旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
早朝の部室。
扉を開くと、そこにはいつもの通り既に着替えを終えてパソコンを開くヒル魔の姿。
まだ幽かに残る眠気を払拭する金色にまもりは一度瞬く。
「おはよう、ヒル魔くん」
ヒル魔はまもりに視線も向けずにぷう、とガム風船を膨らませる。
挨拶の一つも満足に出来ないの、と最早お決まりごとになった皮肉を言い、エプロンを取り出し身につけた。
ロケットベアのプリントされたエプロンのひもを結ぶと、背筋が伸びる気がする。
まもりはモップを手に部室の掃除をするため窓を開いた。
外でケルベロスの吠える声がする。
いつもとは少し違う声に、何かがあったかと小首を傾げたまもりの髪を乱して。
窓から、何か白い物が飛び込んできた。
「え?」
そして壁に向かって吠え立てるケルベロスの声。
まもりはそれを視線で追った。
スロットマシーンの上に、白いそれが丸くなる。
そこにいたのは。
「小鳥?!」
まもりは瞳を瞬かせた。
真っ白なその小鳥は嘴と足が深紅、瞳は黒。
一体なんていう小鳥か、まもりには判らない。
けれど野生ではないのはすぐに知れた。野生でこんなに目立つ色彩はありえないだろう。
「なんで、小鳥がこんなところに?」
まもりの声に、ヒル魔がつまらなそうに応じる。
「誰かが逃がしたか捨てたかしたんだろ」
小鳥は視線を集めても隠れたりはせず、むしろ覗き込むような仕草さえ見せた。
ヒル魔の言うとおり、飼われていた鳥に違いないだろう。人には随分となれているようだ。
まもりは少し考えると、そっとその小鳥に指を差し出してみる。
手乗り文鳥という言葉があるくらいだ、載るかも知れない、と。
けれど警戒したらしい鳥は、その指先を鋭く突っついた。
「痛ッ!」
手を引っ込めたまもりは慌てて指先を見た。血は出ていないが、今の鋭い一撃はかなり痛かった。
「バーカ」
「何よ!」
涙目になるまもりに、ヒル魔はケケケと笑った。
そんな二人を尻目に、小鳥はふわりと飛び立つ。
「あ」
開きっぱなしの窓に向かうかと思いきや、室内を旋回した小鳥はヒル魔の肩にちょこんと降り立った。
「ア?」
ヒル魔の肩に、白い小鳥。
なんてファンシーな図だろうか。
「に、似合わない・・・!」
思わず吹き出したまもりに、ヒル魔は片眉をぴんと上げる。
「似合ってたまるか」
「や、でも・・・やっぱり人に慣れてる感じね」
小首を傾げる小鳥はよく見れば瞳の回りが赤い。
「白文鳥だな」
ホレ、と向けられた画面に映るのはこの肩にいる小鳥と同じ種類。
「肩に留まるってことは、やっぱり手乗りなのよね」
なんで私の指は突っついたのかしら、とまもりが不思議に思う前で、ヒル魔が指を小鳥に差し出す。
先ほどのまもりとは違い、ヒル魔の指にちょこんと小鳥は飛び乗った。
「えっ?!」
「コツがあるんだよ」
にやりと笑うヒル魔の指の上で、小鳥は大人しい。
先ほどの攻撃が嘘のようだ。
「・・・文鳥にも脅迫って効くの?」
「んな訳ねぇだろ」
小鳥を指に載せたまま、片手で器用にパソコンのキーを叩いたヒル魔は何かを探している。
忙しない視線に、まもりはその画面を覗き込んだ。
まもりには早すぎてよく判らないが、ヒル魔が何かを探しているのは判る。
飼い主を捜しているのだ、とまもりはすぐに理解する。
小鳥はそんなヒル魔の指をちょんちょんと跳ねて移動していたが、不意に羽ばたき再びヒル魔の肩に留まる。
先ほどは吹き出してしまったけれど、その姿は改めて見ればそうおかしすぎる事もない。
動物は人の本質を見抜くのが得意だというのはあながち嘘ではないだろう。
一度懐に入れば、その判りづらい優しさや派手な言動に隠された静けさを感じることが出来るのだから。
まもりは彼のためにコーヒーを淹れることにする。
そっと窓を閉めながら、思わぬ来客を歓迎すべく何を必要とするか後で彼に検索して貰おう、と考えた。
***
小鳥と戯れるヒル魔さん。文鳥にしたのは私が文鳥大好きだからです。ラブ白文鳥!!
扉を開くと、そこにはいつもの通り既に着替えを終えてパソコンを開くヒル魔の姿。
まだ幽かに残る眠気を払拭する金色にまもりは一度瞬く。
「おはよう、ヒル魔くん」
ヒル魔はまもりに視線も向けずにぷう、とガム風船を膨らませる。
挨拶の一つも満足に出来ないの、と最早お決まりごとになった皮肉を言い、エプロンを取り出し身につけた。
ロケットベアのプリントされたエプロンのひもを結ぶと、背筋が伸びる気がする。
まもりはモップを手に部室の掃除をするため窓を開いた。
外でケルベロスの吠える声がする。
いつもとは少し違う声に、何かがあったかと小首を傾げたまもりの髪を乱して。
窓から、何か白い物が飛び込んできた。
「え?」
そして壁に向かって吠え立てるケルベロスの声。
まもりはそれを視線で追った。
スロットマシーンの上に、白いそれが丸くなる。
そこにいたのは。
「小鳥?!」
まもりは瞳を瞬かせた。
真っ白なその小鳥は嘴と足が深紅、瞳は黒。
一体なんていう小鳥か、まもりには判らない。
けれど野生ではないのはすぐに知れた。野生でこんなに目立つ色彩はありえないだろう。
「なんで、小鳥がこんなところに?」
まもりの声に、ヒル魔がつまらなそうに応じる。
「誰かが逃がしたか捨てたかしたんだろ」
小鳥は視線を集めても隠れたりはせず、むしろ覗き込むような仕草さえ見せた。
ヒル魔の言うとおり、飼われていた鳥に違いないだろう。人には随分となれているようだ。
まもりは少し考えると、そっとその小鳥に指を差し出してみる。
手乗り文鳥という言葉があるくらいだ、載るかも知れない、と。
けれど警戒したらしい鳥は、その指先を鋭く突っついた。
「痛ッ!」
手を引っ込めたまもりは慌てて指先を見た。血は出ていないが、今の鋭い一撃はかなり痛かった。
「バーカ」
「何よ!」
涙目になるまもりに、ヒル魔はケケケと笑った。
そんな二人を尻目に、小鳥はふわりと飛び立つ。
「あ」
開きっぱなしの窓に向かうかと思いきや、室内を旋回した小鳥はヒル魔の肩にちょこんと降り立った。
「ア?」
ヒル魔の肩に、白い小鳥。
なんてファンシーな図だろうか。
「に、似合わない・・・!」
思わず吹き出したまもりに、ヒル魔は片眉をぴんと上げる。
「似合ってたまるか」
「や、でも・・・やっぱり人に慣れてる感じね」
小首を傾げる小鳥はよく見れば瞳の回りが赤い。
「白文鳥だな」
ホレ、と向けられた画面に映るのはこの肩にいる小鳥と同じ種類。
「肩に留まるってことは、やっぱり手乗りなのよね」
なんで私の指は突っついたのかしら、とまもりが不思議に思う前で、ヒル魔が指を小鳥に差し出す。
先ほどのまもりとは違い、ヒル魔の指にちょこんと小鳥は飛び乗った。
「えっ?!」
「コツがあるんだよ」
にやりと笑うヒル魔の指の上で、小鳥は大人しい。
先ほどの攻撃が嘘のようだ。
「・・・文鳥にも脅迫って効くの?」
「んな訳ねぇだろ」
小鳥を指に載せたまま、片手で器用にパソコンのキーを叩いたヒル魔は何かを探している。
忙しない視線に、まもりはその画面を覗き込んだ。
まもりには早すぎてよく判らないが、ヒル魔が何かを探しているのは判る。
飼い主を捜しているのだ、とまもりはすぐに理解する。
小鳥はそんなヒル魔の指をちょんちょんと跳ねて移動していたが、不意に羽ばたき再びヒル魔の肩に留まる。
先ほどは吹き出してしまったけれど、その姿は改めて見ればそうおかしすぎる事もない。
動物は人の本質を見抜くのが得意だというのはあながち嘘ではないだろう。
一度懐に入れば、その判りづらい優しさや派手な言動に隠された静けさを感じることが出来るのだから。
まもりは彼のためにコーヒーを淹れることにする。
そっと窓を閉めながら、思わぬ来客を歓迎すべく何を必要とするか後で彼に検索して貰おう、と考えた。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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