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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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エンジェル・ランペイジ(上)

(ヒルまも最京大シリーズ)
※『誘惑の蜘蛛』の一年後くらい。
※リクエスト作品。

+ + + + + + + + + +
大学を受験すると言ったとき、トガと黒木は十文字ならそうだよな、とあっさり頷いた。
その学校が最京大だと言った途端、二人は生ぬるい笑みを浮かべて肩を叩いてきたもんだが。
・・・別にあいつらを追ってる訳でも、ましてや元マネージャー恋しさで行く訳でもねえ!!
そう言えば言うほどあいつらは、わかってるって、というような顔しかしやがらねぇ。
そもそも俺の希望する学部の最高権威が最京大だっていうだけで、ついでにアメフト部も一番強ェって触れ込みもあって、実家からだったら絶対に通えない場所だから一人暮らしも出来る、それで選んだんだ。
別にあいつらがいるから選んだ訳じゃねえんだ、本当に!
親父だけは『最京大なら妥当だな』の一言だけで特に進路に口出ししてこなかったのが助かった。
勉強できりゃ息子が金髪にしようがアメリカで一ヶ月合宿してようがアメフトに没頭しようが関係ねぇしな。
・・・クリスマスボウル以来ちょっと関係は改善したような、気もすんだけどな。


受験勉強もそれなりにこなした俺は、まあ危なげなく最京大に合格できた。
その足でアメフト部に早速顔を出しに行く。
歩く道すがら、ぽんと肩を叩かれた。振り返れば爽やかさ全開の男が一人。
「やあ、十文字氏じゃないか! 君もここなんだね」
「大和。お前もここか?」
「あと鷹もいるよ。ははっ、最京大の生活も楽しくなりそうだな」
「おう」
爽やかな笑顔に含みはないのはこの二年でよく知っている。
ヘタをするとうさんくさささえ漂うはずだが、顔がいい男というのはそれだけで得なもんだな。
連れだって歩いて行く。鷹の奴は用事を済ませてから来るそうだ。
「アメフト部はこっちだよ」
「よく知ってんな」
「合同練習でよくこちらに来てたからね」
「ああ、お前らの学校レベルだと大学相手のが練習になるんだな」
帝黒学園は関西随一の強豪校だった。
高校生相手では向かうところ敵なし、という状況だと練習相手も自然と大学生相手などになるんだろう。
「十文字氏はどの学部なんだい?」
「俺は法学部」
「へえ。その心は?」
「心、っつうほどじゃねぇけど、俺の親父が検事なんだよ」
別に親父の仕事を見てて憧れた訳じゃねえ。だが、あの堅物がどんな世界で生きているか、ちょっと興味があった。
「ふうん。そっちも面白そうだね」
「そういうお前は?」
「俺は政経だよ。鷹もね」
「なんか判るような、判らんような・・・」
そういえばあの悪魔も政経だったはずだ。俺は学部までかぶるのだけは避けようと事前に聞いてたから知っている。
「教育学部にしようかとも思ったんだけど、教職は別で取ればいいかと思ってね」
「まあ、それもアリなんじゃねぇの」
ざりざりと足下にグラウンドの砂が混じり始める。それに気づいたあたりで、聞き慣れてしまった銃声が響いた。
「あ」
「あ」
「・・・あ」
俺ら二人の声の他に、もう一人。振り返ればそこに相変わらずの銀髪能面野郎。
「鷹。用事は済んだのかい?」
「ああ」
手にしている本を振って見せて、鷹が歩み寄ってきた。
「ヒル魔は相変わらずのようだね」
「あー・・・」
俺らは銃声に特にびびることもなくグラウンドへ足を踏み入れた。
途端に聞こえてくるのは悪魔の笑い声と、それを諫めるマネージャーの声。
そしてそれを苦笑混じりで眺める周囲。
・・・変わってねえなあ。
「ヒル魔くん、もう言い飽きた感があるけど、銃の乱射はやめて! そもそも銃刀法違反なんだからね!!」
「ケケケ、言い飽きたんなら言うんじゃねぇよ」
「誰のせいで言い飽きたと思ってるの!」
きゃんきゃんと吠え立てるマネージャーの髪は随分長くなった。
悪魔の体格が多少良くなったような気がする。
それ以外は特に変わってる様子が見えないのに、内心安堵する。
離れていたのはたった一年、されど一年。
環境の違う一年は短いようですごく長く感じる。特に学生の一年ってのは。
そんな変な感慨にふけってる俺の前で、相変わらず銃とモップ(いつも思うがモップは武器じゃねぇよなぁ)で戦う二人はヒートアップしていく。
「もう、今日という今日は・・・!!」
ぷるぷる震えてモップを握りしめるマネージャーは顔を赤くし、涙目で悪魔を睨んでいる。
止めた方がいいかな、とも思うが、他の部員―――特に同学年の赤羽・阿含・一休あたりは苦笑混じり(阿含はニヤニヤ顔だ)で見てるし、番場に至っては最早達観しているようだし、特に手出しはすべきではないと判断。
「またやってるね」
「そうだね」
大和と鷹も平然と見てるし。ここはヘタに割り込んで馬に蹴られるのは避けておこう。
「今日という今日は?」
悪魔がニヤニヤと笑いながらマネージャーの言葉を繰り返す。
その笑みが更に感情を逆撫ですると判っている顔だ。
それが楽しくて仕方ねぇんだろう。本当に悪魔だな。
ああ、傍観者になるとホント色々よく判るもんだな。
「今日という今日はどうすんだ? 糞マネ」
ケケケ、と笑うヒル魔に、マネージャーはきっと尖った視線を向けた。

<続>
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