旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
何もかもを容赦なくすべてを凍てつかせる、冬。
まもりはふう、と嘆息して外を見る。
「・・・雪、止まないね」
雪が激しく振り続けていて、到底外には出られそうにはない。
「運動不足で糞プヨプヨになるのももう目前だな」
まもりをちらりとも見ないで、ヒル魔はケケケと笑い声を上げる。
からかいの音を多分に含んだそれは、普段であればたやすくまもりの神経を逆撫でする。
けれどまもりは窓際から離れると、ソファで作業していたヒル魔の傍らに無言で座った。
「ア?」
てっきりあんまりな表現に怒って食って掛かってくるのだと思っていたのに。
当てが外れたヒル魔は、視線を右に向ける。
それとまもりの両手がヒル魔の上腕に触れるのはほぼ同時だった。
「早く春にならないかなぁ・・・」
まもりが己の両手で包み込むそこは、古い傷跡がある。
「何してやがる」
「ん? あっためてるの」
その腕はまもりの両手では包みきれない。
少し考えて、まもりはその腕に抱きついた。
すり、と肩口に額を擦り付ける。
「作業の邪魔デスヨ」
「肘から先なら動くのは平気でしょう?」
それにヒル魔は小さく舌打ちする。
「誘ってんのか嫌がらせかどっちだ」
柔らかくふくよかな胸がヒル魔の腕に押し付けられている。
そのあたたかさに加えてふわりと香るまもりの匂い。
ヒル魔は朴念仁ではないし、むしろその逆だ。
パソコンをシャットダウンしてテーブルに置き、まもりの体を抱き寄せる。
右腕にしがみついたまま、まもりは背後からヒル魔の足の間に納まった。
一体何がしたいのか、と伺うヒル魔の耳に小さな問いかけ。
「痛いんでしょう?」
「ア?」
ヒル魔の方からはまもりの表情は伺えない。
労わるようにまもりの手のひらがヒル魔の古傷を撫でる。
「特にこんな、湿度のある寒い日は」
まもりは右腕に頬を寄せる。
あの時、目の前で右腕を折られる彼を見た。
投げ出された彼を見た。
想像することさえ恐ろしい痛みを押し隠して戦う彼を見た。
すべてを、見ていることしか出来なかった。
あれはもう十年も前の話。
けれど、どれほどに時が経ってもなかったことにはならないのだ。
普段は忘れていても、時折顔を出す痛みに怪我を思い出す。
「・・・気づいてたのか」
「うん」
ヒル魔はまもりの茶色い頭に己の頬を押し付ける。
糞甘臭い、と表現しつつも嫌いではないその香りを嗅ぐ。
これは幸せの匂いだと知っている。
古傷をあたためる柔らかい体に、信じられないほどの安らぎを齎される。
こればかりはもうどうしようもないと諦めていた、じっとりと湿る鈍い痛み。
それが徐々に緩和され、ヒル魔はゆるりと口角を上げる。
「あんまり痛かったら痛み止めとか処方しようか?」
「要らねぇ」
ヒル魔はまもりを抱く腕に僅かに力を込める。
「テメェ一人いりゃ十分だ」
***
私も昔骨折したことがあるので、雨の日だとか雪の日だとかにまれにじわりと痛みます。
じっとりと湿ったような痛みがまといつくのは非常にうざったいんですが、まもりちゃんが抱きついてくれるならそんなの気にならなくなるハズ。ウラヤマシス!
これは気まぐれ屋のかおるさんの日記を読んでひらめいたものです。
というわけでかおるさんに捧げますw(唐突)
まもりはふう、と嘆息して外を見る。
「・・・雪、止まないね」
雪が激しく振り続けていて、到底外には出られそうにはない。
「運動不足で糞プヨプヨになるのももう目前だな」
まもりをちらりとも見ないで、ヒル魔はケケケと笑い声を上げる。
からかいの音を多分に含んだそれは、普段であればたやすくまもりの神経を逆撫でする。
けれどまもりは窓際から離れると、ソファで作業していたヒル魔の傍らに無言で座った。
「ア?」
てっきりあんまりな表現に怒って食って掛かってくるのだと思っていたのに。
当てが外れたヒル魔は、視線を右に向ける。
それとまもりの両手がヒル魔の上腕に触れるのはほぼ同時だった。
「早く春にならないかなぁ・・・」
まもりが己の両手で包み込むそこは、古い傷跡がある。
「何してやがる」
「ん? あっためてるの」
その腕はまもりの両手では包みきれない。
少し考えて、まもりはその腕に抱きついた。
すり、と肩口に額を擦り付ける。
「作業の邪魔デスヨ」
「肘から先なら動くのは平気でしょう?」
それにヒル魔は小さく舌打ちする。
「誘ってんのか嫌がらせかどっちだ」
柔らかくふくよかな胸がヒル魔の腕に押し付けられている。
そのあたたかさに加えてふわりと香るまもりの匂い。
ヒル魔は朴念仁ではないし、むしろその逆だ。
パソコンをシャットダウンしてテーブルに置き、まもりの体を抱き寄せる。
右腕にしがみついたまま、まもりは背後からヒル魔の足の間に納まった。
一体何がしたいのか、と伺うヒル魔の耳に小さな問いかけ。
「痛いんでしょう?」
「ア?」
ヒル魔の方からはまもりの表情は伺えない。
労わるようにまもりの手のひらがヒル魔の古傷を撫でる。
「特にこんな、湿度のある寒い日は」
まもりは右腕に頬を寄せる。
あの時、目の前で右腕を折られる彼を見た。
投げ出された彼を見た。
想像することさえ恐ろしい痛みを押し隠して戦う彼を見た。
すべてを、見ていることしか出来なかった。
あれはもう十年も前の話。
けれど、どれほどに時が経ってもなかったことにはならないのだ。
普段は忘れていても、時折顔を出す痛みに怪我を思い出す。
「・・・気づいてたのか」
「うん」
ヒル魔はまもりの茶色い頭に己の頬を押し付ける。
糞甘臭い、と表現しつつも嫌いではないその香りを嗅ぐ。
これは幸せの匂いだと知っている。
古傷をあたためる柔らかい体に、信じられないほどの安らぎを齎される。
こればかりはもうどうしようもないと諦めていた、じっとりと湿る鈍い痛み。
それが徐々に緩和され、ヒル魔はゆるりと口角を上げる。
「あんまり痛かったら痛み止めとか処方しようか?」
「要らねぇ」
ヒル魔はまもりを抱く腕に僅かに力を込める。
「テメェ一人いりゃ十分だ」
***
私も昔骨折したことがあるので、雨の日だとか雪の日だとかにまれにじわりと痛みます。
じっとりと湿ったような痛みがまといつくのは非常にうざったいんですが、まもりちゃんが抱きついてくれるならそんなの気にならなくなるハズ。ウラヤマシス!
これは気まぐれ屋のかおるさんの日記を読んでひらめいたものです。
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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