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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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うわさ(上)

(ヒルまも)
※『プシュミ・プルシュ』の続きです
※リクエスト作品

+ + + + + + + + + +
最近、まもりの様子がおかしいとヒル魔は訝っていた。
以前のように怯えて近づかないというわけではない。
むしろ笑って近づいてくるのだが。
どうにも時折その笑顔が引きつっているような、妙なぎこちなさを感じさせるのだ。
「なんだか変だな」
一番に察したムサシがヒル魔の隣で弁当を食べながら呟く。
彼の視線はさきほど廊下を過ぎたまもりの影に向かっている。
「そうだな」
応じるヒル魔は素っ気なく一言呟いただけだ。
食事片手にパソコンを覗き込む。
彼女は先ほど教室の中をちらりと見つつ廊下を通り過ぎたのだが、真っ当にヒル魔と視線が合った途端、手を振って足早に去った。どこかぎこちない笑みを浮かべて。
そんな顔をされる理由がヒル魔にはわからない。
まもりに関してはこのところ取り立てて面倒事や、彼女が機嫌を損ねるような事件は起きていない。
ヒル魔が先日風邪を引いて部活を早退する騒ぎになったが、その後復帰してきてからは普通に接していた。
いつからだ、とヒル魔は自らの記憶を掘り起こす。
けれど該当するようなものはなく、自然と眉間に皺が寄った。
「心当たりはないんだな」
「なんで俺が原因だって決めつける、糞ジジィ」
「ん。大概お前達の原因はヒル魔にあるんだろう?」
飄々と言いながら、ムサシは食事を終えて立ち上がる。
どこに行く、というヒル魔の視線にムサシは口を開いた。
「コーヒー買ってくる」
お前は、と問われてヒル魔は首を振った。
購買や校内の自販機で売っているような缶コーヒーは甘ったるくて飲めたモンじゃない。
どうせ飲むなら部室でまもりに淹れさせた物の方がいい。
そう考えた途端。
「せっかくだ、淹れて貰ったらどうだ?」
誰に、とは言わずとも全てを見透かしたムサシの台詞に、ヒル魔の口角が上がる。
しかし目は笑っていない。
「だ・ま・れ」
ジャコン、と音を立てて向いた銃口にもムサシは薄く笑みを浮かべただけだ。
「そんなに照れるな」
「くたばれ糞ジジィ!」
容赦なく撃ち出された銃弾に教室は阿鼻叫喚の地獄となったが、ムサシは慣れたもので笑いながら立ち去ったのだった。

放課後、部室に入るなり、ヒル魔の前にまもりが仁王立ちした。
「ちょっと、ヒル魔くん! 教室で銃乱射したんですって?!」
「ア? 乱射じゃねえ。狙撃だ」
「どっちにしても撃ったのね?! んもう、危ないでしょう!」
ぷりぷりと怒るまもりはあのぎこちなさなどなく、いつもの通りだ。
ヒル魔はじっと彼女を観察する。
「大体ねえ、普通の人は銃なんて持ち歩かないし、撃たないのよ!」
普段ならからかいながらちょっかいの一つもだすのだけれど、ヒル魔はこの時、黙ってまもりを見ていた。
文句を言い連ねても、ヒル魔からのアクションがないのをさすがに不審に思ったまもりは不意に言葉を切る。
「・・・ねえ、ヒル魔くん? 聞いてる?」
ヒル魔を見上げて小首を傾げるまもり。
「聞いてる」
やっぱり普段通りだな、あのぎこちなさはどこで出るんだ、とヒル魔は素っ気なく返事をしながらなおもまもりを見つめた。
「・・・あの・・・」
ヒル魔の考えが読めず、まもりは困ったように言葉を探す。
「何だ」
ヒル魔の方も、一体どう説明したものか、と思っていた矢先。
「フゴッ!」
「こんちゃーっす!」
「こんにちはー」
がらっと泥門チビーズが扉を開いて入ってきた。
部室内の異様な雰囲気にセナは固まるが、小結とモン太はずかずかと入り込む。
まもりはぎこちなく笑みを浮かべた。
「今日は走り込みからやるんスか? それとも基礎練が先っスか?」
「れ、れんしゅう!」
空気の読めない二人に冷や汗を掻くセナを置き去りに、二人は問いかける。
「今日はグラウンド使用時間が一時間ずれたから、先に土手をランニングしてから基礎練習よ」
「わかりましたっス! 走り込みMAX!!」
「フゴーッ!」
まもりが答える傍ら、ヒル魔は着替えるためにするりとその場を離れる。
予想外の二人の反応にセナはぱちぱちと瞬きをし、横を通り過ぎるヒル魔を見上げる。
「オラテメェらもさっさと着替えろ」
「あ。・・・はい」
じゃあ私も準備しなきゃね、と部室の奥に行くまもりもいつも通りで。
先ほどまでの異様な空気は一体何だったのだろう、とセナは首を捻ったのだった。


<続>
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