忍者ブログ
旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

* admin *  * write *  * res *
[570]  [569]  [565]  [564]  [563]  [562]  [561]  [559]  [560]  [558]  [557
<<10 * 11/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  *  12>>
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

デスサイズ・ドリーム

(ヒルまも)
※暗めです。
※流血の表現があります。苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。


+ + + + + + + + + +
巨大な鎌が音もなく振り下ろされ、ごとり、と重い物が床に落ちる。
そこにべしゃりと深紅が撒き散らされた。

首。

落ちたそれが、虚ろに天を仰ぎ、だらしなく口元を歪ませて血を滲ませる。
血涙に染まる頬を、白い手のひらが擦り清める。
そうして、どこも見ていない眸に瞼を下ろし、乱れた髪をなでつける。
「やっと、手に入れたわ」
恭しく掲げる手の内側を伝い落ちるのも、生暖かい深紅。
すぐに冷えてべたべたとした感触を残すそれは、鉄錆の匂いがする。
「これで、あなたは」
真っ白な面は、死に彩られて酷く無気力だ。
「私の、ものよ」
閉ざされた眸も、力無く開かれた口も、切り離された指も、もう何も紡がない。
何一つ。
「それでいいの。あなたは悪魔で、私を傷つける事ばかり言うから、もういいの」
抱きしめて、大事にして。
もうどこにもいかないように、傷つけられないように。

「これがテメェの望みか」
「!」
抱えていた首がぱくりと言葉を紡ぐ。
驚き覗き込めば、ざらざらと音を立てて崩れ落ちる顔。
人形めいたそれが髑髏となり、からからと音を立てて喋る。
落ちくぼんだ眼窩は何も照らさない闇に満ちて。
骨ばかりになっても鋭利な牙は変わりない。
「俺を縛り付けて殺して一人気色悪く笑ってる事が望みか」
「・・・そうよ」
だから黙って、と囁くと髑髏はさらに楽しげに笑い声を上げた。
「テメェは一人じゃ飽き足らねぇのか」
その言葉に首を巡らせる。
闇に白く浮かび上がるのは、髑髏。
あれは。
「糞チビを縛り付けて殺しておいてまだ足りねぇのか」
けたたましく髑髏が笑う。
髑髏の山に力無く座りこむ上から、声が降りてくる。
小さくうち捨てられた髑髏を哀れむように、蔑むように。
「この、死神め」


「――――――ッ!!」
声なき悲鳴を上げて、まもりはがばりと起きあがった。
心臓が早鐘を打っている。見開いた瞳に映る景色は、見慣れた自室。
ばっと手を見る。
それは血に汚れても、死の匂いもしない、平素の手、だ。
汗の滲んだ額を拭って、自らを抱きしめる。
耳にこびりつくのは悪魔の声。
「あ・・・っ」
じわり、と涙が浮かんだ。
「・・・あ・・・あ・・・!」
たかが夢だと言い切るには、思い当たる節が多すぎた。
セナを大事にするという大義名分は、彼を縛り付けて彼らしさを殺す事に他ならなかった。
過剰な庇護欲が彼を追いつめた。
まもりは顔を覆い、嗚咽を漏らす。
『テメェは一人じゃ飽き足らねぇのか』
夢の中だけの一言じゃない、それは。
今日の部活が終わった後、勢いのままに告げてしまった想いに返ってきた言葉だった。
そんな事はないと咄嗟に言い返せなかったまもりを、彼は一瞥する事もなく立ち去った。
「ぁ・・・ひっ、・・・・あ・・・」
泣き声は密やかに響く。

私の手は天使の腕などではなく。
全てを刈り取る、死神の鎌。
欲しがるなんて、願うなんて、愚かな事だと悪魔も嘲笑う。

夢の中でさえ、あの人は私のものになりはしないのだと思い知らされた。

***
暗い話が書きたくなって書きました。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

管理人のみ閲覧可能にする    
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
鳥(とり)
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。

【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
[01/05 鳥]
[01/05 NONAME]
[10/21 NONAME]
[10/11 坂上]
[10/02 坂上]
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
フリーエリア
powered by NINJA TOOLS // appeal: 忍者ブログ / [PR]

template by ゆきぱんだ  //  Copyright: hoboniti*kotori All Rights Reserved