旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
のどかな休日の午後。
アメフト部も休みの本日、まもりは珍しくデパートに買い物に行くとかで不在。
基本的に食材以外の買い物には付き合わないヒル魔は、届いたばかりの夕刊を速読していた。
「父さん、今日の夕飯はどうするの?」
「姉崎が帰ってきたらピザ焼くっつってたぞ」
「あ、だからピザの生地置いてあるのか」
妖介がぷっくりと膨らんだ生地をつついて冷蔵庫を覗き込んだ。
まもりが作り置きしているはずのトマトソースがない。
これは作ったほうがいいだろう、と妖介は判断して調味料を探す。
「兄ちゃん、何作るの?」
護がひょこりと顔を出す。
「トマトソース。多分切らしてるよね」
「昨日僕がピザトースト作って食べたんだ。それで最後だった」
「ああ、お母さんはピザ生地作ってたの」
アヤも顔を出す。手にはカップ。どうやらコーヒーのおかわりを所望らしい。
護がすかさずカップを受け取り、ヒル魔にもいるかどうかを尋ねている。
「なんだか急に食べたくなった、って言って朝から何か作ってたから」
アヤの補足で妖介はまもりがピザ生地を練った経過を知る。
「ソースが足りないことは忘れてるのかな」
「俺が作っちゃってもいいよね?」
「作れ」
アヤの承諾を得て、妖介は野菜室から取り出したにんにくとたまねぎ、ホールトマトの缶詰を並べる。
「それにしても、母さんはどこ行ったの?」
護がコーヒーカップを持って、ヒル魔に渡しながら尋ねる。
「デパート」
「ふうん。何買いに?」
「オジイチャンの誕生日プレゼントデスヨ」
「あー、そうそう」
にんにくの皮を剥いて包丁の腹で潰しながら妖介が声を上げる。
「じいちゃんのサイズ聞いてエプロン縫うって言ってたよ」
「エプロン? 何で?」
「蕎麦打ち」
アヤがカップを片手にヒル魔の読み終えた新聞に手を伸ばす。
「蕎麦? 何、じいちゃん料理するの?」
「年寄りは暇つぶしに蕎麦粉捏ねたがるんだよ」
ヒル魔の小馬鹿にした声に、妖介は肩をすくめる。
「それ偏見だよ」
「事実だろ」
たまねぎをみじん切りにする傍ら、妖介はキッチンに戻ってきた護を捕まえる。
「護、ホールトマトの缶詰開けてそこのボウルに開けて潰しておいて」
「うん。種取る?」
「取っといて」
護に下準備を頼む合間に鍋にオリーブオイルと潰したにんにくとローリエを放り込み、とろ火で炒める。
「それにしても、おかしいよね」
「何が?」
「トマトソース。先に作っておいた方が味馴染みもいいし、酸味も抜けるのに」
「そうだね」
そつなく家事をこなすまもりにしては珍しい。
首をひねる兄弟の耳に、足音が聞こえた。
「母さんだ」
おかえり、と誰かが口を開く前に。
「ちょっと! ヒル魔くん!!」
という、まもりの怒りの声がリビングに響いた。
「ア?」
ヒル魔が眉を寄せて新聞から顔を上げる。
「何糞般若みてぇな顔してんだ」
「したくもなるわよ!」
まもりはつかつかと歩み寄ると、ヒル魔の前に立つ。
「どうして?!」
「ナニガ」
「何が、じゃない!!」
怒り心頭、というまもりにヒル魔は本気で訳がわからないようで眉を寄せたままだ。
ヒル魔が心当たりのある内容ならすかさず口を挟むから、彼は本当にわかっていないようだ。
<続>
アメフト部も休みの本日、まもりは珍しくデパートに買い物に行くとかで不在。
基本的に食材以外の買い物には付き合わないヒル魔は、届いたばかりの夕刊を速読していた。
「父さん、今日の夕飯はどうするの?」
「姉崎が帰ってきたらピザ焼くっつってたぞ」
「あ、だからピザの生地置いてあるのか」
妖介がぷっくりと膨らんだ生地をつついて冷蔵庫を覗き込んだ。
まもりが作り置きしているはずのトマトソースがない。
これは作ったほうがいいだろう、と妖介は判断して調味料を探す。
「兄ちゃん、何作るの?」
護がひょこりと顔を出す。
「トマトソース。多分切らしてるよね」
「昨日僕がピザトースト作って食べたんだ。それで最後だった」
「ああ、お母さんはピザ生地作ってたの」
アヤも顔を出す。手にはカップ。どうやらコーヒーのおかわりを所望らしい。
護がすかさずカップを受け取り、ヒル魔にもいるかどうかを尋ねている。
「なんだか急に食べたくなった、って言って朝から何か作ってたから」
アヤの補足で妖介はまもりがピザ生地を練った経過を知る。
「ソースが足りないことは忘れてるのかな」
「俺が作っちゃってもいいよね?」
「作れ」
アヤの承諾を得て、妖介は野菜室から取り出したにんにくとたまねぎ、ホールトマトの缶詰を並べる。
「それにしても、母さんはどこ行ったの?」
護がコーヒーカップを持って、ヒル魔に渡しながら尋ねる。
「デパート」
「ふうん。何買いに?」
「オジイチャンの誕生日プレゼントデスヨ」
「あー、そうそう」
にんにくの皮を剥いて包丁の腹で潰しながら妖介が声を上げる。
「じいちゃんのサイズ聞いてエプロン縫うって言ってたよ」
「エプロン? 何で?」
「蕎麦打ち」
アヤがカップを片手にヒル魔の読み終えた新聞に手を伸ばす。
「蕎麦? 何、じいちゃん料理するの?」
「年寄りは暇つぶしに蕎麦粉捏ねたがるんだよ」
ヒル魔の小馬鹿にした声に、妖介は肩をすくめる。
「それ偏見だよ」
「事実だろ」
たまねぎをみじん切りにする傍ら、妖介はキッチンに戻ってきた護を捕まえる。
「護、ホールトマトの缶詰開けてそこのボウルに開けて潰しておいて」
「うん。種取る?」
「取っといて」
護に下準備を頼む合間に鍋にオリーブオイルと潰したにんにくとローリエを放り込み、とろ火で炒める。
「それにしても、おかしいよね」
「何が?」
「トマトソース。先に作っておいた方が味馴染みもいいし、酸味も抜けるのに」
「そうだね」
そつなく家事をこなすまもりにしては珍しい。
首をひねる兄弟の耳に、足音が聞こえた。
「母さんだ」
おかえり、と誰かが口を開く前に。
「ちょっと! ヒル魔くん!!」
という、まもりの怒りの声がリビングに響いた。
「ア?」
ヒル魔が眉を寄せて新聞から顔を上げる。
「何糞般若みてぇな顔してんだ」
「したくもなるわよ!」
まもりはつかつかと歩み寄ると、ヒル魔の前に立つ。
「どうして?!」
「ナニガ」
「何が、じゃない!!」
怒り心頭、というまもりにヒル魔は本気で訳がわからないようで眉を寄せたままだ。
ヒル魔が心当たりのある内容ならすかさず口を挟むから、彼は本当にわかっていないようだ。
<続>
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア