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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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似通うものたち

(ヒル魔とまもりとケルベロス)



+ + + + + + + + + +
ヒル魔が予想していなかったことの一つに、ケルベロスが姉崎まもりに懐いたことがある。

「・・・おーおー」
ヒル魔は遠目に犬小屋を眺めた。
端から見たら犬小屋とは思えないような堅牢な石造りのそれの前に、腹を出して寝ている猛犬の姿。
そうして、その腹を楽しそうに撫でる女の姿。
この学校でそんな命知らずなことができる女はただ一人、姉崎まもりに他ならない。
何やってんだとも思うが、傍らに置かれた空の餌皿で一目瞭然。
天使の餌により満腹になったあの地獄の番犬は、かつての猛威を忘れ去ったかのように怠惰に眠っている。
無論それが彼女の前だけの、本当に僅かな時間であっても、だ。
ヒル魔にとってはひどく不思議な光景に見えた。
不意に、こちらに背を向けているまもりの傍らに歩み寄る。
「随分とだらしねぇ面してんなァ」
「きゃっ!!」
まもりは唐突に現れたヒル魔にしゃがんだまま飛び上がるという器用な真似をした。
そうして首をひねり、眉を寄せて見上げる。
「んもう、相変わらず気配がないのね! っていうか足音! しないの?」
「させようと思えば出来っぞ」
「何それ」
まもりが悲鳴を上げた割に、ケルベロスはのんべんだらりと横たわったままだ。
ヒル魔がちろりと視線を向ければ、気配を察したのかぺしんと短い尾を返事代わりに振る。
「テメェにとっちゃ頭痛の種の一つだろ」
「え?」
「ケルベロス」
賢い猛犬はそれが呼び声ではないとちゃんと理解しているようでまだ心地よさそうに寝っころがっている。
「コイツに襲われたっつー苦情は減ってねぇと思ったが?」
「知ってるならちゃんと繋ぐなりしつけるなりしてくれたらいいのに」
とは言いながら、まもりは肩をすくめる。
「でもケルちゃんは目の前で食べ物を出されなければ追わないから」
「ホー」
「追われた人の話を聞くと、大体ふざけてケルちゃんの前で食べ物ちらつかせてるのよね」
知ってるのよ、と再びケルベロスの腹を撫でてまもりは微笑む。
「ホホー」
「ヒル魔くんと本当にそっくりよね」
「ア?」
「余計なことを目の前でしなければ普通の人には構わないもの。ペットは飼い主に似るって本当ね」
「こいつは俺のペットじゃねぇぞ」
「実質そんなようなものでしょ」
まもりは空になった皿を持ち上げ、背後に立っていたヒル魔ににっこりと笑いかける。
その言葉を聞きながら、ヒル魔はケルベロスを見下ろす。
けれど。
その理屈で言えば、まもりなどは常に餌を持ってくる係のようになっているから、彼女こそ一番襲われそうだ。食欲が何より勝るのだから、彼女を追えば餌が確実に得られる、と考えそうなものだが。
ケルベロスはちらりとヒル魔を見上げて、不意に体を起こし、のそのそと居場所を変えた。
分かるだろう、と言いたげなその視線にふと呟きが落ちる。
「近すぎると襲う気もねぇってか」
「? ヒル魔くん、何か言った?」
部室へと歩き始めていたまもりが不思議そうに問うが。
「ベツニ」
短くそう応じて、彼もまた部室へと戻った。
全く変なところばかり似やがる、そう内心ぼやきながら。



***
恋愛未満の三つ巴状態。ケルベロスに『じれったい二人だな』とでも思われていればいい(笑)
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こんにちは
 仕事中にこのコメント欄に打ち込んでいる不届き者の私にどうか天罰が下りませんよう・・・

 どうにも耐え切れず昼休み時間を利用して読んでおりました。
あいっかわらず素敵小説ですねぇ・・・(しみじみ)
どうやら私はヒルまもだけの話よりも、第三者込みヒルまもの話のほうが好物らしいんじゃないかと思い始める今日この頃です。

ケルさんいいですよね~・・・(しみじみ2)
私は持病持ちでペット禁止の人なのですごくペット話に反応してしまいます。
犬も猫も好きですが、基本的に「飼い主意外に懐かない」系が大好きです。
愛されたい願望が強すぎると友人にあきれられました(苦笑)
その点でもケルさんがまもりちゃんとかヒル魔君とか、「自分の認めた人間」にしか懐かない設定に激萌えしまくっています
きっとケルちゃんは何があってもまもりちゃんとスズナちゃんだけは守ってくれるでしょう。(妄想)
まもりちゃんとスズナちゃんはケルちゃんの中での立ち居地はまた微妙に違うでしょうが。(もやもや)

私もケルちゃんみたいな動物に好かれてみたい・・・(夢)

とても素敵なお話でした。
ありがとうございました!
ヒル 2009/08/21(Fri)11:49 編集
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