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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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一日限定お断り。

(ヒルまも高校卒業後)
※『ふたり』とか『ほどく指』とかその辺の話です。


+ + + + + + + + + +
まもりはパソコン画面を見つめ、なにやら真剣に検索をしている。
そんな彼女にヒル魔の声がかかった。
「おい、コーヒー」
「あ、うん」
彼の所望するコーヒーを淹れようと立ち上がりかけたが。
目の前に湯気の立ち上るカップを置かれる。
「淹れたぞ」
「・・・」
まもりは思わず振り返った。
背後に見えるのは快晴の空。雨の気配は遠いが、これから槍が降るか銃弾が降るか・・・。
もしかしたら豚が降ってくるかも、と懐かしい話まで思い出した所でヒル魔の苦々しい舌打ちが耳に入った。
「人の親切に随分な反応デスネ」
「だってヒル魔くんの親切って、何か裏がありそう」
「ついでって言葉の意味を知らないんデスカ」
見れば彼もカップを手にしている。中身はきっとブラックのコーヒーだろう。
まもりは目の前のカップを手に取る。そちらは彼女好みにちゃんとカフェオレになっていた。
「ありがと」
「最初っからそう言えばいいんだよ」
ケ、と小さく呟き、ヒル魔はまもりの頭をごしゃごしゃとかき乱した。
んもう! とお決まりの文句を口にして、それでもまもりは熱心に画面を見ている。
あまり彼女には見受けられない姿だ。一体何がそんなに興味を引くのか、とその手元を覗き込んでみれば。
「ア?」
それは世界的にも有名な某テーマパークだった。
ロケットベアーしかり、キャラクター物が好きなまもりのこと、行きたいのかと視線で問うが。
「特に今行きたいとかそういうことじゃないのよ」
「その割にはテメェ随分熱心じゃねぇか」
「うん、あのね」
まもりが指差したのは、サービスの欄。
そこにある表示に、ヒル魔はぴんと片眉を上げた。
「誕生日の人にはね、名前を書いたシールを貼ってくれて・・・すれ違うキャストが皆口々にお祝い言ってくれるんだって」
「ホー」
そんなにも他人に祝われたいのか、とまもりを見るが、彼女はにっこりと笑って首を振る。
「私じゃなくて、ヒル魔くんにはどうかなって」
「ア?!」
何を言い出す、と眉を寄せるヒル魔をよそに、まもりは楽しそうに笑ってみせる。
「あのね、ヒル魔くんって誕生日も秘匿してるじゃない? 私も知らないし。でもね」
華やかな、色とりどりの世界が映し出されるディスプレイに指をむけ、小首をかしげる。
「誕生日にお祝いしてもらえるのって特権だし、幸せな気分になれるわ。だからヒル魔くんにも・・・」
「却下」
まもりの言葉が終る前に、ヒル魔はすっぱりと切って捨てた。
「俺がそんな個人情報を糞ザコ共にさらすとでも?」
「だって今まで会ったこともない他人よ?」
ヒル魔の眉が寄る。
「テメェなあ・・・俺の脅迫手帳の威力知らねぇのか?」
「え?」
ヒル魔の脅迫手帳。それは日本のみならずアメリカの一警官に対してさえ威力を発揮できる代物。
「のうのうと生年月日晒してみろ。氏名と生年月日だけで個人情報駄々漏れになんぞ」
「そ、そうなの?!」
「それで今まで脅迫手帳の餌食になった奴らがそれを知ったら・・・?」
「・・・」
まもりは黙りこくった。確かに彼の被害に遭った人たちの数は計り知れない。
大小差は有れど、ここぞとばかりに反撃されたら多勢に無勢だろう。
まもりは残念そうにディスプレイを見る。
「なぁんだ・・・皆にお祝いされてるヒル魔くんが見られると思ったのに」
「そんなの見て何が楽しい」
「だってヒル魔くんは人外っぽいし見た目に悪魔だけど誕生日くらいは文句も言われずお祝いされてくれると思ったのよ」
「随分な言い草じゃねぇか」
そう言いつつも、さほど気分を害さなかったらしいヒル魔はまもりの肩に手をかける。
「何?」
「誕生日なんつーたった一日のために浮かれるなんざつまらねぇだろ」
にやりと彼の口角が上がるのを、まもりは間近に見る。
「どうせなら毎日浮かれてやがれ」
「そんなの、ただの馬鹿・・・」
可愛くないことを言おうとするまもりの唇を、ヒル魔のそれが塞ぐ。
散々に貪って、離れた唇をぺろりと舐め、ヒル魔は楽しげに眸を細めた。
「馬鹿上等、だ」


***
誕生日にはシールを貼ってくれて、口々にお祝いの言葉を言ってくれるというサービスが本当に有ります。
でも20~40代のお客さんは恥ずかしがって遠慮する人の方が多いようですよ。
そもそも二人が某テーマパークにいる様が想像できません。行くなら富士Qとかだと思うんですがどうでしょう。
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