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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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(ヒルまも)
※リクエスト作品


+ + + + + + + + + +
クリスマスボウル直前の泥門高校。
前日の練習を終えた部空から零れ落ちる白いかけらがあった。
綿のようなのに冷たいそれは、紛れも無く。
「雪・・・!」
「雪だあ!」
わあっと一年生組から歓声が上がり、部室から飛び出していくのを、ヒル魔は冷めた目で見ていた。
「あんなんただ迷惑なだけだ」
「やー、情緒のないことは言いっこなし!」
鈴音が軽やかにその発言をさえぎるけれど。
「確かに建設でも交通でもはた迷惑なことこの上ないな」
「やー?! ムサシャンまで!」
社会人としての立場からのムサシの発言に、鈴音はぷーっと頬を膨らませた。
「確かにセンター入試の雪は勘弁願いたいね」
「それはあるね~」
苦笑する雪光と栗田の追い討ちに、鈴音は二年生組との温度差に泣きそうになる。
「んもう、何皆で鈴音ちゃんいじめてるの!」
と、そこに颯爽と現れたのは救いの女神。
委員会で遅くなったまもりの登場だ。
「わーん、まも姐ー!」
ぱあっと顔を輝かせた鈴音に、二年生組はちらちらと視線を交わし、それから一斉に吹き出した。
「な、なんなの?!」
「・・・鈴音ちゃん、言いたくないけど・・・」
先に気付いたらしいまもりの声に、鈴音はあらためて室内に残っている二年生の顔を見回す。
皆、笑いつつ暖かな眼差しで鈴音を見ているではないか。
「な、なんなの?!」
戸惑う鈴音の頭を、近くにいたムサシがわしゃっと撫でた。
「わ!」
「すまんな。思ったとおりの反応するもんだから、ついな」
「ってことは・・・」
「当然、からかっただけだ」
にやにやと性質が悪い笑みでヒル魔があっさりネタ晴らしをする。
「やーもー!! 妖兄のバカー!!」
その場にある文房具を投げつけてみても、彼は軽やかに逃げるばかり。
「ケケケ、なんだそりゃ、攻撃のつもりか?」
「むーかーつーくー!!」
ケケケ、と笑う彼に鈴音はむくれて食って掛かるが、文字通り猫の子のようにあしらわれてしまう。
その様子を見ていたまもりは、外から聞こえてきた声に気付いてそちらを伺う。
外では一年生がジャージ姿で雪合戦に興じている。
なかなかの熱戦のようだ。
「ねえ、鈴音ちゃん」
「なに?」
「せっかく雪も降ってるし、これを活用しない手はないんじゃない?」
「やー?」

結局傍観者を決め込もうとしていた二年生組対すでに盛り上がっていた一年生組とで雪合戦で試合をすることになった。
ヒル魔も酸素カプセルから出て包帯も取り去っている。
「やるからには絶対勝つぞ!!」
QBであるヒル魔がいるため、数で劣っていても二年生組の方が圧倒的に有利だ。
「うわぁやりづらい・・・!」
「え? まも姐は一年生組なの?」
「ヒル魔くんがあっちにいるんだもの。ハンデですって」
「アハーハー! そりゃありがたいね!」
「は、舐められたもんだな」
「はぁ、その考えが甘いってこと、知らせねえとな!」
「ハァアアア!! よっしゃ、行くぜェ!!」
『おー!!』
セナがヒイイイ、と定番の悲鳴を上げつつも、全員負けるものかと一年生組も一致団結する。
ルールは単純明快、二つの班に別れ、手以外の場所に一度当たったら戦線離脱。
ただし女子は二回まで当たってもOK、という特別扱いだ。
こちらには二人がいるんだから是非勝たないと、と意気も上がる。
「試合開始ー!!」
「っしゃー!!」
開始と同時に一年生組は大量に雪玉を投げるが、あまりコントロールが良くないのと、雪玉がさほど丈夫にできていないせいか途中で空中分解してしまったりで明確な攻撃にならない。
その間、二年生は数こそ少ないがそこそこの命中率で攻撃を仕掛けてきていた。
「んー、ヒル魔さんにしてはあまり当たらないような・・・」
「やっぱアメフトボールと雪玉じゃコントロールがよくないんじゃないの?」
「ヒル魔先輩なのにおかしいっすね?」
「フゴ」
「やー、とりあえず数! 数攻撃していこう!!」
「そ、そうだね!」
一年生組がこそこそと会話している頃。
二年生組はほぼ全員が黙々と雪玉を作っていた。
その間はヒル魔が自分で適当に作った玉を適当に投げて誤魔化していたのだ。
ちらりとヒル魔は背後をうかがう。
「そろそろできたか?」
「おう」
ムサシがしっかりと作った雪玉をヒル魔の横に積んだ。
「よーし。ちゃっちゃと終らせるぞ! 糞デブ、さっさとソレ作れよ!」
「うん!」
QBであるヒル魔は、肩を冷やす事を一番嫌うので、こんな茶番はさっさと終らせたいというのが正直な気持ちなのだ。彼は重さを確かめるように雪玉を二、三度ぽんぽんと軽く投げ、そして勢い良く投げ出した。

ある程度の重さがある雪玉は相当なスピードで一年生たちを強襲した。
ライン組は早々と顔面に見事な雪玉を食らい、瀧は無駄に回転している所を攻撃されてあっさり撃退。
モン太はキャッチの部分で善戦したのだが、二年生全員が狙って飛んでくる豪速の玉は多く、彼もキャッチしきれずとうとう食らってしまった。
「ひいいい、後残ってるの、僕と鈴音とまもり姉ちゃんだけ?!」
「やー?! 皆早いよー!」
「ケケケ! おらどーした! 攻撃来ねぇぞ!!」
ヒル魔の挑発に負けじと何度か投げ込んでみるものの、コントロールが悪くどうしても当たらない。
ただでさえ雪であまり視界はよくない。
的はあちらの方が多いはずなのに。
逆にこちらは少しでも顔を出すとそこに容赦なく雪玉は飛んでくるのだ。
しかしすばしっこいセナが残ったため、さすがのヒル魔の玉もなかなか当たらない。
けれど。
ヒル魔はにやりと笑うと栗田を振り返った。
「おい、そろそろ出番だ糞デブ!」
「はーい!」
雪玉が突如としてその数を増した。
「ひいいい! これ絶対畳み掛けにきてるよ!」
「やー、逃げ場が・・・!」
「ちょ、集まったら危な・・・」
巧みなヒル魔のコントロールによって、三人は自陣の中央部分に集められていた。
もう顔を上げるのも難しい。
音を立てて飛んでくる玉に三人が一箇所に固まった、そのとき。
「おい、上!!」
「え・・・」
外からの声に顔を上げた三人の目に飛び込んできたのは。
超巨大な雪玉で。
「うっそー?!」
「きゃあああ!」
「ひぇええええ!!」
どすーん、という音が辺りに響く。
栗田が作ってその力で強引に投げた超巨大雪玉が落下したのだ。
これにより三人が一気につぶされる。
泡を食って雪を掻き分け顔を出した三人の前に、笑顔の悪魔。
「ラストー」
彼はそう楽しそうに口にすると、手にしていたやわらかい雪玉を鈴音とまもりの頭に落とした。
「ぶっ!!」
「きゃっ!!」
「ケケケ、ゲームで俺に勝とうなんざ、百年早ェ!」
「ひ、ひどいじゃない! あんなのあり?!」
「ルールどおりだろ?」
高笑いする彼に助けあげられ、まもりは女の子相手に大人気ない、と声を荒げるが。
同じく雪まみれになりつつ他の一年生たちに助け上げられた鈴音は、髪に絡むやわらかい雪を手で払う。
「やー、なんだかんだで妖兄、女の子に優しいね」
「そっかぁ?」
「はぁ、そうは見えねぇけどな」
ぽんぽんと鈴音の雪を払ってくれるモン太と十文字に、鈴音は小首をかしげる。
「だって、最後の大玉まで私とまも姐には硬い雪玉が当たらないように狙ってたみたいだし。それに」
「それに?」
「最後、一番痛くないように、雪玉もうんとやわらかいので当てたのよ」
悪魔にそんな気遣いがあるのか、と視線を向ければ。
彼が何より大事にする右手で、まもりに絡む雪をからかいながら叩き落とす姿があって。
きっと他の面子になら手や足ではなく自力で立てとか機関銃がうなりをあげただろうから。
「ハ、悪魔でも惚れた女には甘いってか」
「ハァアア、悪魔のくせになァ」
雪に埋もれたままのセナを発掘する戸叶と黒木が肩をすくめるその先で鍵を振るどぶろくの姿。
「おーいガキども! シャワー室の鍵借りてきたぞー! さっさと戻ってあったまれ!!」
「さんきゅーせんせー!」
「ありがとー!」
願ってもない申し出に全員が雪まみれになりつつ部室へと戻る。
部室に戻る前に、不意打ちのようにヒル魔がキスをしたせいか、まもりは一人赤面していて風邪かと心配される騒ぎになった。

つかの間の戯れの翌日。
クリスマスボウルの、幕が開ける。

***
朱葉菜月様リクエスト『みんなで雪遊びしつつもラブラブなヒルまも』でした。東京で雪合戦できるほど積もるのは時期的にありえないのですが、原作で帝黒もやってたしいいかな、と。みんなでわいわいやっている様を書くのは楽しかったです! リクエストありがとうございましたー!!

朱葉菜月様のみお持ち帰り可。
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