旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「そんな一生懸命頑張って悪く見せようったって無駄なんだからね!!」
一瞬沈黙が降りる。
「・・・はぁ?」
かろうじて疑問系で俺の口から出た言葉を余所に、マネージャーがかっと目を見開いた。
「大体ねえ! 毎日毎日誰よりも早くグラウンドに来て練習して! それで掃除が行き届いてなかったりする箇所こっそり教えてくれたりして! 用具がしまい忘れてても一回目はそっと元に戻しておいて二回目からちょっと小突く程度で相手に教えたりして、気遣いしまくりなのにそれを知られないようにちょっとお礼言われそうになったら銃乱射したりして! 練習最中に不真面目な人がいたら率先して注意しに行って自分の練習時間つぶれたりするから遅くまで個人練習しちゃったりして余計に疲れてるし! それなのに課題とかレポートとか遅れないように遅くまで起きてるでしょう!! 寝不足になるからって怒っても逆に私の方に遅くまで起きてるなとか心配してくるし! 自分の身体大事にしないし!! それからねえ!!」
すごい剣幕でまくし立てるマネージャーだが、その内容は、何というか。
のろけ?
「・・・よく見てるね」
「・・・そんなことしてたのか、ヒル魔氏は」
唖然とする俺ら三人を余所に、他の部員はなんだか必死になって笑いを堪えてるような顔してやがる。
心当たりがあるのか、それとも(図星を指されてか)口を挟めないヒル魔の様子に笑いを誘われるのか。
「学校の中でも世間的にも変な決まり事があったら自分の都合のいいように変えたフリして他の人助けたりしてるし! 私の仕事の割り振りがヘタなのも気づいてても自分で気づくまで余計な口出ししないで見守ってたりするし! それでも困ってたら絶対助けてくれるし! お礼言っても素直に聞かないで必ず煙に巻くし! データ収集とか他の人に任せきりにしないで動きすぎるし! でもちゃんと仕事の割り振りはするし! 自分一人で頑張ってるって見せかけないようにするにもほどがあるんだからね!! 私は騙されないんだから! もっと仕事寄越しなさいよっ!!」
「・・・おい、糞マネ」
あまりの言葉に(これは俗に言う褒め殺しというやつじゃねぇかな)硬直していたヒル魔がようやく口を開くが。
「聞きませんっ!! 大体ヒル魔くんは優しすぎるのよ! それで見栄っ張りが過ぎすぎ! 他のみんなが助けてくれても素直にお礼言わないくせに私を使ってお礼言わせたり言わなくても判るだろう的な表現したフリしてアドバイスとかさりげなく出すし!! 細やかに気遣いするなんてそこだけ日本人気質なんて羨ましすぎるわよ本当にもう!!」
マネージャーは更にまくし立てる。
「ぶっ・・・」
番場も口を押さえて横向いてるし、阿含に至っては地面に転がって涙を流さんばかりに藻掻いている。
「やさ・・・っ! やさし・・・っ! ヒル魔が、ヒル・・・ッ!!」
「フー・・・くくっ・・・」
「あ・・・りえね・・・っ!!」
ひそひそ話ならともかく、こんな笑い声を必死に堪える状況、滅多にないだろうな。
部員達はもう笑いを堪えきれなくなったらしく、全員腹を抱えてその場に蹲っている。
俺はヒル魔の横顔を見る。
あのいつもの皮肉げな笑みが消え、無表情になってる。
それが、また。
すっげぇ照れてんだな、ヒル魔の奴。
どうしたらいいか判らないくらい照れてて、言葉もないってか。
完全な傍観者の気分で(多分俺は半目になってただろう)見ていたら、ヒル魔がぎっと歯を噛みしめた。
お、やっと我に返ったか。
「っっ糞糞糞マネ!!! 黙ってりゃテメェッ」
銃の引き金に指をかけたが、銃声がかき消すよりもマネージャーの絶叫の方が早かった。
「ヒル魔くんのお人好しすぎの頑張り屋さんめー!!! ばかーっ!!!」
最後のばかだけはかろうじて悪口だが、それ以外悪口になってないぞマネージャー・・・。
だがそう言い捨ててダッシュで逃げ去ったマネージャーを、間髪入れずヒル魔が追いかけようとした。
が、手にしていた銃に舌打ちを漏らす。
「おい糞長男!」
「はぁ!? うおっ」
唐突に呼ばれ、がしゃん、と銃を押しつけられて俺は慌ててそれを抱えた。
「持ってろ!」
そう一言命令して、悪魔は全速力でマネージャーを追っていった。・・・高校の時より早くなってんじゃねぇのか。五秒台切ってるかもな。
茫然と砂煙を見送る俺の肩に、ぽん、と大和が手を載せた。
「ははっ。来た早々当てつけられたね」
「はぁ」
「相変わらずだ、あの二人」
低いテンションのまま鷹がぼそりと呟く。
立ち尽くしていた俺らに、番場が頬を引きつらせながら近寄ってきた。
そして手を差し伸べられる。
「よく来た。無事合格したそうだな」
「誰から・・・って愚問だったか」
悪魔の脅迫手帳は今も健在なのだろう。
俺たちの合格は自力じゃないのか、と一瞬疑いかけたが、マネージャーがまくし立てたような悪魔像であればテストの結果をねじ曲げるような事はしないだろう。多分。
そうして何より、手にある銃の重み。
今までのヒル魔だったら絶対になかった、こんなこと。
自分の武器をあっさりと他人に、ましてや格下の俺に預けるなんて。
「きゃー!! 離してよ!!」
「煩ェこの糞馬鹿マネ!!」
校庭の隅で聞こえる怒声を聞きながら、またあの賑やかな生活が始まるんだな、と。
どうしようもなく楽しみな気持ちになって俺は口角を上げ、これからよろしく、という気持ちをこめて番場の手を握った。
***
fumika様リクエスト『最京大、十文字視点のヒルまも』でした。・・・もっと今後の(十文字入学後に絡まれる的な)内容に展開したリクエストだったんですが、なんかキリがよかったんで、とりあえずここまでで。また続きは別の機会に書かせていただきたいと思います! 喧嘩の挙げ句になぜか大声で褒め称えた挙げ句のろけるまもりちゃんを書きたいと思ってて、やっと書けました! 楽しかったーw
えっらい遅くなりましたが、楽しんでいただけることを願ってます。
リクエストありがとうございました!!
一瞬沈黙が降りる。
「・・・はぁ?」
かろうじて疑問系で俺の口から出た言葉を余所に、マネージャーがかっと目を見開いた。
「大体ねえ! 毎日毎日誰よりも早くグラウンドに来て練習して! それで掃除が行き届いてなかったりする箇所こっそり教えてくれたりして! 用具がしまい忘れてても一回目はそっと元に戻しておいて二回目からちょっと小突く程度で相手に教えたりして、気遣いしまくりなのにそれを知られないようにちょっとお礼言われそうになったら銃乱射したりして! 練習最中に不真面目な人がいたら率先して注意しに行って自分の練習時間つぶれたりするから遅くまで個人練習しちゃったりして余計に疲れてるし! それなのに課題とかレポートとか遅れないように遅くまで起きてるでしょう!! 寝不足になるからって怒っても逆に私の方に遅くまで起きてるなとか心配してくるし! 自分の身体大事にしないし!! それからねえ!!」
すごい剣幕でまくし立てるマネージャーだが、その内容は、何というか。
のろけ?
「・・・よく見てるね」
「・・・そんなことしてたのか、ヒル魔氏は」
唖然とする俺ら三人を余所に、他の部員はなんだか必死になって笑いを堪えてるような顔してやがる。
心当たりがあるのか、それとも(図星を指されてか)口を挟めないヒル魔の様子に笑いを誘われるのか。
「学校の中でも世間的にも変な決まり事があったら自分の都合のいいように変えたフリして他の人助けたりしてるし! 私の仕事の割り振りがヘタなのも気づいてても自分で気づくまで余計な口出ししないで見守ってたりするし! それでも困ってたら絶対助けてくれるし! お礼言っても素直に聞かないで必ず煙に巻くし! データ収集とか他の人に任せきりにしないで動きすぎるし! でもちゃんと仕事の割り振りはするし! 自分一人で頑張ってるって見せかけないようにするにもほどがあるんだからね!! 私は騙されないんだから! もっと仕事寄越しなさいよっ!!」
「・・・おい、糞マネ」
あまりの言葉に(これは俗に言う褒め殺しというやつじゃねぇかな)硬直していたヒル魔がようやく口を開くが。
「聞きませんっ!! 大体ヒル魔くんは優しすぎるのよ! それで見栄っ張りが過ぎすぎ! 他のみんなが助けてくれても素直にお礼言わないくせに私を使ってお礼言わせたり言わなくても判るだろう的な表現したフリしてアドバイスとかさりげなく出すし!! 細やかに気遣いするなんてそこだけ日本人気質なんて羨ましすぎるわよ本当にもう!!」
マネージャーは更にまくし立てる。
「ぶっ・・・」
番場も口を押さえて横向いてるし、阿含に至っては地面に転がって涙を流さんばかりに藻掻いている。
「やさ・・・っ! やさし・・・っ! ヒル魔が、ヒル・・・ッ!!」
「フー・・・くくっ・・・」
「あ・・・りえね・・・っ!!」
ひそひそ話ならともかく、こんな笑い声を必死に堪える状況、滅多にないだろうな。
部員達はもう笑いを堪えきれなくなったらしく、全員腹を抱えてその場に蹲っている。
俺はヒル魔の横顔を見る。
あのいつもの皮肉げな笑みが消え、無表情になってる。
それが、また。
すっげぇ照れてんだな、ヒル魔の奴。
どうしたらいいか判らないくらい照れてて、言葉もないってか。
完全な傍観者の気分で(多分俺は半目になってただろう)見ていたら、ヒル魔がぎっと歯を噛みしめた。
お、やっと我に返ったか。
「っっ糞糞糞マネ!!! 黙ってりゃテメェッ」
銃の引き金に指をかけたが、銃声がかき消すよりもマネージャーの絶叫の方が早かった。
「ヒル魔くんのお人好しすぎの頑張り屋さんめー!!! ばかーっ!!!」
最後のばかだけはかろうじて悪口だが、それ以外悪口になってないぞマネージャー・・・。
だがそう言い捨ててダッシュで逃げ去ったマネージャーを、間髪入れずヒル魔が追いかけようとした。
が、手にしていた銃に舌打ちを漏らす。
「おい糞長男!」
「はぁ!? うおっ」
唐突に呼ばれ、がしゃん、と銃を押しつけられて俺は慌ててそれを抱えた。
「持ってろ!」
そう一言命令して、悪魔は全速力でマネージャーを追っていった。・・・高校の時より早くなってんじゃねぇのか。五秒台切ってるかもな。
茫然と砂煙を見送る俺の肩に、ぽん、と大和が手を載せた。
「ははっ。来た早々当てつけられたね」
「はぁ」
「相変わらずだ、あの二人」
低いテンションのまま鷹がぼそりと呟く。
立ち尽くしていた俺らに、番場が頬を引きつらせながら近寄ってきた。
そして手を差し伸べられる。
「よく来た。無事合格したそうだな」
「誰から・・・って愚問だったか」
悪魔の脅迫手帳は今も健在なのだろう。
俺たちの合格は自力じゃないのか、と一瞬疑いかけたが、マネージャーがまくし立てたような悪魔像であればテストの結果をねじ曲げるような事はしないだろう。多分。
そうして何より、手にある銃の重み。
今までのヒル魔だったら絶対になかった、こんなこと。
自分の武器をあっさりと他人に、ましてや格下の俺に預けるなんて。
「きゃー!! 離してよ!!」
「煩ェこの糞馬鹿マネ!!」
校庭の隅で聞こえる怒声を聞きながら、またあの賑やかな生活が始まるんだな、と。
どうしようもなく楽しみな気持ちになって俺は口角を上げ、これからよろしく、という気持ちをこめて番場の手を握った。
***
fumika様リクエスト『最京大、十文字視点のヒルまも』でした。・・・もっと今後の(十文字入学後に絡まれる的な)内容に展開したリクエストだったんですが、なんかキリがよかったんで、とりあえずここまでで。また続きは別の機会に書かせていただきたいと思います! 喧嘩の挙げ句になぜか大声で褒め称えた挙げ句のろけるまもりちゃんを書きたいと思ってて、やっと書けました! 楽しかったーw
えっらい遅くなりましたが、楽しんでいただけることを願ってます。
リクエストありがとうございました!!
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HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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よろしくお願いいたします。
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