旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔が帰宅したとき、目にしたのは。
思い詰めたような顔でハサミを手にするまもりの横顔。
「・・・何やってやがる」
驚いたが、なるべく静かに、低く問う。
その声にまもりがぱっとヒル魔の方を向いた。
「あ、お帰りなさい! 丁度良かった」
ふわんと笑ってまもりはハサミをヒル魔に差し出した。
「ちょっと切ってくれない?」
「ア?」
見ればまもりの髪にべったりと張り付いたガム。
ヒル魔は片眉をぴんと跳ね上げた。
「どうした」
「うん・・・今日、帰り道にいろいろあって付けられちゃった」
「・・・」
ヒル魔が無言で手帳を取り出したのでまもりは慌てて続ける。
「あのね! 子供が喧嘩しててね、あんまり一方的だったから見かねて止めようと・・・」
「子供の喧嘩にまで口出すんじゃねぇよ」
挙げ句ガムなど付けられて、鈍くさいことこの上ない。
ヒル魔はハサミをテーブルに置くと、ため息混じりに冷蔵庫に向かった。
「え?」
製氷皿から氷を取り出すとまもりの髪に張り付いたガムに当てる。
「切るっつー発想の前にネットで対処くらい調べろよ」
「私じゃ無理よ」
「テメェのことだろ。簡単に投げすぎだ」
ガムは冷えて固まって、ある程度は取れたが、やはりべたつく。
「やっぱり切るしかないわね」
幸いガムが張り付いていたのは毛先の方だ。
まもりはハサミを再び手に取ろうとしたが、それはヒル魔に先に奪われた。
「切ってやろう」
てっきりその箇所だけ切るのかと思っていたら、それではバランスが悪いから全体を整えるという。
「ヒル魔くん、髪切れるの?」
「誰に物言ってる」
ベランダに椅子を出して、首元にタオルを巻く。
「これって小さい頃お母さんにやってもらった床屋さんみたいね」
ヒル魔はさらりとまもりの髪を撫でた。
「動くなよ」
シャキン。
ハサミを手にしたヒル魔は至って真面目にまもりの髪を切り落としていく。
鏡を手にまもりは背後のヒル魔の様子を伺うが、彼はまもりが身動ぐたびに手を止めてはつむじをつつくのだ。
「やめてよ! お腹痛くなるじゃない!」
「嫌なら大人しくしてろ」
ケケケ、と笑って再びカットに没頭。
目だけを動かせば、ベランダに散る自分の茶色い髪。
シャキン。
耳元でハサミが鳴る。
そっと触れて、髪を引いてバランスを取る手。
心地よくて、次第に眠気まで襲ってきて、まもりは瞳を閉じる。
「おい、寝るな」
「ん・・・」
シャキン。
「終わったぞ」
「んっ」
まもりは夢うつつの状態で鏡を覗き込んだ。
きれいに切りそろえられた毛先は素人がカットしたとは思えない程だ。
「後ろはどうなってるの?」
「おら」
合わせ鏡の要領で覗き込んだ鏡面で見る限り、おかしなことにはなってない。
「すごい! ありがとう、ヒル魔くん」
まもりの首筋に張り付いた髪の毛を指先で払いながらヒル魔は肩をすくめる。
「これに懲りたら余計な口出しすんじゃねぇぞ」
それにまもりはぱちぱちと瞬きし、それから悪戯っ子のような顔をして笑った。
「懲りるどころか味をしめちゃったかも」
「アァ?!」
それから。
時折、よく晴れた休日に、ヒル魔がまもりの髪を切るのが二人の決まり事になった。
***
私の周囲には自分の髪を自分で切る人が多くて器用で羨ましい限りです。
ヒル魔さんなら出来そうだよなあ、と思って書いてみました。将来的に子供達の髪も切ってるといいよ!
ちなみにガムは油で拭くと取れるそうですよ。
思い詰めたような顔でハサミを手にするまもりの横顔。
「・・・何やってやがる」
驚いたが、なるべく静かに、低く問う。
その声にまもりがぱっとヒル魔の方を向いた。
「あ、お帰りなさい! 丁度良かった」
ふわんと笑ってまもりはハサミをヒル魔に差し出した。
「ちょっと切ってくれない?」
「ア?」
見ればまもりの髪にべったりと張り付いたガム。
ヒル魔は片眉をぴんと跳ね上げた。
「どうした」
「うん・・・今日、帰り道にいろいろあって付けられちゃった」
「・・・」
ヒル魔が無言で手帳を取り出したのでまもりは慌てて続ける。
「あのね! 子供が喧嘩しててね、あんまり一方的だったから見かねて止めようと・・・」
「子供の喧嘩にまで口出すんじゃねぇよ」
挙げ句ガムなど付けられて、鈍くさいことこの上ない。
ヒル魔はハサミをテーブルに置くと、ため息混じりに冷蔵庫に向かった。
「え?」
製氷皿から氷を取り出すとまもりの髪に張り付いたガムに当てる。
「切るっつー発想の前にネットで対処くらい調べろよ」
「私じゃ無理よ」
「テメェのことだろ。簡単に投げすぎだ」
ガムは冷えて固まって、ある程度は取れたが、やはりべたつく。
「やっぱり切るしかないわね」
幸いガムが張り付いていたのは毛先の方だ。
まもりはハサミを再び手に取ろうとしたが、それはヒル魔に先に奪われた。
「切ってやろう」
てっきりその箇所だけ切るのかと思っていたら、それではバランスが悪いから全体を整えるという。
「ヒル魔くん、髪切れるの?」
「誰に物言ってる」
ベランダに椅子を出して、首元にタオルを巻く。
「これって小さい頃お母さんにやってもらった床屋さんみたいね」
ヒル魔はさらりとまもりの髪を撫でた。
「動くなよ」
シャキン。
ハサミを手にしたヒル魔は至って真面目にまもりの髪を切り落としていく。
鏡を手にまもりは背後のヒル魔の様子を伺うが、彼はまもりが身動ぐたびに手を止めてはつむじをつつくのだ。
「やめてよ! お腹痛くなるじゃない!」
「嫌なら大人しくしてろ」
ケケケ、と笑って再びカットに没頭。
目だけを動かせば、ベランダに散る自分の茶色い髪。
シャキン。
耳元でハサミが鳴る。
そっと触れて、髪を引いてバランスを取る手。
心地よくて、次第に眠気まで襲ってきて、まもりは瞳を閉じる。
「おい、寝るな」
「ん・・・」
シャキン。
「終わったぞ」
「んっ」
まもりは夢うつつの状態で鏡を覗き込んだ。
きれいに切りそろえられた毛先は素人がカットしたとは思えない程だ。
「後ろはどうなってるの?」
「おら」
合わせ鏡の要領で覗き込んだ鏡面で見る限り、おかしなことにはなってない。
「すごい! ありがとう、ヒル魔くん」
まもりの首筋に張り付いた髪の毛を指先で払いながらヒル魔は肩をすくめる。
「これに懲りたら余計な口出しすんじゃねぇぞ」
それにまもりはぱちぱちと瞬きし、それから悪戯っ子のような顔をして笑った。
「懲りるどころか味をしめちゃったかも」
「アァ?!」
それから。
時折、よく晴れた休日に、ヒル魔がまもりの髪を切るのが二人の決まり事になった。
***
私の周囲には自分の髪を自分で切る人が多くて器用で羨ましい限りです。
ヒル魔さんなら出来そうだよなあ、と思って書いてみました。将来的に子供達の髪も切ってるといいよ!
ちなみにガムは油で拭くと取れるそうですよ。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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