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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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風炎現象

(ヒルまも)
※15000HITお礼企画作品
※まもりパパ視点

全身が震える程の(2)→イヤーロブ→とある男性の受難→なぞなぞ→金色独占欲→風炎現象の順です。

+ + + + + + + + + +
あの男らしいとさして面識のない私でも思わされた派手派手しい結婚式を終えて。
そしてそう間をおかず、まもりはあの男と共にアメリカへと旅立ってしまった。
ぼんやりと窓の外を眺めながら紅茶を啜っていたら、妻にため息をつかれてしまった。
「・・・あなたったら、まるで隠居したおじいさんみたいな風情よ」
娘はおろか妻にまでどこか遠くに行かれてはたまらない。私はしゃんと背筋を伸ばした。
おもむろに、まもりから届いた手紙を取り出し、眺める。
届くのがエアメールになったのと、差出人の氏が変わったこと以外は同じ、まもりからの手紙。
近況がいつものように書いてある。
『・・・こちらは何を買うにもサイズが大きくて、特に食事は二人だけの生活だとちょっと大変です。でもヒル魔くんが割と食べるので、作りがいもあって楽しいのよ』
けれど今までとは違って、その端々にヒル魔の名前があるのが気に喰わず、私は眉を寄せた。
今まではそれなりに気を遣って名を出さなかったのだろうが、今は・・・今だって非常に認めたくないが、まもりはあの男の妻、な訳で。
だから手紙に名前があるのはおかしな事ではないのだけれど!!
元気そうで良かった、けれどあの男の事は今後書かなくていいと言うべきか、けれどそんなことを書くとあの男が何をしでかすやら怖いような。 いやいや怖いなんてそんなことはない、あれは娘の夫であって私の義理の息子なのだから・・・非常にイヤだが!!
「今度は百面相?」
私をからかう妻に私はため息。
幸せが逃げるわよ、と眉間の皺をつつかれてもどうにも気分が浮上しないのだ。
そこにチャイムが鳴る。
時刻は夕方、来客があるとは聞いてない。
妻と二人で顔を見合わせ、妻がインターフォンを取る。
「え、・・・まもり?!」
「何?!」
慌てて私が玄関のドアを開けに走ると。
「・・・お父さん」
そこには、ほんの数ヶ月前に私の手元から巣立ったはずの、まもりの姿があった。
その目は赤く腫れ、頬には涙の跡がある。
「ごめんね、突然」
仰天する私の隣から、妻が声を掛けた。
「いいのよ。さあ、上がりなさい」
「うん・・・」
落ち込んだ風情のまもりに色々聞きたいことはあったが、妻の無言の視線に私は押し黙る。
妻はとりあえず風呂を勧め、夕食はまもりの好きな物を中心に用意していた。
「・・・喧嘩したのか?」
「多分ね。妊娠して情緒不安定なのかと思ったけど、そうでもないわね」
「・・・・・・にん・・・」
「あら、だって結婚してるのよ。子供が出来るのは当たり前じゃない」
あっさりと言う妻に私は頭痛を感じる。いや、そうだけれど。
でも、久しぶりに逢う娘に対してそんなことを考えさせないでくれ。せっかくあの男の影もないんだから。
「お風呂、ありがとう」
濡れた髪のまま、まもりが顔を出す。あたたまって気分が良くなったのか、幾分表情も明るい。
そのまま食卓を勧め、久しぶりに親子三人の食事と相成った。

久々の母親の味にまもりは笑顔で食事を終える。
だが目の前に紅茶を出され、夫婦二人で並ぶ、お話を聞きます状態になった途端、思い出したかのようにまもりの表情が曇った。
「・・・どうしたんだい、まもり?」
出来る限り優しい声で、私はまもりに話しかける。と、まもりは深々とため息をついた。
「ヒル魔くんがね、家にいないの。二人で留学してるはずなのに、気が付いたらいつも私は一人なの」
まもりの話によると、あの男は学業のために留学したはずなのに勉強の素振りがなく、気づけばパソコン片手にすぐいなくなるのだそうだ。
そして携帯に連絡をしてみても先に寝ていろとか心配するなとか、要は当たり障りなく拒絶されているというのだ。
「・・・そもそも、ヒル魔くんって私が何かしなくても、一人で生きていけるみたいなの・・・私がいる意味って、なんなのかなぁ」
ぎゅ、とテーブルの上の手が握りしめられる。
憔悴しきって泣くまもりの様子に、私に怒りと悲しみが奔流のように押し寄せた。
おのれ蛭魔妖一、何が『アンタの娘を世界一幸せにしてやろうっていう男』だ!!
しっかり泣かせて不安がらせているじゃないか!! 
しかしこれはいいチャンスでもある。やはりまもりには私という庇護者が必要なのだ!
ここでまもりをきちんと受け止めれば、きっと再認識してまもりはあの男と別れるだろう。
そうしたらまた親子三人で生活するのも悪くない。いや、大歓迎だ。
自分の考えに一人納得していたら、隣から妻がやんわりと口を挟んだ。
「でもまもり、妖一くんとは話をしたの?」
「・・・電話では」
「直接会ってないの?」
「・・・会えないんだもの!」
苛立ったように叫んだまもりに、妻は冷静に言った。
「会おうと努力したの? まもり、あなたは突発的に日本まで帰ってこられる程のエネルギーを、妖一くんと会う方向には向けられなかったの?」
「だって・・・」
「あなたは結婚したのよ。妖一くんと、共に人生を歩むんだって決めたんでしょう?」
きっぱりと言われ、まもりは続くはずだった言葉を飲み込んだ。
また肩を震わせるまもりの頭を私はそっと撫でる。
「・・・とりあえず、今日は早く寝て、落ち着いたら連絡してみればいい」
そう言うのが精一杯だった。
妻の言葉はいちいち的確で正しくて、けれど傷心の娘にはいささか酷い言葉ではないだろうか。
まもりの頭を撫でながらちらりと横を見たら、妻はさも当然だと言わんばかりの顔でこちらを眺めていた。

翌朝。
目が覚めると、向かいのまもりの部屋から声が聞こえる。起きあがって耳を澄ませて、愕然とする。
ヒル魔の声だ。
「俺はそもそも就労ビザで入ったんだよ」
「なんで!? だって、ヒル魔くんだって学生・・・」
「仕事しながらでも学生やれる」
「いやそうだけど! そうじゃなくて!」
・・・なんでヒル魔がここにいる。振り返れば妻はまだ眠っていた。
ということは、不法侵入?! いや、まもりの夫でまもりが話をしてるんだから不法な侵入でもない、か?
いやいや、家主が許可をしていないのに入ってきてるなんて!
でも足音がしなかったが・・・そもそも鍵は?!
私はぐるぐると考え、いや考えるくらいなら直接顔を見て言ってやろう、と扉を勇んで開けた。
「蛭魔妖一くん! 君という・・・人・・・・・・・・・は・・・・・・・・」
「ア?」
そこには数ヶ月前と変わらない同じ金髪の男。そしてその妻となった娘。
その二人がベッドの上にいる。
けれどその体勢は、その、・・・・えーと。
半裸に剥かれたまもりを組み敷くヒル魔が、じっとりとした目でこちらを見ている。
まもりは咄嗟にヒル魔の手に目隠しをされているようで、不安そうに身動いだ。
「・・・ヒル魔くん?」
その声が甘く掠れていて、私はどうしようもなくその場に立ちつくしていたが、突如背後から伸びてきた腕に現実に引き戻された。
その腕を辿ると、昨日から呆れられ続けている、妻の顔がある。
妻はひらひらとヒル魔に無言で手を振って音を立てないように扉を慎重に閉めた。
「覗き見が趣味だったの?」
「え?! いや、違う! 不可抗力で・・・!!」
「どうせノックもしないで戸を開けたんじゃないの? もう」
図星を指され、私は言葉に詰まる。
「だっ・・・しかし・・・」
「あそこはまもりの部屋で、妖一くんはまもりの夫で、まもりは妖一くんの妻よね」
「・・・ああ・・・」
「そこに声も掛けず入るのはどうかと思うのよ、私」
「・・・すまない」
素直にわびると、妻は肩をすくめて私の背を押した。
「ねえ、せっかくだから朝食は散歩がてら外に食べに生きましょうよ」
見れば妻はもう外に出られるように身支度を終えている。
私も手早く着替え、逃げるようにして我が家を妻と連れ立って飛び出した。
なんで自宅なのにこんなに気を遣うハメになるのか。
私たちは近場のファミレスへと足を運んだ。
「早く孫が出来ないかなあ・・・」
「グッ!!」
半ばヤケになって頼んだ大量のパンケーキを黙々と食べていたら、妻のとんでもない一言で喉に詰まった。
「若いおばあちゃんなんて素敵だわ。それに」
私に冷水を手渡す妻は悪戯っぽく笑った。
「孫が出来ちゃえば、めろめろになるらしいわよ、おじいちゃん?」
「・・・勘弁してくれ」 


ゆっくり時間を潰して、それから憂鬱な気分で自宅に帰る。
リビングに、我が家のようにくつろぐヒル魔と、昨日とは打って変わって笑顔のまもりがそこにいた。
「お騒がせして申し訳アリマセンデシタ」
「全くだ!」
「ちょっと、お父さん・・・」
「ソノトオリ、返す言葉もゴザイマセン」
「煩い! まったく感情も込めず棒読みして!」
「トンデモゴザイマセン」
「相変わらず虫の好かない男だ!!」
ぷりぷりと怒る父とそれを受け流しケケケと笑うヒル魔の姿に、まもりと母はやれやれと肩をすくめる。
「なんだかんだ言って、ヒル魔くんとお父さんって仲いいよね」
「そうね。やっぱりまもりを好きな者同士、気が合うんじゃないの?」
「・・・そうかな」
「そうよ。で、いつ帰るの?」
「今日の夜の便で。あと二時間したら出るわ」
「そう。じゃあお昼ご飯は一緒に食べられるわね。妖一くんは何が好きなの?」
「辛い物が好きみたいだけど、基本的に好き嫌いはないわよ」
「あら、じゃあお父さんと同じね」
「そうなのよ」
昼食の準備をすべくキッチンへ向かった二人の背後で、相変わらず喧嘩は続いている。
「大体人の家でふしだらな! 常識をわきまえたまえ!!」
「娘の部屋に堂々と覗き見しに来るアンタはどうなんだ」
「ぐっ・・・あれは不可抗力で!」
「ノックくらい常識デスヨ~」
「煩ぁい!!」 


結局嵐のようにやってきたまもりとあの男は、来たときと同じように唐突に去っていった。
「もうあの子は子供じゃないのよ」
「子供だろう」
間髪入れずに返す私に苦笑する妻に、子供だ、と私はもう一度呟いた。
何歳になっても、いつまでもあの子は私の子供だ。結婚しても、孫が出来たとしても。
結局は幸せそうにアメリカへ戻っていったまもりを思いだし、私は目を閉じる。
けれど子供であるという事実が揺らがなくても、この手はもうあの子を抱き上げることはないのだろう。
まもりを抱きしめるのは、もうあの男の仕事なのだ。
それがとてつもなく寂しくて、私は手のひらを見つめる。
「次は孫を抱けるわよ」
内心を見透かした妻がそう呟いた。

***
fumika様リクエスト『まもりパパ話』でした。まもパパ書きやすいよ・・・!そしてまもママ最強伝説。いつでも父は夢を見て母は現実を見るわけです。多分ヒル魔さんはまもパパを気に入っているので、こんな風にからかうんだと思います。苦手なら絶対近寄らないですし(例:自分の両親)。いずれまもパパには逆襲させてみたいのですが、どうなることやら。リクエストありがとうございましたー♪

fumika様のみお持ち帰り可。

リクエスト内容(作品と合っているかどうか確認のために置きます)以下反転して下さい。
『まもパパ視点で・・・娘がアメリカに行ってしまいさびしい毎日を送っていた パパの元にまもりが一人泣きながら帰ってくる。アメリカでのヒル魔には自分は必要なかったと疲れた様子の娘を見てパパは怒りと悲しみを覚えるが、やっぱりまもりには自分という庇護者が必要なのだと思い、また3人で暮らせるとちょっぴり嬉しくもなる。だけどヒル魔が迎えに来るとあっさり誤解も解けたように すっかりラブラブモードで元気に再びアメリカへ戻っていった娘を見て、やっぱり娘は自分の手から離れたのだと痛感するパパ。』達成できてます?
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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