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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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まどろみ

(ヒルまも)
※薄暗い感じです。


+ + + + + + + + + +
仰向けに寝転ぶ。
視界に入るのは一面の青空。ところどころに浮かぶ雲がゆっくりと流れていく。
春らしく暖かな日差しを感じる。
長閑な光景だ。
自分の呼気の他は遠くで鳴く鳥の声が響くだけ。
「ヒル魔くーん?」
遠くから聞こえるのは聴き慣れた姉崎の声。
「ヒル魔くん、ってばー」
返事代わりに僅かに手を上げる。
それに気付いて草を踏み分け、近づいてくる音がする。
草が揺れる。空気が流れる。
視界に入るのはただ、青だけだ。
「あねざき」
ようやく口にできた声に、笑い声が応じる。
「はーい。ヒル魔くんが私のことそんな風に呼ぶなんてね」
雨が降るんじゃないの、という楽しげな声ばかりが耳に入るが、その姿は見えない。
「なあ」
「なに?」
「死ぬ時って、どんな夢を見るんだと思う?」
「は?!」
驚いたような声に、構わずもう一度尋ねる。
「なあ」
「・・・熱でもあるんじゃないの?」
「答えろ」
唐突な質問に、姉崎は小さく、夢ねえ、と呟いている。
「死ぬときは―――きっと、大事な人が迎えに来て、当たり前で幸せだなって思うような光景を夢見るんだと思うんだけど」
「ホー」
「どうしたの、唐突に」
ふわりと糞甘臭ェ香りが鼻に付く。
姉崎がこちらを覗き込んでいるのだ。
その、気配はするのに。
「そうか」
「んもう、何か変よ、今日のヒル魔くんってば」
声がする。
姉崎の声が。
視界に入るのは青空だけ。いや、青空に似た―――闇、だけ。


なあ。
それで言うなら、俺が見ているこの夢は、幸せとは言えねぇ。
テメェの顔も見られないんじゃ、幸せじゃねぇよ。



「ヒル魔くん」
ふわりと右手に灯るぬくもり。



覗き込んでいる姉崎の顔が、見えた。
その目が笑みを浮かべてこちらを見ている。



そうだ。
この青は、テメェの目の色、だった、・・・・な。
しばらく見ていなかった。


ようやく、見られた。





・・・ああ。
しあわせ、だ。



***
唐突に薄暗い話が飛んできました。
実際に死に至るときはどんな夢を見るんでしょうかね。
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