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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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05.大雪注意報

(ヒルまも未来設定)

+ + + + + + + + + +
その言葉を聞いたとき、まもりは思わず周囲をぐるりと見回し、めぼしい物がなかったのでついでに足下にあった小石を蹴ってみた。
「なんだ、その反応」
「どこかに隠しカメラかマイクか使い魔がいるんじゃないかと思って」
怒ると言うよりは呆れた風情で、彼はこぼす。
「オマエは俺のことを人外だと思ってんじゃねぇか?」
「違うの? 生年月日から何から何まで全部不詳になってる泥門の悪魔さん」
爽やかな風の渡る夕暮れ時。きらきらと髪が熔けるような光の中を、二人で歩いていた。
これからもっともっと暑くなるだろう。
あのアメリカの太陽の下よりはずっと穏やかで、けれどむしむしした日本の夏が目の前にある。
「懐かしい呼び方だな、糞マネ」
実際に呼び合っていた頃は、もっとずっとギスギスした響きを持っていたはずなのに、今はもう随分と丸く響く音。
「そんな名前じゃありません! ってよく言ってたわよね」
大変嬉しくないことに、そのうち聞き慣れたけど。
「ほれ」
くすくす笑っていると、左手をひょいと取られた。
「契約の証だ」
するりと嵌められるのは夕焼けのようにとろけるような金色。
思わずまじまじと見つめている間に、彼は数歩先を歩いている。
「一生縛られる代償に何をくれるのかしら」
ぽつりとこぼしたら、彼はこちらに向かって笑った。
見たことがないくらいの優しい笑顔。
「・・・・・・・・・っ、何、今の、顔!!」
途端にまもりの全身が総毛立った。ここ数年来なかった鳥肌具合だ。
「という顔やら姿やらが一生これでもかと拝める特等席をオマエにやろう」
当の本人はけろりとしていつも通りの顔でにやにやしている。
「ナニソレ! それって私に何の利があるの!」
「一生飽きないぞ」
存外真面目に、その声は響いた。
「楽しいだろう?」

左手がこちらに伸ばされる。
熔けるような金色の欠片が彼の薬指にも嵌っているのを確認して、それからその手をぎゅっと握った。

「明日はきっと大雪ね」

***
お題はこちらからお借りしました。
BLUE TEARS[http://tearsb.aikotoba.jp/]
天候に纏わる5つのお題

私にとってはこれ以上ないくらいの甘いヒル魔さんでした。
読み返してあまりの甘さにびっくり。
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