旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
もう練習が終わったのに部室にはほぼ全ての部員が残っている。
一年生達がこそこそと部室の隅で固まっているのを、ヒル魔はちらりと眺めてすぐ手元のパソコンに視線を落とす。
自分に不利益な話ならすぐ銃を乱射するし、利益の出る話ならすぐ口を出す。
けれど今の彼らの話題は中心にある雑誌に向けられていて、その内容といったら女の口説き方とかそういったハウツー記事だったりするのだ。ヒル魔にとってはどうでもいいことこの上ない。
本日、彼らにとって麗しのマネージャーである姉崎まもりは家庭の事情で休んでいる。
母親が高熱を出したとかで病院に付き添っているそうだ。
試合まで間がある本日は休んでも差し支えないと彼女も判断したのだろう。
そうして一年生達は、いつもなら彼女を気にしておおっぴらに見られないそんな記事なんかに興味津々なのだ。
正確には、この記事を見た他の部員達の反応や、女の好みなどに。
(やっぱり胸のデケェ女がいいなァ)
(俺は口やかましくない女)
(やっぱ美人が一番だろ! ままままもりさんとかと付き合ったりしたら・・・ムキャァア!)
(モ、モン太、想像だけで鼻血吹いてる!)
(汚ねぇな、サル!)
声を潜めているつもりだろうが、ヒル魔には全て筒抜けだ。
耳の大きさは伊達ではない。くだらないので口出しもしないが。
そんな様子を眺めながら帰り支度をしていたムサシは、おもむろに口を開く。
「お前はどんな女が好みなんだ? ヒル魔」
途端に一年生達の表情が変わり、視線が集中したことにヒル魔は眉を寄せる。
余計なことを聞くな、という顔をしたヒル魔にムサシは飄々としたものだ。
「まさか女に興味がない訳じゃないだろ」
「あれ? 前に月刊アメフトの取材で『使える女』って答えたんだよね?」
こちらも帰り支度をしつつも間食でなかなか進まない栗田が口を挟む。
「『使える女』って言う位だ、姉崎のことか?」
「ええ、姉崎さんなの!?」
畳みかけるように続けるムサシに、純粋に驚いた声を上げる栗田。
後者はともかく、前者は判っていて言っている。つまりはからかっているのだ。
ヒル魔はガム風船を膨らませながらぐるりと部員達を見回した。
そんな彼に他の部員達の視線が好奇心を隠しもせず突き刺さる。
どうするのだろう、という顔を鋭利な視線が撫でた後。
ヒル魔はぱん、と風船を割るとそのまま綺麗に全員を無視した。
結局どれだけムサシがつついても、部員達が興味深げに見つめても、ヒル魔は口を閉ざしたままだった。
彼の好きなタイプの女性が『使える女』だと聞いていても、それがイコール『姉崎まもり』ではない。
あのひねくれ者の悪魔が言うことだ、実際は裏があるのだろうと誰もが思う。
いい加減にして帰れ、とヒル魔が銃を持ち上げた段階で雑談は切り上げられ、部員達は彼を残し三々五々に帰路に就く。
「ハ。ヒル魔が好きになる女か・・・どんな女なんだろうな」
「ハァアア? 悪魔に恋愛感情なんてあるのかよォ?」
戸叶が呟けば、黒木が間髪入れず疑問を被せる。
「確かに、ヒル魔さんが女の人を好きになる、っていうのが想像つかないよね」
セナが苦笑混じりに応じ、モン太も頷く。
「ヒル魔先輩、クリスマスボウル以外見てねえもんな」
アメフト部で勝ち抜く以外に情熱を割くことなどあるのだろうか、という疑念。
「ハァ・・・でもあの悪魔のことだ、意外に裏で動いてたりするんじゃねぇか?」
十文字の意見も正しく聞こえ、結局堂々巡りになる議論。
そんな一年生達の声を後ろに聞きつつ、ムサシは隣にいる栗田を伺う。
「どう思う?」
<続>
一年生達がこそこそと部室の隅で固まっているのを、ヒル魔はちらりと眺めてすぐ手元のパソコンに視線を落とす。
自分に不利益な話ならすぐ銃を乱射するし、利益の出る話ならすぐ口を出す。
けれど今の彼らの話題は中心にある雑誌に向けられていて、その内容といったら女の口説き方とかそういったハウツー記事だったりするのだ。ヒル魔にとってはどうでもいいことこの上ない。
本日、彼らにとって麗しのマネージャーである姉崎まもりは家庭の事情で休んでいる。
母親が高熱を出したとかで病院に付き添っているそうだ。
試合まで間がある本日は休んでも差し支えないと彼女も判断したのだろう。
そうして一年生達は、いつもなら彼女を気にしておおっぴらに見られないそんな記事なんかに興味津々なのだ。
正確には、この記事を見た他の部員達の反応や、女の好みなどに。
(やっぱり胸のデケェ女がいいなァ)
(俺は口やかましくない女)
(やっぱ美人が一番だろ! ままままもりさんとかと付き合ったりしたら・・・ムキャァア!)
(モ、モン太、想像だけで鼻血吹いてる!)
(汚ねぇな、サル!)
声を潜めているつもりだろうが、ヒル魔には全て筒抜けだ。
耳の大きさは伊達ではない。くだらないので口出しもしないが。
そんな様子を眺めながら帰り支度をしていたムサシは、おもむろに口を開く。
「お前はどんな女が好みなんだ? ヒル魔」
途端に一年生達の表情が変わり、視線が集中したことにヒル魔は眉を寄せる。
余計なことを聞くな、という顔をしたヒル魔にムサシは飄々としたものだ。
「まさか女に興味がない訳じゃないだろ」
「あれ? 前に月刊アメフトの取材で『使える女』って答えたんだよね?」
こちらも帰り支度をしつつも間食でなかなか進まない栗田が口を挟む。
「『使える女』って言う位だ、姉崎のことか?」
「ええ、姉崎さんなの!?」
畳みかけるように続けるムサシに、純粋に驚いた声を上げる栗田。
後者はともかく、前者は判っていて言っている。つまりはからかっているのだ。
ヒル魔はガム風船を膨らませながらぐるりと部員達を見回した。
そんな彼に他の部員達の視線が好奇心を隠しもせず突き刺さる。
どうするのだろう、という顔を鋭利な視線が撫でた後。
ヒル魔はぱん、と風船を割るとそのまま綺麗に全員を無視した。
結局どれだけムサシがつついても、部員達が興味深げに見つめても、ヒル魔は口を閉ざしたままだった。
彼の好きなタイプの女性が『使える女』だと聞いていても、それがイコール『姉崎まもり』ではない。
あのひねくれ者の悪魔が言うことだ、実際は裏があるのだろうと誰もが思う。
いい加減にして帰れ、とヒル魔が銃を持ち上げた段階で雑談は切り上げられ、部員達は彼を残し三々五々に帰路に就く。
「ハ。ヒル魔が好きになる女か・・・どんな女なんだろうな」
「ハァアア? 悪魔に恋愛感情なんてあるのかよォ?」
戸叶が呟けば、黒木が間髪入れず疑問を被せる。
「確かに、ヒル魔さんが女の人を好きになる、っていうのが想像つかないよね」
セナが苦笑混じりに応じ、モン太も頷く。
「ヒル魔先輩、クリスマスボウル以外見てねえもんな」
アメフト部で勝ち抜く以外に情熱を割くことなどあるのだろうか、という疑念。
「ハァ・・・でもあの悪魔のことだ、意外に裏で動いてたりするんじゃねぇか?」
十文字の意見も正しく聞こえ、結局堂々巡りになる議論。
そんな一年生達の声を後ろに聞きつつ、ムサシは隣にいる栗田を伺う。
「どう思う?」
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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