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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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なぞなぞ

(ヒルまも+ヒル魔の父母)

※15000HITお礼企画作品
※5/13アップ『とある男性の受難』の続きです
※ヒル魔の父の名前以外の何もかもを捏造しました


以上をふまえて『つづきはこちら』からどうぞ!


+ + + + + + + + + +
帰宅したヒル魔の姿を見て、まもりはひきつけを起こしそうになった。
黒髪に染めて髪を下ろし、ピアスまで外して。
普段ならまず袖を通さないごく普通のグレーのカットソーと白パーカーとブルーデニム、という格好。
誰だこの人。
「・・・だからイヤだっつったろ」
心底嫌そうな顔で、ヒル魔はため息をついていた。
「だっ・・・でも、いや・・・」
意味無く言葉を繰り返すまもりの目の前で、もう一度ヒル魔はため息をついた。 

『ウチの親に会う、っつーことは、下準備もそうだが、色々本当に面倒でイヤなんだよ』
基本的に面倒とかイヤだ、という言葉を滅多に使わないヒル魔がそれだけ会うのを嫌がるなんてどんな親だろうか、と思っていたまもりは、結婚を機に是非会いたいと言ったのだ。ねばり強く願って、終いには会わせなければ結婚しないとまで言って、つい昨日やっと根負けしたヒル魔に是、と言わせたのだ。
 
「だって・・・ヒル魔くんの親御さん、ご健在なんでしょ? 日本人なんでしょ?」
「日本人っつったって色々あるだろうが。覚悟しろよ、お前」
「何が!?」
どこから取り出したのか、キャップまで取り出して被る様に、まもりは目眩を覚えた。
ここまでくるともう変装だ。
耳が隠れ、大人しく口を閉ざしてしまえばヒル魔は年相応の、ごく普通の青年になってしまう。
「ウチの親にどれだけ突っ込まれようが、黙ってろよ。そうじゃねぇと何が起こっても知らねぇ」
「なにそれ?!」
「じゃあ行くぞ」
「行くぞ、って・・・これから?!」
「当然」
嫌なことは速攻ですませたいヒル魔の性格は知っていたけれど。
ごく普通の普段着のまま、まもりは外へと連れ出された。

「・・・ここ?」
「ああ」
タクシーで料金を払い、先に降りていたまもりの後ろからヒル魔が追いつく。
「なんか・・・ごく普通の・・・お家なんですけど」
「ごく普通の家だな」
ごく普通の一戸建て。特に大きいとも言い難い。表札に『蛭魔』となければ絶対に信じない。
「なんか、とんでもない旧家かとんでもない洋館か・・・そんな常識外れな印象が・・・」
「そりゃテメェの妄想の話だろ。来い」
まもりの手を引いて、ヒル魔はドアチャイムを押した。普通の音だ。
『はーい』
インターホンから出てきたのも普通の人の声だ。
「俺」
『あら、妖一?! 久しぶりね~! もっとちょくちょく帰ってきたらいいのにあんたったら!』
「・・・母さん、ここ玄関先ナンデ、早く鍵開けて貰えマス?」
『あらあら、ごめんなさいね~今開けるわ』
ブツ、と通話が切れる。
「・・・お母さん?」
「そう」
ほどなく玄関の扉が勢いよく開かれる。
勢いに驚くまもりの前に、ヒル魔によく似た顔つきの女性が顔を出した。
思ったよりも若いが、年齢的にはもしかして。
「おかえりなさーい」
「タダイマ」
「もー、妖一ったら本当に帰ってこないんだから! ・・・あら?」
呆然と立ちすくむまもりを、女性が目を丸くして見ている。仏頂面のヒル魔と驚いたままのまもりを交互に見て、女性はしばしの沈黙の後、ばっちーんとヒル魔の背中を叩いた。イテ、とヒル魔が顔を顰める。
「やるじゃない妖一! こんな綺麗な子連れて来ちゃって!! 何、彼女? 彼女!?」
「・・・母さん、ここ玄関先ナンデ早く入れてクダサイ・・・」
疲れたようなヒル魔の声に我に返ったまもりは慌てて頭を下げるが、挨拶する間も与えられず、さっさと家の中に引き込まれた。
「いらっしゃい、狭い家でごめんなさいね~。あ、私妖一の母親のあけみっていうの。よろしくね! ところでお嬢さんのお名前はなんて言うのかしら?」
怒濤の勢いで喋られて、まもりは目を白黒させる。代わりにヒル魔が答えた。
「こいつの名前は姉崎まもり。俺の嫁」
「嫁ぇ――――?!」
ばしばし、とヒル魔の背を容赦なく叩くあけみにまもりはどうしようか困る。
「やだちょっとこんな可愛い子を嫁!? 彼女通り越して嫁!? 最高! アンタ最高ッ!! ちょっとお父さん、聞いてー! 妖一がねー!!」
飛び上がって喜んだあけみは二人を置いてバタバタと廊下を走っていってしまう。
「・・・本当にお母さん?」
「だからイヤだっつたろ」
ひそひそと会話をして廊下を進んでリビングに入る。
ヒル魔が恐縮するまもりを引きつれ、入った先にははしゃぐあけみと、それに付き合わされている感じの男性が一人。
「おかえり」
「タダイマ」
「あの、お邪魔します・・・」
「さあ座ってまもりちゃん! お茶飲む? コーヒー? それとも紅茶?!」
「俺コーヒー。コイツは紅茶」
「オッケー!!」
テンションの高いあけみが去ると、途端にリビングが静かになる。
「そうか、妖一の嫁さんか」
「白々しい。テメェはもうそれくらい知ってんだろ」
「ああ、まあね。でも実際に会って話をするのとは違うよ」
にこにことテメェ呼ばわりされた父親はまもりを見ている。ヒル魔とは似ても似つかない、穏和そうな男性。
「まもりさん、とお呼びしてもいいかな? 妖一の父の幽也です」
「は、はい」
「ウチはこの通り、ごく普通の家でね。君の想像とは違って申し訳ないが」
「え?! や、その・・・」
「余計なこと言うな糞親父」
「はいコーヒー入ったわよ。妖一、あなたもブラックでいいわよね? はい、まもりちゃん」
あけみが手際よくカップを並べると、すとんと幽也の隣に座る。
「いやー、それにしても久しぶりに帰ってきたら嫁さん連れて帰ってくるなんて。結婚式はもうやったの?」
「今度やる」
「あらそう。写真が出来たら見せてよ。送ってとは言わないから」
「ああ」
「職場に持ってきてくれてもいいわよ?」
「あんな場所で晒しモンになれるか、気色悪ィ」
「それもそうね。まあ、気が向いたら携帯に連絡ちょうだいな」
・・・奇妙な会話にまもりは内心首を傾げるが、なにか口を開いたら目の前の幽也に突っ込まれそうで、怖くて口が開けない。
事前に黙っていろ、と言われていたせいもあるが、そうでなくとも何となく異様なこの空気に口を開けない。
いくつか話をしただけで、ヒル魔はあっさりと立ち上がる。
「とりあえずツラ見せに来ただけだ。もう当面来ねぇ」
「相変わらずなんだから、もう」
「またいつでもおいで」
ひらひらと椅子に座ったまま手を振る幽也の手元にはノートパソコンがあって、なにやら忙しなく打ち込んでいる。
・・・何をあんなに打ち込んでいるのだろう・・・。
来たときと同じようにスタスタと帰るヒル魔についていくまもりの手に、あけみが何か握らせた。
「これ、私の個人的な連絡先。妖一や幽也の耳に入れたくないことで聞きたいことがあったら連絡ちょうだい」
ぱちん、と音がしそうなウインクを一つして、彼女は玄関まで見送ってくれる。
いつの間に呼んだのか、ヒル魔は玄関先に止まっていたタクシーにまもりを押し込んだ。
「・・・あの、ヒル魔くん」
「家まで黙ってろ」
言いながら、ヒル魔はどこからか取り出したメモ帳に何かを書き付ける。
『家に戻る前に服買ってホテル寄って着替えて帰るぞ』
「は!?」
『詳しくは後で教える。黙ってろよ』
まもりは狐に摘まれたような気分で、大人しく座席へと身体を預けた。


さて。
もう既に閉店しているはずの店を無理矢理開けさせ、まもりとヒル魔はそれぞれ洋服を購入してその辺のホテルに入った。
洋服を下着から全て脱ぎ捨て、着替える。靴も履き替えさせられた。
まもりが手にしていたあけみの名刺は連絡先を控えた後に燃やす念の入れよう。
ヒル魔がシャワーを浴びると、黒髪は金髪に戻った。スタイリングするとあっという間にいつものツンツン頭。
てっきりその後手を出してくるかと思えば、ヒル魔はさっさとホテルを後にした。
帰りは電車、ということで二人して駅までの道を歩く。
「お気に入りのワンピースだったのに・・・」
「今度買ってやる」
ぽつんと恨み言をこぼしたら、あっさり返される。
ああ、もう喋っても大丈夫かな、とまもりはヒル魔の顔を見る。
「もう、喋っても平気?」
「ああ。・・・だから面倒でイヤなんだよ」
「一体何だったの? 洋服、なんで捨てちゃったの?」
「ア? テメェは気づいてないだろうが、盗聴器がつけられてた」
「はっ?!」
「あいつら、実際何やってるか知らねぇが、あの家にゃプライバシーっつーもんはねぇ」
「なにそれ?」
「お前の経歴も何も全部糞親父は知ってる。あの家で迂闊なことを口にするとどこで影響が出るか判らねぇ」
「えぇ?!」
「わざわざあのナリにして帰ってるのは、気休め程度だが、やらないよりマシだからだ」
「えぇ・・・!?」
一体何がなんだか。どんな家なの、蛭魔家。
「母親の方はまだ判ってることが多いし、そんなにあくどいことはしねぇからマシだが・・・」
はあ、とヒル魔はため息をつく。
「あの糞親父は本当に何者か判らねぇ。あの家もきっといくつかある根城の一つでしかねぇよ」
「・・・そ、そうなの・・・?」
「ああ。ウチの母親と話するときも気を付けろ。電話なら間違いなく録音してるだろうし、直接会うときはその後服も全部捨ててから帰ってこい」
「・・・はぁ・・・」
やっぱりヒル魔くんの両親だ、ただ者じゃなかった。
「血は繋がってるんでしょ?」
「残念ながらな。今度見せてやるが、戸籍にもちゃんと載ってる」
「戸籍あったんだ!」
常識的に考えて日本人なら当然のことだが、まもりは思わず叫んでしまう。
その様子も想定の範囲内だったのだろう、ヒル魔は軽く肩をすくめただけだ。
「結婚式に呼ぶなんて絶対にしたくねぇし出来ねぇ。仲が悪いとか以前の問題だ。写真も送ろうもんならどんなことしでかすか」
「お、お仕事は?」
「糞親父は表向き公務員とかほざいていたが事実はどうだかシラネ。母親はホステスやってるが、それも表向きだろうし」
「・・・なんかもう、らしすぎて何も言えない・・・」
以前栗田やムサシがヒル魔に両親について尋ねても二転三転して結局判らずじまいだったと言っていたのを思い出した。
そりゃ判らないはずだ。当人だって判ってないんだから。
「あいつらはお前と常識の物差しが違うから、理解しようとは思うな」
「・・・うん」
釈然としないが、まもりは頷くしかない。
あの両親と再び会うことがあったとき、どう対処していいか、今から悩んでしまいそうだった。

***
唯様・まみ様リクエスト『ヒル魔とヒル魔の父(母)の話』でした。世間一般で思われるヒル魔さんの両親の印象をことごとく打ち砕くぞ! と気合いを入れていたら、こんな話になりました。楽しく書かせて頂きました♪ただ、本誌で(多分父親の)名前が出ちゃったので、万が一原作に出ちゃうとアップ出来ない! という訳で急遽予定変更して本日アップしました。リクエストありがとうございました~!

唯様・まみ様のみお持ち帰り可。

リクエスト内容(作品と合っているかどうか確認のために置きます)以下反転して下さい。

唯様
『「ヒルマとヒルマの父の話」です。以前マモパパの話の時にヒルマが20歳まで結婚を待ったのは両親の承諾を取るのはメンドだったからとありましたが、その辺も踏まえて捏造でいいのでヒルマとヒルマ父の話がみたいです。もちろんヒルマモ前提でよろしくお願いします!!他サイト様のようにヒルマは妾の子かなという妄想はあります。』 じゃあ妾の子にはしないぜ!というひねくれた鳥の解釈でこんなんなりました(笑)

まみ様
『ヒル母が出てくる話希望です』 超ハイテンションなキャラにしてみました。多分ご想像とは違うかと(笑)
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趣味:
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。

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