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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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アナザーワールド★クエスチョン(3)



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尻尾を揺らしながら彼は続ける。
「ただ質問に答えりゃいいんだよ。まずは自己紹介してもらおうか。席次順にな」
名前と年齢と職業な、という説明に皆がそれとなく見回す。
己であって己でない者たち。どういった経緯でどうやって生きてきたのか、それには多少興味が引かれる。
何しろ誰もが『もしかしたらあり得たもう一人の自分』という存在だから。
「じゃあまず俺からだな。俺はヒル魔。年は千年以上だが詳細は覚えてねぇ。俗に言う『九尾の狐』だな」
尻尾を揺らし、耳をぴんと立てた彼を見て、人外だと思ったがやっぱり人外だったか、と全員が妙な納得をする。
「では次のヒル魔さんどうぞ」
その声に、二番目に座っていたヒル魔が伏せていた眸を上げた。
中国風の詰め襟は黒、縁が黄色のそれを纏い、金髪を逆立てた姿。
一見して若そうだが、眉間の皺が厳しい雰囲気を与えている。
「―――蛭魔妖一、通称ヒル魔。年は千年を越えてから忘れた。職業は仙人」
端的な言葉に、こいつも人外か、という視線が向かうが彼は再び眸を伏せた。
三番目はこの中では一番老けて見えるヒル魔だ。
金髪を後ろに流した格好の彼は僅かに口角を上げる。
「蛭魔妖一、年は54才、職業は秘匿」
四番目は先ほどタライが落ちてきたのをまともに食らったヒル魔。
憮然とした面持ちのまま口をつぐんでいたが、再び雪光の指がこちらに向いたのを見て渋々口を開いた。
「・・・蛭魔妖一、年は秘匿。職業は軍人で役職は大将」
五番目はスーツを着て髪を下ろした姿のヒル魔。
「蛭魔妖一、年は29才、職業は会社員」
六番目はがっちりと鍛えた体躯のヒル魔。頭を押さえつつ周囲を見渡す。
「蛭魔妖一、年は27才、アメフト選手」
七番目はどこか古風な雰囲気の洋服を纏ったヒル魔。
「姉崎妖一、年は26才、職業は事業家」
彼の名前を聞いて皆の眉がぴんと上がる。
八番目は黒の上下姿で不機嫌そうに舌打ちした。
「蛭魔妖一、年は17才、高校生」
そして末席の一番幼く見える九番目が渋々と口を開く。
「・・・蛭魔妖一、年は15才、中学生」

一通り自己紹介が終わったところで、雪光が口を開く。
「言っておきますがこの屋敷の中では火気厳禁、銃器及び危険物の使用は禁止です。それと」
ふ、と雪光の手にハリセンが現れる。
「あまりにこちらに非協力的だった場合、これで叩かせていただきます。ただのハリセンじゃないですよ?」
にこにことそれを弄ぶ雪光の醸し出す雰囲気があまりに怪しすぎる。
「一体何が起こるんだ」
末席の中学生のヒル魔が尋ねる。
「あなた方が元の次元に戻ったとき、姉崎まもりさんに何かしらの仕打ちを受けます」
「アァ?!」
「何!?」
声を上げる彼らに雪光は笑顔で続ける。
「大丈夫ですよ。喰らわなければいいんですから」
「具体的には?」
「さあ・・・。それは僕にも判りません」
まったりと笑顔で流す彼に、視線は妖怪のヒル魔へと向かう。
けれど彼は肩をすくめただけ。
「では、質問の前に」
まだ何かあるのか、という視線を受けつつ、雪光は手を翳した。
す、と出てきたのは湯気の立つコーヒー。
「皆さんがお好きだということで用意してみました。あ、砂糖は勿論入ってませんよ」
そしてそのカップにはそれぞれ文字が刻まれている。
「『軍人』? なんだこの文字」
軍人姿のヒル魔が首を傾げる。
「『恋人』・・・?」
中学生のヒル魔も不審そうに眉を寄せた。
「皆さん同じヒル魔さんなんで呼びづらいんですよ。そのカップの文字で呼びますのでよろしくお願いします」
『一家』と書かれたカップを持ち上げたヒル魔はちらりと妖怪のヒル魔のカップを見た。そこには『狐』とある。
視線が合うと狐のヒル魔はにやりと笑った。
一家のヒル魔はふん、と鼻を鳴らし視線を逸らす。
口を付けたコーヒーは、文句なく美味かった。
「それでは始めますね」
ハリセンを腰に差し、雪光はどこからともなく出した黒い手帳をぺらりと捲る。
その拍子に『質問手帳』とあるのは何かのオマージュだろうか。
心当たりのある面々はどうやらろくでもない質問が来るのだろうな、と構えたのだった。
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