旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
よくよく考えたら、変な話だった。
俺の歩く速度は相当速い。
それでよく糞デブを置いて歩いて行ってしまい、後からぜいぜい言いながらついてくるのが定番だった。
糞ジジイもどちらかといえば糞デブに近いくらいの速度で歩いていたから、俺に並んで歩く奴はいなかった。
俺の周囲は名もない有象無象が犇めいていて、関係があったとしても主従関係しかなかったからだ。
多分この先も誰といても、俺が先を行くか後を行くかの違いで、並び歩く事はないだろうと、なんとなく漠然と感じていた。
ましてや女で隣を歩くなんて事は。
俺は隣にいる女をちらりと見た。
練習が終わって雑用を終えて、制服姿の女一人で歩かせるには遅い時刻。
赤茶髪のつむじを視界の端に捕らえる事ももうかなりの回数になった。
数は興味がないから覚えてないが、覚えていないなりに思うってことは相当見ているはずだ。
この光景を。
隣に立つこの女のつむじを。
くだらないことで笑って怒って時折泣く、俺の隣に来るはずがないと思っていた女。
一年前にはこの距離があり得なかった、姉崎まもり。俺は糞マネとしか呼ばないが。
「・・・どうしたの?」
俺が黙り込んでいるのを、上目遣いに見上げてくる。青い瞳に街灯がちかりと反射した。
「テメェ、歩くの早ぇよな」
「え? うん、そうかも」
小首を傾げる糞マネはぱちりと瞬きした。
「普段はそんなに早く歩かねぇだろ」
「そうね、友達と話したりしてたらペース合わせるじゃない?」
だからテスト期間中で朝練習がなく、登校時間が遅いと道一杯に広がる糞女どもの牛歩ばりの速度にイライラすることはしばしばだ。
女はどうにも歩くのが遅い、そう思っていた。
まあ、俺の場合は勝手に人波が割れるから、歩くのに邪魔されて苦労した覚えはないがな。
「でもね、本当はこれくらいの速度が一番楽」
特に急ぐでも無理をするでもない、ごく普通の様子で隣に着いてくる糞マネ。
嘘ではないらしく、息を切らせる様子もない。
「歩く速度って人に合わせると疲れるでしょ」
「ホー。テメェでもそんな風に思うとはナァ」
和を以て貴しとす、なんて昔の実在したかどうかすら怪しい聖人君子の言葉を地でいくような女なのにな。
「ヒル魔くんなら判ってくれると思って。自分は自分、でしょ」
「アー」
「だからね」
ふと左手に触れる柔らかい手の感触。
ちらりと視線を向ければ俺の手に絡む糞マネ。
「人に合わせるのもいいけど、こうやって同じ速度で歩ける人って貴重だと思うの」
勿論合わせてもらうのもいいんだけどね、とはにかむ糞マネの手を、返事代わりに握り返してやる。
「隣にいさせてね」
それは深読みせよと言わんばかりの台詞で。
見下ろせば糞マネは俯いていて、けれど赤茶の合間から見える肌が仄かに紅い。
「アー、ついてこれられるならドウゾご自由に?」
にやり、と笑ってやると糞マネはこちらを見上げてにっこりと笑い、子供のようにこっくりと頷いた。
***
なんとなく二人がまとまる瞬間? 意外におっとりしているようで、ちゃんとヒル魔さんについて行けるだけの足がまもりちゃんにはあるんじゃないかと妄想・・・。
俺の歩く速度は相当速い。
それでよく糞デブを置いて歩いて行ってしまい、後からぜいぜい言いながらついてくるのが定番だった。
糞ジジイもどちらかといえば糞デブに近いくらいの速度で歩いていたから、俺に並んで歩く奴はいなかった。
俺の周囲は名もない有象無象が犇めいていて、関係があったとしても主従関係しかなかったからだ。
多分この先も誰といても、俺が先を行くか後を行くかの違いで、並び歩く事はないだろうと、なんとなく漠然と感じていた。
ましてや女で隣を歩くなんて事は。
俺は隣にいる女をちらりと見た。
練習が終わって雑用を終えて、制服姿の女一人で歩かせるには遅い時刻。
赤茶髪のつむじを視界の端に捕らえる事ももうかなりの回数になった。
数は興味がないから覚えてないが、覚えていないなりに思うってことは相当見ているはずだ。
この光景を。
隣に立つこの女のつむじを。
くだらないことで笑って怒って時折泣く、俺の隣に来るはずがないと思っていた女。
一年前にはこの距離があり得なかった、姉崎まもり。俺は糞マネとしか呼ばないが。
「・・・どうしたの?」
俺が黙り込んでいるのを、上目遣いに見上げてくる。青い瞳に街灯がちかりと反射した。
「テメェ、歩くの早ぇよな」
「え? うん、そうかも」
小首を傾げる糞マネはぱちりと瞬きした。
「普段はそんなに早く歩かねぇだろ」
「そうね、友達と話したりしてたらペース合わせるじゃない?」
だからテスト期間中で朝練習がなく、登校時間が遅いと道一杯に広がる糞女どもの牛歩ばりの速度にイライラすることはしばしばだ。
女はどうにも歩くのが遅い、そう思っていた。
まあ、俺の場合は勝手に人波が割れるから、歩くのに邪魔されて苦労した覚えはないがな。
「でもね、本当はこれくらいの速度が一番楽」
特に急ぐでも無理をするでもない、ごく普通の様子で隣に着いてくる糞マネ。
嘘ではないらしく、息を切らせる様子もない。
「歩く速度って人に合わせると疲れるでしょ」
「ホー。テメェでもそんな風に思うとはナァ」
和を以て貴しとす、なんて昔の実在したかどうかすら怪しい聖人君子の言葉を地でいくような女なのにな。
「ヒル魔くんなら判ってくれると思って。自分は自分、でしょ」
「アー」
「だからね」
ふと左手に触れる柔らかい手の感触。
ちらりと視線を向ければ俺の手に絡む糞マネ。
「人に合わせるのもいいけど、こうやって同じ速度で歩ける人って貴重だと思うの」
勿論合わせてもらうのもいいんだけどね、とはにかむ糞マネの手を、返事代わりに握り返してやる。
「隣にいさせてね」
それは深読みせよと言わんばかりの台詞で。
見下ろせば糞マネは俯いていて、けれど赤茶の合間から見える肌が仄かに紅い。
「アー、ついてこれられるならドウゾご自由に?」
にやり、と笑ってやると糞マネはこちらを見上げてにっこりと笑い、子供のようにこっくりと頷いた。
***
なんとなく二人がまとまる瞬間? 意外におっとりしているようで、ちゃんとヒル魔さんについて行けるだけの足がまもりちゃんにはあるんじゃないかと妄想・・・。
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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