笑う門には福来たる

笑う門には福来たる

（ヒルまも）
※どのシリーズにも当てはまります。お好きな世界観でご覧下さい。
※年賀状にかえて、皆様に。（本当は寒中見舞いでしょうがそこはご容赦を）
※お持ち帰りはご遠慮下さい。

黒の紋付き袴を着せられたヒル魔を見たまもりは、つまらなそうにため息をついた。
「オイ、なんだその反応は」
「だって、なんだかすっごく普通なんだもの」
ヒル魔は先程鏡に映した自らの姿を思い浮かべる。
特に染め直してもいない金髪は変わらず天を突いているし、ピアスもそのままだ。
「どこがフツーだ。とうとうテメェの糞一般論も壊れたか」
「ヒル魔くん限定の感覚よ。あーあ、残念」
顔を伏せて指先をいじるまもりにヒル魔は近寄り、その手首を掴んだ。
「残念だったな、糞七五三モドキになってなくて」
「本当に」
引き寄せてその顔を覗き込めば、ほんのりと赤い。
「似合ってるわ。黒だからかしら」
「素直に俺に惚れてるからだって言え」
にやにやと口角を上げて告げれば、まもりの頬は更に赤みを増した。
「嫌よ！　恥ずかしい！」
もう、とむくれるまもりの頬に唇を寄せ、触れるだけのキスを。
「よく似合ってんな、ソレ」
まもりが身に纏うのは総柄の振袖。
豪奢な色彩のそれは、まもりの顔立ちの華やかさと相まって一層美しく映える。
「なんか企んでる？」
その顔に疑惑を貼り付けるまもりを、ヒル魔はふんと鼻で笑った。
「企むなんて随分な疑いようじゃねぇか」
「ヒル魔くんだもの」
「正月早々失敬な女だな」
そう言いながらもヒル魔の機嫌はいいままだ。
「俺が惚れてるからって素直に受け取れ」
「・・・だ、から！　そういうの、恥ずかしいって言ってるでしょ！！」
んもう！　と振り上げた手を受け止め、ヒル魔は声を上げて笑う。
そうしてまもりも、結局はその顔を綻ばせて一緒になって笑った。


新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


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素敵サイト様を巡っておりましたら数カ所で振袖のまもちゃんと紋付き袴のヒル魔さんを見かけてその素敵さについかっとなって書きました。後悔はしていない。
いいなあ着物！　大好き和服！　自力では着られないけど！