旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
のし掛かってくる男の影を夢に見た。
それだけだと恐怖しか感じないはずなのに、いとおしさに胸が震えた。
触れる肌の感覚も、温度も何もないのに、頬を撫でる手の感触だけがやたらにリアルで。
それはとても愛おしいと同時に切ない気持ちを私にもたらした。
目が覚めた瞬間に思わず隣を見やってしまった程。
そんなことがあるはずがない。
だって、今、私たちはそういう関係ではない。
それどころか顔を合わせればいがみ合い、口を開けば悪口雑言のオンパレード。
果ては銃やモップまで持ち出して喧嘩をしだす始末なのに。
よりにもよって彼を夢見るなんて。
―――――それが、嫌ではないなんて。
「・・・おい、糞マネっ!」
「・・・・・・・ッ!!」
びくり、と肩を震わせて視線を向けると、そこには不機嫌そうなヒル魔くんの顔があった。
今は放課後、部活も終わって皆が帰ったけれどまとめたい資料があったから残ってやっていたんだった。
「目ェ開けたまま寝るなんざ、器用なマネするもんだな」
「そんなにぼうっとしてた?」
ぼんやりした頭で答えながら、その顔を注視する。
不機嫌そうにパソコンの画面から目を離さない。
いつものことなのに、その事実が妙に胸に痛かった。
でもそう思うことさえお門違い。
日焼けして黒くなりそうなのに、体質なのかさして焼けない肌。
生来からの物ではないのに、一筋の影も許さないとばかりに輝く金髪。
天に楯突くよう立てられた髪と、尖った耳。
ガムを噛むたびに見える歯は犬歯のみならずすべてが鋭利に尖っている。
全てが直線で形成されているのではと思う程尖った身体。
爪が尖っているわけでもないのに、突き刺さりそうだ。
「おい、穴が空く」
こちらを見もしないでヒル魔くんが口を開く。
「空くわけないじゃない」
「寝てたと思えば今度はガン見か。変な女だな糞マネ」
いくら言われても視線を放す気にはなれなかった。
この彼が。
私の上にのしかかって、あんな風に頬を撫でたら、どんな心地なのかしら。
名を呼んで、触れて、唇を合わせたら。
それだけじゃなくて、もっと先も。
そんな風に考える。
いつもだったら、こんな事を考えるなんてはしたない、という倫理観がストップをかけるのだけれど。
今日ばかりは止まらなかった。
リアルな夢に後押しされて、想像は留まることを知らない。
「・・・糞マネ、やめろ」
「見てるだけよ」
「目がヤバイ」
「人を病人みたいに」
「病人じゃねぇのか?」
やっとこちらを見たヒル魔くんの顔に幽かに朱が走っている。珍しい、フィールド以外でそんな顔をするなんて、と思ってまた注視。
「・・・・・・盛った猫みてぇなツラしてやがんぞ」
嫌そうな口調で言われた台詞は、まさに私の心情を見抜いたものだった。
それに恥ずかしがると言うよりは外からこれって見ても判るのね、という感心が上回ってしまった。
「そっか」
「そっか、じゃねぇ。お前自分が腐っても一応女だって自覚しろ」
「ヒル魔くんも男だものね」
「お前、人をなんだと・・・!」
揶揄されたのかと食ってかかろうとしたヒル魔くんの側に、立ち上がって歩み寄る。
「ねえ、ヒル魔くん」
名前を呼ぶと、彼が珍しく焦ったように身体を引いたが、なにせ狭い部室の中で椅子に座っていたのだから動けるはずがない。
カジノ台と壁との距離は狭く、ヒル魔くんの退路はあっさりと断たれた。
「・・・糞マネ、テメー本気で熱あるんじゃねぇのか」
ひょい、と大きな手が私の額へと触れる。
思いの外優しい感触に、私の唇は勝手に甘い吐息を漏らす。
ヒル魔くんの眉間に激しく皺が寄った。
「熱は・・・ねぇみたいだが、集中力もねえんならさっさと帰れ糞マネ」
「いやよ」
「嫌じゃねぇ、さっきから何なんだ本当に!!」
「さっき言ったじゃない」
「あ?!」
「私のこと、盛った猫みたいな顔って」
虚を突かれたらしいヒル魔くんの首にするりと腕を回し、触れる。
夢などではないリアルな感触に、私は我を取り戻すどころか、引き込まれるように抱きつく。
「ねえ、ひるまくん」
私、こんな声、出せたんだ。
そう思う程甘くてとろんとした声。
そんな私がおかしくて、そして目の前のヒル魔くんの顔を見て、私は笑う。
「ひるまくんも今、そんな顔よ」
さあ。
準備は整ったわ。
私に触れて、夢に焦がれるなんてばかばかしいって、言って。
それだけだと恐怖しか感じないはずなのに、いとおしさに胸が震えた。
触れる肌の感覚も、温度も何もないのに、頬を撫でる手の感触だけがやたらにリアルで。
それはとても愛おしいと同時に切ない気持ちを私にもたらした。
目が覚めた瞬間に思わず隣を見やってしまった程。
そんなことがあるはずがない。
だって、今、私たちはそういう関係ではない。
それどころか顔を合わせればいがみ合い、口を開けば悪口雑言のオンパレード。
果ては銃やモップまで持ち出して喧嘩をしだす始末なのに。
よりにもよって彼を夢見るなんて。
―――――それが、嫌ではないなんて。
「・・・おい、糞マネっ!」
「・・・・・・・ッ!!」
びくり、と肩を震わせて視線を向けると、そこには不機嫌そうなヒル魔くんの顔があった。
今は放課後、部活も終わって皆が帰ったけれどまとめたい資料があったから残ってやっていたんだった。
「目ェ開けたまま寝るなんざ、器用なマネするもんだな」
「そんなにぼうっとしてた?」
ぼんやりした頭で答えながら、その顔を注視する。
不機嫌そうにパソコンの画面から目を離さない。
いつものことなのに、その事実が妙に胸に痛かった。
でもそう思うことさえお門違い。
日焼けして黒くなりそうなのに、体質なのかさして焼けない肌。
生来からの物ではないのに、一筋の影も許さないとばかりに輝く金髪。
天に楯突くよう立てられた髪と、尖った耳。
ガムを噛むたびに見える歯は犬歯のみならずすべてが鋭利に尖っている。
全てが直線で形成されているのではと思う程尖った身体。
爪が尖っているわけでもないのに、突き刺さりそうだ。
「おい、穴が空く」
こちらを見もしないでヒル魔くんが口を開く。
「空くわけないじゃない」
「寝てたと思えば今度はガン見か。変な女だな糞マネ」
いくら言われても視線を放す気にはなれなかった。
この彼が。
私の上にのしかかって、あんな風に頬を撫でたら、どんな心地なのかしら。
名を呼んで、触れて、唇を合わせたら。
それだけじゃなくて、もっと先も。
そんな風に考える。
いつもだったら、こんな事を考えるなんてはしたない、という倫理観がストップをかけるのだけれど。
今日ばかりは止まらなかった。
リアルな夢に後押しされて、想像は留まることを知らない。
「・・・糞マネ、やめろ」
「見てるだけよ」
「目がヤバイ」
「人を病人みたいに」
「病人じゃねぇのか?」
やっとこちらを見たヒル魔くんの顔に幽かに朱が走っている。珍しい、フィールド以外でそんな顔をするなんて、と思ってまた注視。
「・・・・・・盛った猫みてぇなツラしてやがんぞ」
嫌そうな口調で言われた台詞は、まさに私の心情を見抜いたものだった。
それに恥ずかしがると言うよりは外からこれって見ても判るのね、という感心が上回ってしまった。
「そっか」
「そっか、じゃねぇ。お前自分が腐っても一応女だって自覚しろ」
「ヒル魔くんも男だものね」
「お前、人をなんだと・・・!」
揶揄されたのかと食ってかかろうとしたヒル魔くんの側に、立ち上がって歩み寄る。
「ねえ、ヒル魔くん」
名前を呼ぶと、彼が珍しく焦ったように身体を引いたが、なにせ狭い部室の中で椅子に座っていたのだから動けるはずがない。
カジノ台と壁との距離は狭く、ヒル魔くんの退路はあっさりと断たれた。
「・・・糞マネ、テメー本気で熱あるんじゃねぇのか」
ひょい、と大きな手が私の額へと触れる。
思いの外優しい感触に、私の唇は勝手に甘い吐息を漏らす。
ヒル魔くんの眉間に激しく皺が寄った。
「熱は・・・ねぇみたいだが、集中力もねえんならさっさと帰れ糞マネ」
「いやよ」
「嫌じゃねぇ、さっきから何なんだ本当に!!」
「さっき言ったじゃない」
「あ?!」
「私のこと、盛った猫みたいな顔って」
虚を突かれたらしいヒル魔くんの首にするりと腕を回し、触れる。
夢などではないリアルな感触に、私は我を取り戻すどころか、引き込まれるように抱きつく。
「ねえ、ひるまくん」
私、こんな声、出せたんだ。
そう思う程甘くてとろんとした声。
そんな私がおかしくて、そして目の前のヒル魔くんの顔を見て、私は笑う。
「ひるまくんも今、そんな顔よ」
さあ。
準備は整ったわ。
私に触れて、夢に焦がれるなんてばかばかしいって、言って。
***
そこはかとなく淫靡な雰囲気を目指して玉砕しました・・・。
このまもりちゃん、どっかでクスリでも盛られてませんか(心配)。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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