旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔はソファに座って作業していたのだが。
じいっと見つめてくる視線を無視しきれず、とうとう口を開いた。
「なにやってんだ、まもり」
「・・・ヒル魔さんはお疲れなの?」
その言葉に彼はようやく視線を斜め下に下ろす。
普段なら隣り合って座るなり近くに立つなりして僅かに視線を下げたり上げたりすればいいだけなのだが。
今日のまもりは、彼の足元にちょこんとしゃがみこんで彼を見上げているのだ。
飼い猫がかまってもらうのをじっと待つように。
「なんでンなところに座ってんだ」
声をかけられて、ぴんと耳を立てた姿が見えた気がして、質問がぶっきらぼうになる。
けれどまもりは気にした様子もなく微笑む。
「いつもと違う角度のヒル魔さんを見てたの」
だめ? と小首を傾げる彼女に、思わず舌打ちが漏れる。
パジャマを纏った彼女は、もう僅かに眠気を含んだ瞬きをしている。
ふわふわと甘ったるい匂いが彼女の髪から漂う。
風呂に入って身づくろいも終了、後は寝るだけということか。
夏なのに加えて湯上りなので暑いのだろう。
無防備に開けられた胸元のボタンが少々恨めしかった。
「で?」
無理矢理胸元に向かう視線を引き剥がして問う。
「なに?」
「そりゃこっちの質問だ」
ヒル魔は嘆息してパソコンを落とした。これ以上は明日の仕事に障る。
何より集中できない。
「俺の手がどうかしたか」
まもりは僅かに目を見開く。
「どうして判ったの?」
「ンなじろじろ見られたら嫌でも判る」
まったく判りやすいことこの上ない、と鼻で笑われてまもりはむうっと唇を尖らせる。
その仕草がまた誘うようで、ヒル魔は僅かに眉を寄せた。
これが本気で誘ってるなら何ら問題はないが、彼女はまったくそのつもりがないというのが性質が悪い。
「あのね、うちの母がリンパマッサージに行って来たんだって」
「ホー」
「それがすっごく気持ちよかったんだって」
ちろ、とまもりの視線がヒル魔の手を見る。
「特に手が」
「手?」
まもりはおず、と手を伸ばす。
触れるか触れないかの距離で止まった手に、ヒル魔は自らのそれを押し付ける。
今更何を遠慮する、という感じで。
途端にまもりはふんわりと嬉しそうに笑った。
「人間の体にはリンパ節がたくさんあってね、加齢もあるんだけどやっぱり色々目詰まりするんだって」
まもりは頬を染めて、ヒル魔の手をさすりだした。
「こことか、こことか。よくツボとか言うけど、リンパ節もあるのよ」
「ホホー」
手のひらをむにむにと揉む手。白くて柔らかくて、ヒル魔のそれとは遠く隔たった感触。
ぽやぽやとした熱は、暑さなど気にならなくなるくらい魅惑的で。
「やっぱりヒル魔さんの手のひら、硬くなってるね」
「自分じゃ判らねぇけどな」
「すごく疲れてるのよ」
ぎゅむ、と力を込めて握られても非力な女では痛みに程遠い。
「ヒル魔さん、いつもパソコン触ってるし、きっと目も疲れてるわ」
「目は悪くねぇぞ」
「視力の良し悪しじゃないの。ほら、ここ」
まもりの体が不意に伸び上がる。
「やっぱり硬くなってる」
指先が触れるのは後頭部、首と頭部の付け根。
ぐりぐりと指先が刺激する。
それに夢中になるまもりは、自らの胸元がヒル魔の眼前に近いのをすっかり失念している。
「で、色々あって最後にリンパの排出口があるのがここなんだって」
するりと肩に触れる手。鎖骨と肩の付け根をぐい、と細い指が押した。
「ここが開いてないと毒素が出ていかない、って聞いたの」
えいえい、と小さく呟いて押す手つき。
間近に白い肌が迫って、一層甘い香りが鼻についた。
ヒル魔は無言でパソコンをテーブルに置くと、先ほどまで揉まれていた腕をゆるりと持ち上げた。
「あ」
ぽす、と軽い音を立ててまもりがヒル魔の膝に乗る。
無言で自分を見下ろす男を、まもりはきょとんと見返す。
「痛かった?」
ここにきてまだそんなことを言っている彼女に、ヒル魔は口角を上げた。
「テメェがしたかったのはリンパマッサージじゃなくて性感マッサージの方だな」
「え? 生還?」
まもりは疑問を顔に貼り付けてヒル魔を注視している。
ああ、こいつの脳内にはない単語なのか、と考えながらも教えるつもりもない。
逃れられないようがっちりと捕まえてその耳に囁きかける。
「明日も夏休みでよかったな、糞天然マッサージ師。しっかりマッサージしろよ」
「え? 何? 何何何、・・・ひゃ!」
***
ヒル魔さんの専属マッサージ師なまもりちゃん。天然箱入り娘にも程がある(苦笑)
このシリーズの彼は一線越えた後、すっかりエロオヤジ化してんじゃないかとちょっと心配してます。
じいっと見つめてくる視線を無視しきれず、とうとう口を開いた。
「なにやってんだ、まもり」
「・・・ヒル魔さんはお疲れなの?」
その言葉に彼はようやく視線を斜め下に下ろす。
普段なら隣り合って座るなり近くに立つなりして僅かに視線を下げたり上げたりすればいいだけなのだが。
今日のまもりは、彼の足元にちょこんとしゃがみこんで彼を見上げているのだ。
飼い猫がかまってもらうのをじっと待つように。
「なんでンなところに座ってんだ」
声をかけられて、ぴんと耳を立てた姿が見えた気がして、質問がぶっきらぼうになる。
けれどまもりは気にした様子もなく微笑む。
「いつもと違う角度のヒル魔さんを見てたの」
だめ? と小首を傾げる彼女に、思わず舌打ちが漏れる。
パジャマを纏った彼女は、もう僅かに眠気を含んだ瞬きをしている。
ふわふわと甘ったるい匂いが彼女の髪から漂う。
風呂に入って身づくろいも終了、後は寝るだけということか。
夏なのに加えて湯上りなので暑いのだろう。
無防備に開けられた胸元のボタンが少々恨めしかった。
「で?」
無理矢理胸元に向かう視線を引き剥がして問う。
「なに?」
「そりゃこっちの質問だ」
ヒル魔は嘆息してパソコンを落とした。これ以上は明日の仕事に障る。
何より集中できない。
「俺の手がどうかしたか」
まもりは僅かに目を見開く。
「どうして判ったの?」
「ンなじろじろ見られたら嫌でも判る」
まったく判りやすいことこの上ない、と鼻で笑われてまもりはむうっと唇を尖らせる。
その仕草がまた誘うようで、ヒル魔は僅かに眉を寄せた。
これが本気で誘ってるなら何ら問題はないが、彼女はまったくそのつもりがないというのが性質が悪い。
「あのね、うちの母がリンパマッサージに行って来たんだって」
「ホー」
「それがすっごく気持ちよかったんだって」
ちろ、とまもりの視線がヒル魔の手を見る。
「特に手が」
「手?」
まもりはおず、と手を伸ばす。
触れるか触れないかの距離で止まった手に、ヒル魔は自らのそれを押し付ける。
今更何を遠慮する、という感じで。
途端にまもりはふんわりと嬉しそうに笑った。
「人間の体にはリンパ節がたくさんあってね、加齢もあるんだけどやっぱり色々目詰まりするんだって」
まもりは頬を染めて、ヒル魔の手をさすりだした。
「こことか、こことか。よくツボとか言うけど、リンパ節もあるのよ」
「ホホー」
手のひらをむにむにと揉む手。白くて柔らかくて、ヒル魔のそれとは遠く隔たった感触。
ぽやぽやとした熱は、暑さなど気にならなくなるくらい魅惑的で。
「やっぱりヒル魔さんの手のひら、硬くなってるね」
「自分じゃ判らねぇけどな」
「すごく疲れてるのよ」
ぎゅむ、と力を込めて握られても非力な女では痛みに程遠い。
「ヒル魔さん、いつもパソコン触ってるし、きっと目も疲れてるわ」
「目は悪くねぇぞ」
「視力の良し悪しじゃないの。ほら、ここ」
まもりの体が不意に伸び上がる。
「やっぱり硬くなってる」
指先が触れるのは後頭部、首と頭部の付け根。
ぐりぐりと指先が刺激する。
それに夢中になるまもりは、自らの胸元がヒル魔の眼前に近いのをすっかり失念している。
「で、色々あって最後にリンパの排出口があるのがここなんだって」
するりと肩に触れる手。鎖骨と肩の付け根をぐい、と細い指が押した。
「ここが開いてないと毒素が出ていかない、って聞いたの」
えいえい、と小さく呟いて押す手つき。
間近に白い肌が迫って、一層甘い香りが鼻についた。
ヒル魔は無言でパソコンをテーブルに置くと、先ほどまで揉まれていた腕をゆるりと持ち上げた。
「あ」
ぽす、と軽い音を立ててまもりがヒル魔の膝に乗る。
無言で自分を見下ろす男を、まもりはきょとんと見返す。
「痛かった?」
ここにきてまだそんなことを言っている彼女に、ヒル魔は口角を上げた。
「テメェがしたかったのはリンパマッサージじゃなくて性感マッサージの方だな」
「え? 生還?」
まもりは疑問を顔に貼り付けてヒル魔を注視している。
ああ、こいつの脳内にはない単語なのか、と考えながらも教えるつもりもない。
逃れられないようがっちりと捕まえてその耳に囁きかける。
「明日も夏休みでよかったな、糞天然マッサージ師。しっかりマッサージしろよ」
「え? 何? 何何何、・・・ひゃ!」
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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