旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔は目の前で挙動不審も露わに固まるまもりの姿を表面上は平然と、内心は苦笑しながら眺めていた。
どうせそんなこったろうと思った、というのは嘘ではない。
彼女のことだ、全く今夜からのことを想像してなかったに違いない。
そもそも気持ちが通じ合ったとはいえ、今日までまったく付き合うとかそういう状況に至ってない今現在、そこまですっ飛ばさなくてもいいだろう、というのが彼の考えだった。
彼の、時間は有限なので無駄にしたくない、というスタンスは変わっていない。
だが、ここで焦って彼女を取り逃がすことの方がよっぽど早計と言えよう。
最初から期限が決まっていたクリスマスボウルとは違うのだから。
とどのつまり、彼女が闇雲に逃げさえしなければ、ヒル魔は自分から踏み込む事はすまい、と最初から決めていたのだ。
手付け代わりに彼女の唇だけは奪って自室に戻る。
パソコンを起動させながら、さて彼女はいつあの扉を越える気になるのか、と視線を向ける。
その隙間に見えていたリビングの明かりはさほど待たずに消えた。
ふと時計を見れば十二時近かった。
手慰みに作っていたプログラムを保存し、パソコンを閉じる。
運び込んだ未読の本を取り出し、ページを捲る。
基本的に彼はデジタル人間だが、意外と書籍も読む。
ただし一度読めば大概頭に入るし、しかも速読するので、大抵の本はあっという間にただの紙切れと同じ扱いになるのだけれど。
「・・・」
ふっとヒル魔は顔を上げた。
人の気配。
逡巡するそれに彼は口を開いた。
「その扉に触れたら、テメェの覚悟は決まったととるぞ」
「っ!!」
息を呑み、硬直するのが見えなくてもよく判る。
本当に判りやすい女だ、と苦笑する。
単に眠れないだけならいくらでもやりようがあるだろうに。
「眠れねぇなら酒でも飲んで寝ちまえ」
「・・・未成年よ?」
苦笑は更に深くなる。
「自分の貞操と世間の一般常識とを天秤に載せろ」
迷うべきところではないはずだ。
昨日までの付き合いは気持ちが通じ合ったとはいえ、ほぼ友人や仲間のそれと変わらない。
焦らなくても住処が同じである以上、いつでも顔を合わせるのだから。
「糞真面目な姉崎サンはどうされるつもりデスカネ?」
だからわざとからかいを含めた声で問いかける。
引き下がられても今なら平然と対処出来る。余裕があるフリが出来る。
ただし二年の猶予の間には覚悟を決めて貰うけどな、と内心呟いて出方を見る。
気配はしばらく動かなかった。
しかし大きく深呼吸の音が聞こえた後、ゆっくりと開かれていく扉。
「こうするの」
強ばって青白い顔だが、足は迷いなく扉をくぐり抜けて来た。
ヒル魔は立ち上がってまもりの傍らに歩み寄る。
近寄って来るヒル魔を前にパジャマの裾を握りしめて俯く姿に、腕を伸ばす。
「っ」
びくりと震えるのを無視して伸ばした手でドアノブを掴み、ゆっくりと引く。
静かに閉じられる扉を背に、まもりは小さく震える。
それはまるで判決文を読み上げられるのを待つ被告人のようだった。
□■□■□
***
前半部分がえっらく短い上にここまでですみません。
いっそ全部裏にしようと思ったのですが、そうすると更新に使える在庫がなくてですね・・・(苦)
こっそり続きを所望してくださった黒魔尼温☆JIN様、ありがとうございます♪
どうせそんなこったろうと思った、というのは嘘ではない。
彼女のことだ、全く今夜からのことを想像してなかったに違いない。
そもそも気持ちが通じ合ったとはいえ、今日までまったく付き合うとかそういう状況に至ってない今現在、そこまですっ飛ばさなくてもいいだろう、というのが彼の考えだった。
彼の、時間は有限なので無駄にしたくない、というスタンスは変わっていない。
だが、ここで焦って彼女を取り逃がすことの方がよっぽど早計と言えよう。
最初から期限が決まっていたクリスマスボウルとは違うのだから。
とどのつまり、彼女が闇雲に逃げさえしなければ、ヒル魔は自分から踏み込む事はすまい、と最初から決めていたのだ。
手付け代わりに彼女の唇だけは奪って自室に戻る。
パソコンを起動させながら、さて彼女はいつあの扉を越える気になるのか、と視線を向ける。
その隙間に見えていたリビングの明かりはさほど待たずに消えた。
ふと時計を見れば十二時近かった。
手慰みに作っていたプログラムを保存し、パソコンを閉じる。
運び込んだ未読の本を取り出し、ページを捲る。
基本的に彼はデジタル人間だが、意外と書籍も読む。
ただし一度読めば大概頭に入るし、しかも速読するので、大抵の本はあっという間にただの紙切れと同じ扱いになるのだけれど。
「・・・」
ふっとヒル魔は顔を上げた。
人の気配。
逡巡するそれに彼は口を開いた。
「その扉に触れたら、テメェの覚悟は決まったととるぞ」
「っ!!」
息を呑み、硬直するのが見えなくてもよく判る。
本当に判りやすい女だ、と苦笑する。
単に眠れないだけならいくらでもやりようがあるだろうに。
「眠れねぇなら酒でも飲んで寝ちまえ」
「・・・未成年よ?」
苦笑は更に深くなる。
「自分の貞操と世間の一般常識とを天秤に載せろ」
迷うべきところではないはずだ。
昨日までの付き合いは気持ちが通じ合ったとはいえ、ほぼ友人や仲間のそれと変わらない。
焦らなくても住処が同じである以上、いつでも顔を合わせるのだから。
「糞真面目な姉崎サンはどうされるつもりデスカネ?」
だからわざとからかいを含めた声で問いかける。
引き下がられても今なら平然と対処出来る。余裕があるフリが出来る。
ただし二年の猶予の間には覚悟を決めて貰うけどな、と内心呟いて出方を見る。
気配はしばらく動かなかった。
しかし大きく深呼吸の音が聞こえた後、ゆっくりと開かれていく扉。
「こうするの」
強ばって青白い顔だが、足は迷いなく扉をくぐり抜けて来た。
ヒル魔は立ち上がってまもりの傍らに歩み寄る。
近寄って来るヒル魔を前にパジャマの裾を握りしめて俯く姿に、腕を伸ばす。
「っ」
びくりと震えるのを無視して伸ばした手でドアノブを掴み、ゆっくりと引く。
静かに閉じられる扉を背に、まもりは小さく震える。
それはまるで判決文を読み上げられるのを待つ被告人のようだった。
□■□■□
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前半部分がえっらく短い上にここまでですみません。
いっそ全部裏にしようと思ったのですが、そうすると更新に使える在庫がなくてですね・・・(苦)
こっそり続きを所望してくださった黒魔尼温☆JIN様、ありがとうございます♪
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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