旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりは朝から上機嫌だった。
今日は彼女の誕生日だから。
まず朝一に母から挨拶と共に贈られたおめでとうの言葉と、両親からのプレゼント。
次いで学校に行くまでの間にセナを始め、モン太、鈴音に次々とお祝いの言葉と色も形もとりどりの包みをくれる。
部室に着けば栗田、ムサシ、小結、雪光、そして三兄弟も揃って祝ってくれる。
おめでとう。
おめでとう。
照れくさそうに、嬉しそうに、次々と贈られる言葉にまもりは喜ぶ。
プレゼントも勿論嬉しいけれど、みんなが祝ってくれるのが何より幸せ。
そうしてまもりは気づく。
ヒル魔がいない。
教室に行ってクラスメイトや友達に、顔見知り程度の同級生にもお祝いの言葉を貰う。
それにありがとうと礼を返しながら、まもりは彼を捜す。
いつもいるはずの部室にも、教室にも、屋上にも顔を出してみたけれど彼はいない。
関東大会に向けて忙しいこの時期に姿を見せない理由がわからない。
まもりは携帯を取り出し、メールを送ってみる。
けれど返信はなく、電話を掛けても出ない。
いつまでも鳴り続ける呼び出し音にため息をついて電話を切る。
「・・・寂しいじゃない」
結局ヒル魔とはその日の間中連絡が全く取れなかった。
翌朝。
いつものとおり部室に顔を出したら、いつもどおりの彼の姿。
「おはよう、ヒル魔くん」
「おー」
「ねえ、昨日なんで休んだの?」
それにヒル魔は答えず、練習に行くために立ち上がる。
「ねえ」
「静かだったろ」
ぽつんと落とされた言葉にまもりは小首を傾げる。
ヒル魔はそのまま振り返りもせず去った。
静か?
まもりは昨日一日を振り返る。
昨日はヒル魔がいなかった。だからいつもしている言い合いも、口げんかも、山のような主務の仕事も何もなかった。
何も。
ただ穏やかな、お祝いの言葉ばかりが溢れかえる、一年で一番幸せな日。
まもりは目を見開いた。
「ヒル魔くん!」
ヒル魔はもうとうにグラウンドに向かっている。
まもりはヒル魔に駆け寄り、ユニフォームの裾を握った。
「待って!」
振り返り、訝しげなその視線を真っ向から受け止めて、まもりは声を上げる。
「なによそれ!」
「ア?」
「それじゃ全然祝ってないじゃない!!」
一日、まもりの前に姿を現さない事で彼女に静寂を与えたというのなら、随分と傲慢な考えだ。
それにヒル魔はぴん、と片眉を上げた。
「誰が祝ったって?」
「だって、昨日ヒル魔くんが来なかったの、静かだったろって・・・」
「だからそのどこが祝いなんだ」
「・・・違うの?」
てっきりそういうつもりかと思ったのに、とまもりは戸惑う。
ヒル魔はじっとそんなまもりを見ていたが、おもむろに口を開く。
「俺が一日いなかっただけでテメェは随分と色々妄想したみてぇだな」
まもりは眉を寄せたが、否定出来なかった。
ヒル魔と連絡が取れなかったことで、彼がどうしているのか気になって仕方なかった。
理由はわからなかったが、彼がいないことが寂しいとまで、思えた。
「おかげで認識しただろ?」
「何を?」
にまあ、と悪魔のように彼は笑った。
「俺がいないと寂しいって思う自分をナァ」
とん、と尖った指がまもりの心臓に突き立てられる。
「なんで寂しかったのか、理由も考えてみろよ」
意地悪く囁かれる低い声。
「なあ、姉崎?」
まもりはにやにやと笑う目の前の悪魔からぎこちなく視線を逸らした。
・・・その耳までが紅く染まっていて、どんな顔だったかはバレバレだったのだけれど。
***
タイトルをど忘れしてあねたん☆すぺしゃる跡地に行って確認してきました(笑)
そらほしぐり子様、改めまして素敵な企画をありがとうございました!
今日は彼女の誕生日だから。
まず朝一に母から挨拶と共に贈られたおめでとうの言葉と、両親からのプレゼント。
次いで学校に行くまでの間にセナを始め、モン太、鈴音に次々とお祝いの言葉と色も形もとりどりの包みをくれる。
部室に着けば栗田、ムサシ、小結、雪光、そして三兄弟も揃って祝ってくれる。
おめでとう。
おめでとう。
照れくさそうに、嬉しそうに、次々と贈られる言葉にまもりは喜ぶ。
プレゼントも勿論嬉しいけれど、みんなが祝ってくれるのが何より幸せ。
そうしてまもりは気づく。
ヒル魔がいない。
教室に行ってクラスメイトや友達に、顔見知り程度の同級生にもお祝いの言葉を貰う。
それにありがとうと礼を返しながら、まもりは彼を捜す。
いつもいるはずの部室にも、教室にも、屋上にも顔を出してみたけれど彼はいない。
関東大会に向けて忙しいこの時期に姿を見せない理由がわからない。
まもりは携帯を取り出し、メールを送ってみる。
けれど返信はなく、電話を掛けても出ない。
いつまでも鳴り続ける呼び出し音にため息をついて電話を切る。
「・・・寂しいじゃない」
結局ヒル魔とはその日の間中連絡が全く取れなかった。
翌朝。
いつものとおり部室に顔を出したら、いつもどおりの彼の姿。
「おはよう、ヒル魔くん」
「おー」
「ねえ、昨日なんで休んだの?」
それにヒル魔は答えず、練習に行くために立ち上がる。
「ねえ」
「静かだったろ」
ぽつんと落とされた言葉にまもりは小首を傾げる。
ヒル魔はそのまま振り返りもせず去った。
静か?
まもりは昨日一日を振り返る。
昨日はヒル魔がいなかった。だからいつもしている言い合いも、口げんかも、山のような主務の仕事も何もなかった。
何も。
ただ穏やかな、お祝いの言葉ばかりが溢れかえる、一年で一番幸せな日。
まもりは目を見開いた。
「ヒル魔くん!」
ヒル魔はもうとうにグラウンドに向かっている。
まもりはヒル魔に駆け寄り、ユニフォームの裾を握った。
「待って!」
振り返り、訝しげなその視線を真っ向から受け止めて、まもりは声を上げる。
「なによそれ!」
「ア?」
「それじゃ全然祝ってないじゃない!!」
一日、まもりの前に姿を現さない事で彼女に静寂を与えたというのなら、随分と傲慢な考えだ。
それにヒル魔はぴん、と片眉を上げた。
「誰が祝ったって?」
「だって、昨日ヒル魔くんが来なかったの、静かだったろって・・・」
「だからそのどこが祝いなんだ」
「・・・違うの?」
てっきりそういうつもりかと思ったのに、とまもりは戸惑う。
ヒル魔はじっとそんなまもりを見ていたが、おもむろに口を開く。
「俺が一日いなかっただけでテメェは随分と色々妄想したみてぇだな」
まもりは眉を寄せたが、否定出来なかった。
ヒル魔と連絡が取れなかったことで、彼がどうしているのか気になって仕方なかった。
理由はわからなかったが、彼がいないことが寂しいとまで、思えた。
「おかげで認識しただろ?」
「何を?」
にまあ、と悪魔のように彼は笑った。
「俺がいないと寂しいって思う自分をナァ」
とん、と尖った指がまもりの心臓に突き立てられる。
「なんで寂しかったのか、理由も考えてみろよ」
意地悪く囁かれる低い声。
「なあ、姉崎?」
まもりはにやにやと笑う目の前の悪魔からぎこちなく視線を逸らした。
・・・その耳までが紅く染まっていて、どんな顔だったかはバレバレだったのだけれど。
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タイトルをど忘れしてあねたん☆すぺしゃる跡地に行って確認してきました(笑)
そらほしぐり子様、改めまして素敵な企画をありがとうございました!
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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