旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
小泉花梨とその友人は激闘繰り広げられるフィールドを呆然と見ていた。
「・・・アメフトってこんな感じなの?」
「・・・ううん、普段はこんなんやない」
正確には、その周囲で盛り上がっている人々の様子を。
フィールドで行われている試合は、炎馬大学が圧倒的に勝っている。
屈強な選手の合間を、小柄な人影が駆け抜けていくのが圧巻だ。
・・・とは思うのだけれど、報道陣がカメラのレンズを向けているのは主に観覧席やフィールドの外側、一般客にしては派手な外見をした人々。
その集団をなんとはなしに見つめた花梨が声を上げた。
「あ、大和くんと鷹くんがおる」
「え? 誰?」
「元帝黒学園のチームメイトや」
すい、と指さした先にはひときわ派手な集団。
と、不意にその中の一人が姿を消した。
「小泉花梨ちゃんじゃないか」
「「ひゃあああああ!!」」
先ほどまでかなり離れた距離にいたはずの男が、目の前に。
その速度に二人は情けない悲鳴を上げてしまう。
それはドレッドヘアにサングラスの男。いかにも危なそうな雰囲気だ。
あああ阿含さん、と小さく花梨が呟いた。
「なあ、偵察なんかかったるいことしてないで抜けようぜ」
「ええ?! いや、その、うちらは偵察じゃなくて・・・」
「遠慮しないでさ。ほら、友達も一緒に」
「い、いいえ、私たちやることあるので!」
焦る二人を言いくるめようと阿含がさらに口を開こうとした瞬間。
「花梨じゃないか!」
久しぶり、とやってくるのは爽やかな笑みを浮かべた大和。
その後ろに鷹、それから阿含が何か騒ぎを起こしそうだと考え追いついた番場と一休と十文字、なぜだか赤羽もついてきている。
「あ、大和くん鷹くん久しぶり・・・」
「チッ、カスどもが・・・」
途端に柄の悪くなる阿含に二人はごくりとのどを鳴らす。
なんだかよく分からないが、とりあえず阿含に強制連行されなくてすみそうだ。
「最京大オールスターそろい踏みやね」
「ん? いや、あと二人そこにいるよ」
大和が爽やかに指さす先には悪魔と天使。
ヒル魔とまもりだ。
「なんでみんなはあそこにおらんの?」
ヒル魔とまもりがいる場所はフィールドのすぐ近く。一般観覧席ではない。
そこに行く許可があるなら、あちら側の方がよく見えるだろうに。
「ははっ。彼ら二人だけ特殊車両で乗り込んだんだ。僕たちは一般人だからね」
ここからおとなしく見てるんだよ、という言葉に。
「大和くんに一般人ってえらい似合わない響きやね・・・」
ぼやく花梨に鷹がさらに付け加える。
「俺たちがあそこにいたら邪魔になるんだ」
「え? 邪魔?」
花梨はぐるりとこの場にいる面子を確認した。
確かに阿含あたりは扱いが大変そうだが、番場がいればなんとかなりそうだし、その他の面々は騒ぐような人でもない。
「もしかしてあの二人、恋人同士だったりして」
だからそういう意味でのお邪魔なんですか、と今まで黙っていた友人が問いかける。
「ははっ、違うよ」
「あの二人は違う」
大和と鷹がそれを否定する。
「ええ!? ち、違うんですか?!」
それに花梨が素っ頓狂な声を上げた。
「てっきりうちはあの二人恋人同士やと・・・」
高校時代、あの信じがたい逆境をひっくり返した見事な手腕。
ノーハドルで突き進んだ試合の要となっていたのは、ベンチにいた彼女だと後に聞いた。
その後にアメリカにワールドカップユースでも、ごく普通にベンチにいた。
その参加を決めたのはヒル魔の独断だと聞いている。
もちろん彼女自身の能力も高いのだろうけれど、恋人同士という要素があるからこその選択だと思ったのに、と。
「まさか、ただの仲間なんですか?」
目を丸くする花梨に、大和と鷹は顔を見合わせる。
「恋人同士ではないんだよ」
大和が苦笑いを浮かべる。鷹も同様に。
花梨は虚を突かれる。
こんな顔もするのか、と。
あの密度の濃い時間を共にしたのに初めて知ったことに気をとられていたから。
そのまま、鷹の言葉をさらりと聞き流すところだった。
「そう。あの二人はもう夫婦だから」
「へえ、夫婦・・・」
花梨は一瞬動きを止め。
「夫婦ッ?!」
そう、短く叫んだ。
フィールドの傍らから観覧席を見上げ、ヒル魔は舌打ちする。
「なんか騒いでやがんな、あそこ」
「本当ね。・・・あら、花梨ちゃんがいるじゃない。挨拶してこようかしら」
「後にしろ。今は試合が優先だ」
「はーい」
肩をすくめるまもりの左薬指には金色のリング。
「ねえ、妖一。この後どうするの? 久しぶりにみんな揃ったし、一緒にご飯でも行く?」
「テメェが久しぶりに糞ガキどもと騒ぎたいだけだろーが」
「それもあるけど、いいじゃない。こんなにみんな揃うことって滅多にないし」
ね、いいでしょう? そう強請るまもりの笑顔に、ヒル魔は揃いの指輪が嵌った手をひらひらと振った。
「はいはい、糞奥様の仰せのままに」
「んもう! またそんな呼び方する!」
ぷう、とふくれて見せたまもりに、ヒル魔は喉の奥で笑い。
「テメェの好きなようにしろ」
機嫌を直せとばかりに、その名を呼んだ。
「なァ、まもり?」
***
最終回妄想第4段。よくよく見直したら最終回は『ヒル魔くん』『糞マネ』呼ばわりしてないから、もしかしたら実はもう夫婦なんてオチがあったりして!! ・・・と思って書いてみました。
周囲があまりにもまもりちゃんに粉かけまくるもんでキレたヒル魔さんがさっさと結婚して独占するってのもありかな、って思ってしまいました(笑)
「・・・アメフトってこんな感じなの?」
「・・・ううん、普段はこんなんやない」
正確には、その周囲で盛り上がっている人々の様子を。
フィールドで行われている試合は、炎馬大学が圧倒的に勝っている。
屈強な選手の合間を、小柄な人影が駆け抜けていくのが圧巻だ。
・・・とは思うのだけれど、報道陣がカメラのレンズを向けているのは主に観覧席やフィールドの外側、一般客にしては派手な外見をした人々。
その集団をなんとはなしに見つめた花梨が声を上げた。
「あ、大和くんと鷹くんがおる」
「え? 誰?」
「元帝黒学園のチームメイトや」
すい、と指さした先にはひときわ派手な集団。
と、不意にその中の一人が姿を消した。
「小泉花梨ちゃんじゃないか」
「「ひゃあああああ!!」」
先ほどまでかなり離れた距離にいたはずの男が、目の前に。
その速度に二人は情けない悲鳴を上げてしまう。
それはドレッドヘアにサングラスの男。いかにも危なそうな雰囲気だ。
あああ阿含さん、と小さく花梨が呟いた。
「なあ、偵察なんかかったるいことしてないで抜けようぜ」
「ええ?! いや、その、うちらは偵察じゃなくて・・・」
「遠慮しないでさ。ほら、友達も一緒に」
「い、いいえ、私たちやることあるので!」
焦る二人を言いくるめようと阿含がさらに口を開こうとした瞬間。
「花梨じゃないか!」
久しぶり、とやってくるのは爽やかな笑みを浮かべた大和。
その後ろに鷹、それから阿含が何か騒ぎを起こしそうだと考え追いついた番場と一休と十文字、なぜだか赤羽もついてきている。
「あ、大和くん鷹くん久しぶり・・・」
「チッ、カスどもが・・・」
途端に柄の悪くなる阿含に二人はごくりとのどを鳴らす。
なんだかよく分からないが、とりあえず阿含に強制連行されなくてすみそうだ。
「最京大オールスターそろい踏みやね」
「ん? いや、あと二人そこにいるよ」
大和が爽やかに指さす先には悪魔と天使。
ヒル魔とまもりだ。
「なんでみんなはあそこにおらんの?」
ヒル魔とまもりがいる場所はフィールドのすぐ近く。一般観覧席ではない。
そこに行く許可があるなら、あちら側の方がよく見えるだろうに。
「ははっ。彼ら二人だけ特殊車両で乗り込んだんだ。僕たちは一般人だからね」
ここからおとなしく見てるんだよ、という言葉に。
「大和くんに一般人ってえらい似合わない響きやね・・・」
ぼやく花梨に鷹がさらに付け加える。
「俺たちがあそこにいたら邪魔になるんだ」
「え? 邪魔?」
花梨はぐるりとこの場にいる面子を確認した。
確かに阿含あたりは扱いが大変そうだが、番場がいればなんとかなりそうだし、その他の面々は騒ぐような人でもない。
「もしかしてあの二人、恋人同士だったりして」
だからそういう意味でのお邪魔なんですか、と今まで黙っていた友人が問いかける。
「ははっ、違うよ」
「あの二人は違う」
大和と鷹がそれを否定する。
「ええ!? ち、違うんですか?!」
それに花梨が素っ頓狂な声を上げた。
「てっきりうちはあの二人恋人同士やと・・・」
高校時代、あの信じがたい逆境をひっくり返した見事な手腕。
ノーハドルで突き進んだ試合の要となっていたのは、ベンチにいた彼女だと後に聞いた。
その後にアメリカにワールドカップユースでも、ごく普通にベンチにいた。
その参加を決めたのはヒル魔の独断だと聞いている。
もちろん彼女自身の能力も高いのだろうけれど、恋人同士という要素があるからこその選択だと思ったのに、と。
「まさか、ただの仲間なんですか?」
目を丸くする花梨に、大和と鷹は顔を見合わせる。
「恋人同士ではないんだよ」
大和が苦笑いを浮かべる。鷹も同様に。
花梨は虚を突かれる。
こんな顔もするのか、と。
あの密度の濃い時間を共にしたのに初めて知ったことに気をとられていたから。
そのまま、鷹の言葉をさらりと聞き流すところだった。
「そう。あの二人はもう夫婦だから」
「へえ、夫婦・・・」
花梨は一瞬動きを止め。
「夫婦ッ?!」
そう、短く叫んだ。
フィールドの傍らから観覧席を見上げ、ヒル魔は舌打ちする。
「なんか騒いでやがんな、あそこ」
「本当ね。・・・あら、花梨ちゃんがいるじゃない。挨拶してこようかしら」
「後にしろ。今は試合が優先だ」
「はーい」
肩をすくめるまもりの左薬指には金色のリング。
「ねえ、妖一。この後どうするの? 久しぶりにみんな揃ったし、一緒にご飯でも行く?」
「テメェが久しぶりに糞ガキどもと騒ぎたいだけだろーが」
「それもあるけど、いいじゃない。こんなにみんな揃うことって滅多にないし」
ね、いいでしょう? そう強請るまもりの笑顔に、ヒル魔は揃いの指輪が嵌った手をひらひらと振った。
「はいはい、糞奥様の仰せのままに」
「んもう! またそんな呼び方する!」
ぷう、とふくれて見せたまもりに、ヒル魔は喉の奥で笑い。
「テメェの好きなようにしろ」
機嫌を直せとばかりに、その名を呼んだ。
「なァ、まもり?」
***
最終回妄想第4段。よくよく見直したら最終回は『ヒル魔くん』『糞マネ』呼ばわりしてないから、もしかしたら実はもう夫婦なんてオチがあったりして!! ・・・と思って書いてみました。
周囲があまりにもまもりちゃんに粉かけまくるもんでキレたヒル魔さんがさっさと結婚して独占するってのもありかな、って思ってしまいました(笑)
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HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
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