忍者ブログ
旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

* admin *  * write *  * res *
[1058]  [1054]  [1057]  [1052]  [1049]  [1048]  [1050]  [1051]  [1047]  [1045]  [1046
<<10 * 11/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  *  12>>
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

朱嘴鸛(3)


+ + + + + + + + + +
「・・・テメェは俺のことを信用してねぇのか」
まもりの耳に吹き込まれた、低い声。
「もし妊娠したら、責任があるのはテメェだけじゃねぇ。当然、俺にもあるだろ」
ヒル魔の声は落ち着いていたが、不機嫌さが端々ににじみ出ている。
「大体、妊娠したらなんで俺がテメェを邪魔だの面倒だの思うって決めつける」
「だって!」
まもりは声を上げ、ヒル魔から体をやや離し、その顔を見る。
腕からは完全に抜け出さないまま、視線を合わせるために。
「私たち、高校生よ? 一人で生活もままならない、子供なのよ? それなのに子供が出来たら・・・」
ヒル魔は声を荒げるまもりを沈黙して見ていたが、ふと嘆息した。
それにまもりはぴたりと言葉を途切れさせる。
ヒル魔はその隙を突いてまもりを再び引き寄せ、その唇を奪った。
「テメェの心配は杞憂だ」
呆然と瞬くまもりの唇を解放すると、ヒル魔はゆるりと口角を上げた。
「いいか」
まもりの頬を撫で、その体を捉えたまま。
「ガキが出来たっつーなら、それは俺にとって喜ぶことであって嘆くことじゃねぇ」
「な、なんで」
その発言にまもりは本気で驚く。
繰り返すが、まだ自分も彼も高校生なのだ。そんな中で子供など出来たら問題にしかならないのに。
恋愛と結婚は違う。全く違う。
「テメェを名実共に俺のモノにできる」
それなのに、彼は笑うのだ。ひどく、嬉しそうに。
「・・・だ、堕胎っていう方法もある、わよ」
そもそも両親が許さないだろう。そう思って反論するが。
「そんなの許さねぇ。俺と結婚して子供は産ませる」
ヒル魔はあっさりと言い切った。
「正気!?」
「当然」
「だって、まだ高校とか、これから大学とか、就職するにしても色々・・・」
将来のことは未だ色々不確定だ。もし仮に彼が大学を諦め就職をすると言い出したら、彼の両親もきっと反対するだろう。
何せ彼は全国模試を受けて東大A判定を余裕で出す天才的頭脳を持っているのだ。
かといって大学に通いながら生活するのも金銭的にも時間的にも難しいだろう。
そう思うのに。
「最京大」
「え?」
唐突な大学名にまもりは瞬いた。それは、つい先日聞いた彼の志望校だ。
「テメェは俺と一緒にその大学に行く」
「え?! 私の意志関係なし!?」
「下調べが糞甘ェんだよ。あそこはテメェが希望する分野の教授も充実してる。テメェの頭なら十分合格範囲だ」
「そ、そうだけど! でもあそこは関西で、私一人暮らしだったら反対されると思うんだけど」
「だから、テメェは俺と一緒に住むんだよ」
「はぁああ!?」
「糞タラ口のマネか」
「いや違う! 違うけど! ええ・・・ええ?! いつから考えて、ってちょっと、一緒にって!」
混乱するまもりににやりと笑って、その肩を抱く。
「まもり」
とびきり低い、ヒル魔の声。
まもりの思考を停止させるとっておきの声だ。
「俺は最初からテメェを連れて行くつもりで全部準備してきた。そこに一人増えてもなんてことねぇよ」
「な・・・」
今度こそ絶句したまもりは、何を言おうか考えるが思考がまとまらない。
そんな彼女の額にとん、と指を当ててヒル魔はにやにやとたちの悪い笑みを浮かべたまま問うた。
「で。テメェはどうなんだ」
「わた、し?」
「産みたいのか産みたくないのか、最京大について来るのか来ないのか、俺と家族になりたいのかなりたくないのか」
あまりに重大な選択肢。しかもそれが三つ。
しかもなにげに三つ目はプロポーズも兼ねている気がする。
「諸々の煩わしい事は全部気にするな。俺に任せておけばいい。それよりも今の三つ、そのことだけ考えろ」
「・・・私・・・」
まもりは無意識に自らの下腹部を撫でた。
と、ドアがノックされる。
慌ててまもりは飛び退った。ヒル魔は片眉を上げたが深追いはしなかった。
「どうぞ」
ヒル魔が応じると、まもりの母が顔を出す。
二人の顔を見て、彼女は小首を傾げた。
「お邪魔だったかしら?」
それに二人は首を振る。それを見てまもりの母は娘を手招く。
「まもり、まず確認してみなさいな」
「え、・・・うん」
まもりはふらふらとおぼつかない足取りで立ち上がり、母に近寄る。
ヒル魔もその後を追った。
トイレに妊娠検査薬を持ったまもりを押し込めると、まもりの母はヒル魔を居間へと誘った。

<続>
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

管理人のみ閲覧可能にする    
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
鳥(とり)
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。

【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
[01/05 鳥]
[01/05 NONAME]
[10/21 NONAME]
[10/11 坂上]
[10/02 坂上]
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
フリーエリア
powered by NINJA TOOLS // appeal: 忍者ブログ / [PR]

template by ゆきぱんだ  //  Copyright: hoboniti*kotori All Rights Reserved