小遣い値上げを要求してくる、とぼやいていたのを聞いたので尋ねてみたのだが。
「俺がそんなもんやると思ってんのか?」
「ええ?! じゃ、じゃああの子達どうやって生活してるの!?」
それにヒル魔はにやにやと笑うばかり。
「聞いてみりゃいいじゃねぇか。案外バイトしてるかもしれねぇだろ?」
「いやいやいやいや! あれだけアメフト部でしごかれてるのにそれはないでしょ! 護なんてまだ小学生よ!」
「サアネェ」
知っているが答えてくれないらしいヒル魔に、まもりは早速聞いてみようと階段を上がっていった。
「護、ちょっといい?」
「はいどうぞー」
ノックをして返事を待ち、扉を開く。
そこにはパソコンの前に座る護の姿。
「護、少し聞きたい事があるんだけど、いい?」
「改まって何? 別にいいけど」
きょとんと見上げる彼のパソコンを始めとした機器や本などはまもりが買い与えた事はない。
「そのパソコンとか本って、ヒル魔くんが買ってくれてるの?」
「え? ううん、自分で買ったよ」
「自分で!? どうやって?!」
驚くまもりに護も驚く。
「どうやって、って・・・株とか」
「はいっ?!」
それに護は困惑する。
「僕は最初にお姉ちゃんから資金を借りてパソコンと株を買って、そこからスタートしたの。その後お金は返したから今は自分のお金だけだよ」
「ちょっと待って? お姉ちゃんに借りた?」
「うん」
パソコンを買うなら最低でも十万円は必要だろう。その他の諸経費を考えたらもっと掛かっているはずだ。
「どこからそのお金が出たのかしら・・・」
「さあ・・・」
それは知らない、と首を振られてまもりはこめかみを押さえた。
「何か不味かったの?」
「ううん・・・自分の子にお小遣いあげたことない、って言ったらみんなに驚かれちゃって、ヒル魔くんがあげてるんだとばかり・・・」
「お父さんからお金を貰った事は一度もないよ」
「そう・・・ごめんね、邪魔して。ありがとう」
まもりはかろうじて礼を言うとそのままアヤの元へと向かった。
「アヤ、入ってもいい?」
「どーぞー」
返事は妖介だ。入ると、そこには妖介が何か書類を、アヤがパソコンを見ている。
「二人は何やってるの?」
「デイトレ」
「俺は来年度の学費の振り込み用紙記入中」
「はっ!?」
固まるまもりに、二人は不審そうに顔を上げる。
「なんで?!」
「なんで、って・・・」
二人は顔を見合わせる。
「小遣い稼ぎ」
「あと、その金で来年度の学費を出すの」
「が、がくひ、って・・・ヒル魔くんが出してるんじゃないの?!」
それに子供達はあり得ない程怪訝な顔をした。
「父さんが金出す事なんてないよ」
「口しか出してこない」
「ついでに銃弾か蹴りだよね」
「そうね」
絶句するまもりに子供達は首を傾げるばかり。
「なんで今更そんな話なの?」
「父さんによく言われてるよ。『自分の食い扶持は自分で稼げ』って」
でもあんまり上手じゃないからアヤには俺の分までお願いしてるけどね、と妖介は苦笑している。
「普通のバイトとかしないの?!」
「やってもいいけど、時間的に無理」
「深夜のバイトならできるけど」
アヤの言葉に妖介とまもりは同時に首を振った。
「「それはダメ」」
その言葉も予測済みだったのでアヤは肩をすくめるだけだ。
はた、とまもりは現状を認識して目を見開く。
「じゃ、じゃあ・・・この家で自分の食い扶持を稼いでいないのは・・・私だけじゃない!」
「え? いや、そんなことないよ」
「そうそう」
アヤと妖介がまもりの言葉を否定する。
「母さんは主婦っていう立派な仕事があるんだから、それ以上仕事する必要はないんだよ」
「しかも悪魔の妻という大役もこなしている」
至極真面目に言われて、けれどまもりは納得がいかないように眉を寄せた。
「じゃあ、アヤの当初資金はどこからなの?」
「最初に俺がパソコン貸してやっただけだ」
振り返ればにやにやと笑うヒル魔の姿。
「なっ! で、でもそしたら元になるお金とか・・・」
「今時ネットで稼ぐなんざいくらでもできる」
「ええー!?」
超がつくほどのアナログ人間であるまもりには全く理解出来ない世界だ。
「で、でも、普通は・・・」
なおも言いつのろうとするまもりに、ヒル魔はふん、と鼻を鳴らした。
「俺の血を引いておいて普通っつー曖昧な奴らになると思うのか?」
「・・・」
残念なことに一言も言い返せなかったまもりは。
絶対にバイトをしてやろう、と固く心に誓ったのだった。
***
ヒル魔さんお小遣いとかあげそうにないしどうなってるんだろうと思って書いてみたら・・・金には困らない姉弟たちでした。これで気にしてまもりがバイトやりたい、と言い出して『サイド・ジョブ希望』につながるわけです。
「ねえ、今更なんだけど」
「ア?」
「子供達にお小遣いって渡してくれてるのよね?」
まもりの家計簿の支出欄に子供達の小遣い欄はない。
小遣いについて子供達に尋ねられた事もないし、渡した事もないが欲しい物は買っているようだし、不足を口にされた事もない。
こないだ主婦の友達と話をしていたときに、子供が小遣い値上げを要求してくる、とぼやいていたのを聞いたので尋ねてみたのだが。
「俺がそんなもんやると思ってんのか?」
「ええ?! じゃ、じゃああの子達どうやって生活してるの!?」
それにヒル魔はにやにやと笑うばかり。
「聞いてみりゃいいじゃねぇか。案外バイトしてるかもしれねぇだろ?」
「いやいやいやいや! あれだけアメフト部でしごかれてるのにそれはないでしょ! 護なんてまだ小学生よ!」
「サアネェ」
知っているが答えてくれないらしいヒル魔に、まもりは早速聞いてみようと階段を上がっていった。
「護、ちょっといい?」
「はいどうぞー」
ノックをして返事を待ち、扉を開く。
そこにはパソコンの前に座る護の姿。
「護、少し聞きたい事があるんだけど、いい?」
「改まって何? 別にいいけど」
きょとんと見上げる彼のパソコンを始めとした機器や本などはまもりが買い与えた事はない。
「そのパソコンとか本って、ヒル魔くんが買ってくれてるの?」
「え? ううん、自分で買ったよ」
「自分で!? どうやって?!」
驚くまもりに護も驚く。
「どうやって、って・・・株とか」
「はいっ?!」
それに護は困惑する。
「僕は最初にお姉ちゃんから資金を借りてパソコンと株を買って、そこからスタートしたの。その後お金は返したから今は自分のお金だけだよ」
「ちょっと待って? お姉ちゃんに借りた?」
「うん」
パソコンを買うなら最低でも十万円は必要だろう。その他の諸経費を考えたらもっと掛かっているはずだ。
「どこからそのお金が出たのかしら・・・」
「さあ・・・」
それは知らない、と首を振られてまもりはこめかみを押さえた。
「何か不味かったの?」
「ううん・・・自分の子にお小遣いあげたことない、って言ったらみんなに驚かれちゃって、ヒル魔くんがあげてるんだとばかり・・・」
「お父さんからお金を貰った事は一度もないよ」
「そう・・・ごめんね、邪魔して。ありがとう」
まもりはかろうじて礼を言うとそのままアヤの元へと向かった。
「アヤ、入ってもいい?」
「どーぞー」
返事は妖介だ。入ると、そこには妖介が何か書類を、アヤがパソコンを見ている。
「二人は何やってるの?」
「デイトレ」
「俺は来年度の学費の振り込み用紙記入中」
「はっ!?」
固まるまもりに、二人は不審そうに顔を上げる。
「なんで?!」
「なんで、って・・・」
二人は顔を見合わせる。
「小遣い稼ぎ」
「あと、その金で来年度の学費を出すの」
「が、がくひ、って・・・ヒル魔くんが出してるんじゃないの?!」
それに子供達はあり得ない程怪訝な顔をした。
「父さんが金出す事なんてないよ」
「口しか出してこない」
「ついでに銃弾か蹴りだよね」
「そうね」
絶句するまもりに子供達は首を傾げるばかり。
「なんで今更そんな話なの?」
「父さんによく言われてるよ。『自分の食い扶持は自分で稼げ』って」
でもあんまり上手じゃないからアヤには俺の分までお願いしてるけどね、と妖介は苦笑している。
「普通のバイトとかしないの?!」
「やってもいいけど、時間的に無理」
「深夜のバイトならできるけど」
アヤの言葉に妖介とまもりは同時に首を振った。
「「それはダメ」」
その言葉も予測済みだったのでアヤは肩をすくめるだけだ。
はた、とまもりは現状を認識して目を見開く。
「じゃ、じゃあ・・・この家で自分の食い扶持を稼いでいないのは・・・私だけじゃない!」
「え? いや、そんなことないよ」
「そうそう」
アヤと妖介がまもりの言葉を否定する。
「母さんは主婦っていう立派な仕事があるんだから、それ以上仕事する必要はないんだよ」
「しかも悪魔の妻という大役もこなしている」
至極真面目に言われて、けれどまもりは納得がいかないように眉を寄せた。
「じゃあ、アヤの当初資金はどこからなの?」
「最初に俺がパソコン貸してやっただけだ」
振り返ればにやにやと笑うヒル魔の姿。
「なっ! で、でもそしたら元になるお金とか・・・」
「今時ネットで稼ぐなんざいくらでもできる」
「ええー!?」
超がつくほどのアナログ人間であるまもりには全く理解出来ない世界だ。
「で、でも、普通は・・・」
なおも言いつのろうとするまもりに、ヒル魔はふん、と鼻を鳴らした。
「俺の血を引いておいて普通っつー曖昧な奴らになると思うのか?」
「・・・」
残念なことに一言も言い返せなかったまもりは。
絶対にバイトをしてやろう、と固く心に誓ったのだった。
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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