旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
今日は、朝からずっと蒸し暑かった。
日差しこそないが、厚く空を覆った雲が熱気を溜め込み、風もない状態。
じわじわと纏わりつくような湿度の、不快な熱が誰もをうんざりとした気分にさせていて。
そんな中でいつもどおりに部活をしたなら、絶対に熱中症になってしまう。
HRもそこそこに、部室に向かい粉末ドリンクの残量を見る。
それは一回分程度しか残りがなく、これでは練習に足りないと判断した。
ジャージに着替え、部室にやって来たばかりのヒル魔を捕まえる。
「ヒル魔くん、私練習が始まる前にドリンク買ってきていい?」
「ア?」
「ほら、このところ朝にもドリンク作ってたから」
予想よりも使用量が増えてしまっていたのだ。元より必要なものだから惜しむわけにもいかない。
ひとっ走り行って来るわ、と苦笑するまもりに、ヒル魔はマシンガンを下ろした。
「さっさと行くぞ」
「え!? いいわよ、ヒル魔くんは練習してて! 私は自転車で・・・」
「テメェ忘れたのか? 自転車は今糞アル中が修理中だろうが」
「あ」
まもりがいつも買出しに使ってる自転車。
それは今朝、ランニングで併走していたときに古釘で派手にパンクさせたのだった。
この程度なら直せる、というどぶろくに修理をお願いしていたのだ。
見れば自転車はいつもの場所にない。
「でも今日の分くらいなら・・・」
「どうせまたすぐなくなるだろーが」
練習時間が減る、というまもりの言葉に耳も貸さず、ヒル魔は部費の入った財布を奪い取るとすたすたと歩き出す。
「ちょ、ちょっと!」
「テメェのことだ、どうせドリンク一つじゃ済まないであれもこれも買いやがるだろ」
まもりは言葉に詰まる。確かに洗剤も欲しいし、コールドスプレーも追加しておきたい。
「おらさっさと来い!」
怒鳴り声を上げながらも、まもりだけでは難儀だろうと自ら荷物持ちを買って出てくれた彼に、まもりは苦笑する。
そうして一足遅くやって来たセナたちに買出しに行く旨を伝えてその後を追った。
買出しを終えて、両手に荷物を抱えて二人は学校への道のりを急ぐ。
土手をまっすぐ行けば学校へたどり着く。
そこを並んで歩きながら、ヒル魔は時間を確認し、忌々しげに舌打ちした。
「チッ、あの糞店員のせいで大分時間食ったじゃねぇか」
「んもう! ヒル魔くんが普通に買い物してくれたらなんてことなかったのよ!」
混雑していた薬局で手早く買い物を済ませるために、ヒル魔は脅迫手帳をちらつかせて店員を捕まえた。
要領よく商品を集めて買ってしまおうというわけである。
けれどそれは昨日から働き始めたというアルバイトの青年で、ヒル魔の思惑は外れた。
まごまごする青年をヒル魔が怒鳴りつけ、それに萎縮した彼がまたミスをして、という悪循環。
見かねたまもりが助け舟を出して何とかその場を収めたのだ。
「やっぱり私一人で行くべきだったわね」
「テメェこの量一人で運べねぇだろうが」
まもりの腕にあるのはテーピングなどの嵩張るが重くはないもの。
ヒル魔の腕にあるのは洗剤やドリンクの粉末という重量も結構あるものだ。
確かに一人では難しいだろう。
ヒル魔の腕を見れば、筋が浮いて力が篭っているのがよく判る。
彼の腕にだって重いのだ。
じっとその腕を見て、徐々に顔を上げる。
そこでこちらをにやにやと見ているヒル魔と視線がぶつかった。
「感謝の一言もあるべきじゃねぇか?」
まもりは小さく肩をすくめてすい、と視線をそらす。
ケケケ、と笑っていたヒル魔がふと空を見上げた。
「おい」
「何?」
「そっから下に降りるぞ」
「え?」
ヒル魔が顎で示したのは土手から街へ降りる下り坂。
どうして、と尋ねようとしたまもりの耳に。
低い雷鳴が聞こえた。
<続>
日差しこそないが、厚く空を覆った雲が熱気を溜め込み、風もない状態。
じわじわと纏わりつくような湿度の、不快な熱が誰もをうんざりとした気分にさせていて。
そんな中でいつもどおりに部活をしたなら、絶対に熱中症になってしまう。
HRもそこそこに、部室に向かい粉末ドリンクの残量を見る。
それは一回分程度しか残りがなく、これでは練習に足りないと判断した。
ジャージに着替え、部室にやって来たばかりのヒル魔を捕まえる。
「ヒル魔くん、私練習が始まる前にドリンク買ってきていい?」
「ア?」
「ほら、このところ朝にもドリンク作ってたから」
予想よりも使用量が増えてしまっていたのだ。元より必要なものだから惜しむわけにもいかない。
ひとっ走り行って来るわ、と苦笑するまもりに、ヒル魔はマシンガンを下ろした。
「さっさと行くぞ」
「え!? いいわよ、ヒル魔くんは練習してて! 私は自転車で・・・」
「テメェ忘れたのか? 自転車は今糞アル中が修理中だろうが」
「あ」
まもりがいつも買出しに使ってる自転車。
それは今朝、ランニングで併走していたときに古釘で派手にパンクさせたのだった。
この程度なら直せる、というどぶろくに修理をお願いしていたのだ。
見れば自転車はいつもの場所にない。
「でも今日の分くらいなら・・・」
「どうせまたすぐなくなるだろーが」
練習時間が減る、というまもりの言葉に耳も貸さず、ヒル魔は部費の入った財布を奪い取るとすたすたと歩き出す。
「ちょ、ちょっと!」
「テメェのことだ、どうせドリンク一つじゃ済まないであれもこれも買いやがるだろ」
まもりは言葉に詰まる。確かに洗剤も欲しいし、コールドスプレーも追加しておきたい。
「おらさっさと来い!」
怒鳴り声を上げながらも、まもりだけでは難儀だろうと自ら荷物持ちを買って出てくれた彼に、まもりは苦笑する。
そうして一足遅くやって来たセナたちに買出しに行く旨を伝えてその後を追った。
買出しを終えて、両手に荷物を抱えて二人は学校への道のりを急ぐ。
土手をまっすぐ行けば学校へたどり着く。
そこを並んで歩きながら、ヒル魔は時間を確認し、忌々しげに舌打ちした。
「チッ、あの糞店員のせいで大分時間食ったじゃねぇか」
「んもう! ヒル魔くんが普通に買い物してくれたらなんてことなかったのよ!」
混雑していた薬局で手早く買い物を済ませるために、ヒル魔は脅迫手帳をちらつかせて店員を捕まえた。
要領よく商品を集めて買ってしまおうというわけである。
けれどそれは昨日から働き始めたというアルバイトの青年で、ヒル魔の思惑は外れた。
まごまごする青年をヒル魔が怒鳴りつけ、それに萎縮した彼がまたミスをして、という悪循環。
見かねたまもりが助け舟を出して何とかその場を収めたのだ。
「やっぱり私一人で行くべきだったわね」
「テメェこの量一人で運べねぇだろうが」
まもりの腕にあるのはテーピングなどの嵩張るが重くはないもの。
ヒル魔の腕にあるのは洗剤やドリンクの粉末という重量も結構あるものだ。
確かに一人では難しいだろう。
ヒル魔の腕を見れば、筋が浮いて力が篭っているのがよく判る。
彼の腕にだって重いのだ。
じっとその腕を見て、徐々に顔を上げる。
そこでこちらをにやにやと見ているヒル魔と視線がぶつかった。
「感謝の一言もあるべきじゃねぇか?」
まもりは小さく肩をすくめてすい、と視線をそらす。
ケケケ、と笑っていたヒル魔がふと空を見上げた。
「おい」
「何?」
「そっから下に降りるぞ」
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ヒル魔が顎で示したのは土手から街へ降りる下り坂。
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低い雷鳴が聞こえた。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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