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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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エディブル・フラワー(6)/完結


+ + + + + + + + + +
ふ、とヒル魔の腕が離れた。
まもりは起き上がり、のろのろと引き裂かれた胸元を覆った。
「これで、満足した?」
「ああ」
その言葉に、まもりはゆっくりと立ち上がった。
そのまま、扉に手をかけたその瞬間。
「・・・なんて、言うと思ったか」
「!?」
まもりの体が宙に浮いた。片腕で強引に抱え上げ、彼自身のトランクを持って廊下を歩いていく。
「どこに行くの!?」
「テメェの部屋」
「なんで!?」
「その格好で出たいか?」
「え?」
疑問符を貼り付けたまもりに、ヒル魔はにやりと笑う。
「好きに持っていっていいって言っただろうが」
「何、を?」
まもりの自室に彼が持って行きたいと希望するようなものがあっただろうか。
「どう思ってるかも確認したし、問題はねぇな」
「??」
本気で彼が何を所望しているのか理解できず、まもりは困ったようにヒル魔を見る。
「一体何が目的?」
「だから言っただろ、退職金代わりにテメェを貰うってなァ」
「? 犯すなら、あの場所で続ければよかったのに」
「ア?」
「それとも、ベッドのあるところがいいの?」
「ァア!?」
ヒル魔の眉がきりきりとつりあがる。彼の額に青筋が浮かぶのを初めて見た。
こんな顔も出来るのね、と見ていたまもりの首筋に、ヒル魔が顔を寄せる。
「痛!」
がぶっと音を立てて噛み付かれて、まもりは体をすくませる。
「俺がなんでテメェを所望したか判ってねぇのか?」
「だから私のことが嫌で・・・」
「なんでそう思うんだ」
「だってさっき言ったじゃない。いいように使われてて嫌だったんでしょ?」
それにヒル魔は口角を上げた。ようやく合点が行った、という風に。
楽しげな笑みに、まもりは当惑のままに口を開く。
「何・・・」
「俺は俺の意思でこの屋敷で働いていた。それは誰の指示でも頼みでもねぇ」
「だ、だって先代が、あなたに頼むって! 実際、あなたもそうやって過ごしてたじゃない!」
彼は他にまもりの世話を譲ることなく、仕事は全て二人でこなしていた。
生半可な量でないその作業を文句も言わず共にしていたのは、先代との約束に他ならないと思っていたのに。
ケケケ、と彼は笑った。
「違ェ」
「え」
「不思議に思ったことはねぇか? テメェに友人らしい友人がいねぇこと」
まもりは動きを止めた。
家督を相続した時から、言い寄るのは大人ばかりで子供らしい友人たちとは疎遠になった。
遊ぶことは勿論、学校にさえ行けないことが多かった。
そうなれば当然、人は遠巻きになる。
けれどそれは仕方ないこと、と諦めていた。
「俺はテメェを他の誰の目にも晒さねぇようにしてきた。テメェが気づいてないのをいいことにな」
それが狙いだったのだと、彼はうっそりと笑う。
「な、・・・じゃ、あ」
見開いた瞳の先で、ヒル魔は舌なめずりをする。
そうして、先ほど噛み付いた首筋の傷痕に舌を這わせた。
「ふっ」
「苦労した甲斐はあった、っつー訳だ」
身をすくめるまもりに、ヒル魔は楽しげに彼女の自室を蹴り開ける。

外の世界に穢れさせることなく、ただ一人を想い咲き誇る。
それは喰らわれるためだけの、美しい花、そのもの。


***
ままま様リクエスト『遥かなる庭園の続き』でした。大変お待たせして申し訳ありません!
実は本当はもっとすっごく救いようのない話にしようと考えていたのですが、案外この二人が暗いほうへと流れてくれず、割とありがちな話になってしまいました(反省)。せっかく暗い話書こうと前フリしたのにな・・・。
エディブル・フラワーとは食用花のこと。食用にするには無農薬で自家栽培するのが望ましいのです。
リクエストありがとうございましたー!

ままま様のみお持ち帰り可。
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無題
ああ…やっぱりヒル魔はこうでなくては。
主まもりの可愛さにきゅんきゅん。

完結お疲れ様でした。
凄く面白かったです♪
あよ 2009/08/08(Sat)00:24 編集
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